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編集長直伝!英字新聞の headline(見出し)を読み解く8つのキー

編集長直伝!英字新聞の headline(見出し)を読み解く8つのキー

皆さん、こんにちは。

英語学習用の週刊英字新聞『The Japan Times Alpha』編集長の高橋敏之です。

今回は、英字新聞を読もうと思った人が最初に直面する「壁」、見出しの解釈方法についてお伝えします。

英文記事の見出しは特殊なルールで作られる

英文見出しの特別なルール

英字新聞を開くと、まず目に飛び込んでくるのが「見出し」
これは英語で "headline" と呼ばれます。

見出しとは言うまでもなく「記事のタイトル」であり、記事内容を端的に要約したもの。

つまり見出しを読めば、どんな内容の記事であるのか、ある程度つかめるというわけです。

ただし、実は英文記事の見出しは、通常の英語とは少しだけ異なるルールで作られているんです。そのため、見出しを解釈するには、そうしたルールに関する知識が不可欠なんですよ。

それでは突然ですが、ここで皆さんに問題。

以下は見出しの例です。
これを見て、英文記事の見出しにはどんな特徴があるのかを、考えつくだけ挙げてみてください。

【見出し例】
・Temple in Kyoto pays monks ¥6.6 million in unpaid overtime

・WWII bomb found in Thames

・Foreign minister to visit China next month

・Japan, U.S., S. Korea hold joint military drills

・Cabinet OKs record-high ¥97 trillion budget

・Neanderthals had veggie-heavy diet: study

分かりましたか?

それでは、英文記事の見出しの「法則」を1つずつご紹介していきましょう。

見出しの原則は「スッキリ感」ダジャレが使われることも

見出しの原則はスッキリ感

キー1)過去のことでも現在形を用いる

まずは、改めて1番目の見出しをご覧ください。

こちらは実際にあったニュースのタイトルなのですが、ご覧の通り、支払ったのは過去のことでも、動詞は "pays" という現在形が使われています。この方が見出しとして「スッキリ」した感じが出るからです。

ちなみに、これは日本語の新聞でも同じ。

「日本、初戦でキューバを下す」のように、試合が行われたのは過去のことでも、見出しでは「下す」という現在形を使いますよね。もし「文」として書くなら「日本が初戦でキューバを下しました」となるのでしょうが、見出しは文とは違います。

日本語でも英語でも、スッキリした感じを出すために現在形が使われると考えておきましょう。

キー2)冠詞は省略される

次に、1番目と2番目の見出しをご覧ください。

"temple"(寺院)は数えられる名詞なので、文で書くなら "A temple..." とすべきですし、2番目の見出しの "bomb"(爆弾)は数えられる名詞なので、文法的には "A WWII bomb..." であるべきです。

また「テムズ川」のような川の名前には "the" を付けて "the Thames" のように表現すると学校で習ったかと思います。しかし、この2つの見出しにはいずれも "a" や "the" のような「冠詞」がありませんね。

なぜだか分かりますか?
前述の通り、見出しは文とは違います。

見出しとしてスッキリした感じを出すために、冠詞は(なくても意味が通るので)省略されるのです。また冠詞と同様に、"his""her" などの「所有格」も原則として省略されます。

キー3)be動詞は省略される

もう一度、2番目の見出しをご覧ください。

爆弾は「発見する」のではなく「発見される」ものですから、文法的には "was found" とすべき。

でも見出しには "was" がないですね。
こうした「be動詞」も原則として省略されると覚えておきましょう。

言うまでもなく、これもスッキリ感を出すためです。特に、見出しの中に "found" のような過去分詞が使われているのを見たら、「be動詞が省略された受け身」であると考えてほぼ間違いないですよ。

キー4)未来のことはto doで表す

続いて3番目の見出しを見てみましょう。

このように、これから先の未来のことには "to visit" のような〈to+動詞の原形〉が使われます。

文で書くなら "will" を使うところですが、何度も強調している通り、見出しは文とは違います。

未来のことは "to" を使って表すと覚えておきましょう。

以上が見出しの「4大法則」

ここまで覚えておけば、たいていの見出しは解釈することができます。
これ以外にも、余裕のある方は以下に挙げる4つの法則も押さえておきましょう。

キー5)カンマはandの代わり

4番目の見出しを見てみましょう。

国名をカンマで区切っていますが、これは機能的には "and" と同じ。

ただし "and" を使ってしまうと、見出しとしてはちょっと「重い」ので、スッキリさせるために普通は代わりにカンマを用いると覚えておきましょう。

キー6)短い語が好まれる

続けて5番目の見出しに注目。

つまり「過去最大の予算案を閣議決定した」という意味。

今までの法則と同様、スッキリ感を出すため、見出しでは極力短い言葉が好まれます。

例えば「承認する」は "approve" などを使うこともできますが、"OK" を動詞として使っても同様の意味を表すことが可能で、"OK" の方が短いので、一般的にはこちらが好まれるわけです。

他にも「検討する」は "consider" よりも "mull" を使ったり、「解雇する」は "dismiss" よりも "ax" を使ったりします。"mull" や "ax" は難しい単語ですが、見出しではよく使われるので覚えておいて損はないですよ。

またこの他、"prime minister"(首相)を "PM" と書くなど、略称も頻繁に使われます。

キー7)コロン(:)はソースを示す

最後の見出し。

文末の「: study」は、このことが "study"(研究)によって明らかになった、ということを表しています。

このように、見出しが表す情報の「ソース、出所」を表す際には「コロン(:)」が使われます。

他にも以下の例をご覧ください。

Trump mulling visit to Saudi Arabia in May: U.S. official

この「トランプ大統領、5月にサウジ訪問を検討」という情報も、U.S. official(アメリカの高官)から出たものだということを、コロンが表しています。

キー8)歴史的事実は過去形

先ほど「過去のことも現在形」という法則を紹介しましたが、過去は過去でも、例えば最後の見出し "Neanderthals had veggie-heavy diet: study" のような「歴史的事実」であれば、見出しでも過去形が使われます。

見出し作りにチャレンジ!

見出し作りにチャレンジ

それでは、以上の法則を踏まえた上で、英語の見出しを作ることに挑戦してみましょう。

以下の出来事が起きたとして、皆さんが英文記者だったらどんな見出しをつけますか?

いろいろなパターンが考えられますが、情報のエッセンスを読者に伝えるなら、見出しとしては以下のものが適当でしょう。

Teen arrested for carrying gun

ちなみに、これを文で表すとしたら、"A teen was arrested for carrying a gun." です。

見出し例では、冠詞やbe動詞が省略されているのが分かると思います。

ダジャレが使われることも

最後になりますが、見出しでは「ダジャレ」が使われることがあるんですよ。

例えば、パリに日本発の「猫カフェ」がオープンした時は、ある英文メディアで以下の見出しが使われました。

Purrfect café opens in Paris

「完璧な」のつづりは "perfect" なのに、ここでは "purrfect" が使われています。

実はこれ、"perfect" と "purr"(猫が喉を鳴らす)を掛けた造語なんです。猫カフェだけに、こうした語を使っているわけですね。このようなユーモアの利いた見出しが使われることもありますから、ぜひ探してみてください。

おわりに

いかがでしたか。

まずは英字新聞を読む第一歩として、今回ご紹介した見出しの解釈方法を覚えておきましょう。