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アメリカを襲った大型ハリケーン「ハービー」と「イルマ」一過後の人々の動き【デイリーニュースで振り返る2017 vol.12】

アメリカを襲った大型ハリケーン「ハービー」と「イルマ」一過後の人々の動き【デイリーニュースで振り返る2017 vol.12】

こんにちは、エリックです。

DMM英会話の大人気教材である『デイリーニュース』から毎回気になるニュースをピックし、英語のポイントだけでなく文化や歴史、イマの社会情勢などにも触れながら紹介する『デイリーニュースで振り返る2017』。

今回は『アメリカとメキシコ、自然災害によろめく』です。

米国では連続で大型のハリケーン「ハービー」と「イルマ」が上陸。メキシコでも大きな地震があり、多くの被害が出ています。

本記事では主にアメリカを襲ったハリケーンについてと、災害の後の人々の動きなど、ハリケーン一過後の話題もピックアップして解説していきます。

アメリカとメキシコ、自然災害によろめく

"US and Mexico Reeling from Natural Disasters"
「アメリカとメキシコ、自然災害によろめく」
September 12, 2017

上記記事より英文を一部抜粋し、解説していきます。
※全文はこちらからご確認いただけます。

【ニュース本文】
<英文>
U.S. officials have taken their first look at the damage left behind by Hurricane Irma, which ripped through Florida over the weekend.The storm hit the Florida Keys early Sunday. By evening it was closing in on Tampa and St. Petersburg, the two largest cities in the Tampa Bay area, where a storm surge was expected to push three meter high waves into streets, yards and homes.
Nearly six million people had no power Monday, and large areas were devastated by fallen trees, roofs ripped from homes and roads closed by wind-swept rains; many harbors were filled with the wreckage of storm-tossed yachts.
<和文>
アメリカ当局は週末にフロリダを襲ったハリケーン「イルマ」による被害を調査した。
嵐は日曜の早朝にフロリダキーズに直撃した。夕方にはタンパ湾地域の2大都市、タンパとセントピーターズバーグに近づき、高潮が3メートルの波を街の道、庭、そして家に流し込むと予想されていた。
月曜日、600万人近くが停電に見舞われ、広いエリアが倒木、家々から引き剥がされた屋根、吹きさらしの雨で閉鎖された道に打ちのめされた。港の多くには暴風に揺らされたヨットの残骸が散乱していた。

解説

"rip" は「引き裂く」「破れる」などの意味。"rip through" で「引き裂く」(引き裂きながら進む)、"rip from" は「引き剥がされる」となります。

ここの "power" は「電力」。"no power" は「電力がない(状態)」→「停電」を指します。

【ニュース本文】
<英文>
The U.S. is still recovering from Hurricane Harvey, which hit the state of Texas late last month and killed 71 people. Meanwhile, the death toll from the massive earthquake that rocked Mexico has risen to at least 90, with most of the fatalities occurring in Oaxaca State.
The powerful 8.2-magnitude quake struck off Mexico’s far southern Pacific coast just before midnight Thursday.
<和文>
アメリカは未だ、先月テキサス州に上陸し71人が亡くなったハリケーン「ハービー」から回復途中である。
一方、メキシコを揺らした(震撼させた)大規模な地震の死者数は少なくとも90人にまで増え、ほとんどがオアハカ州での出来事である。
強力なマグニチュード8.2の地震は木曜日の深夜0時直前、メキシコ南部の太平洋岸沖で発生した。

解説

"rock" は名詞だと「石」ですが、動詞の場合「揺する」「振動させる」に加えて「(感情的に)強く動かす」「震撼させる」という意味もあります。

"fatality" は「死者」という意味です。"death toll" は「死亡者数」。

「ハービー」と「イルマ」

アメリカでは2017年8月下旬と9月上旬に立て続けに歴史的な超大型ハリケーンに襲われました。

それぞれ「ハービー」(Harvey)と「イルマ」(Irma)と名付けられています。

Hurricane Harvey

8月25日にテキサス州南東部に上陸した「ハービー」。

同州最大都市のヒューストン近郊では1300ミリを超える雨が降り、1000年に1度と言われる面積25000平方キロ(秋田県2つ分以上)の大洪水をもたらしました。

「ハービー」による死者数は2017年9月現在、少なくとも71人とされています。

被害総額は1900億ドルとも言われ、アメリカの災害の中で史上最高の額の可能性もあります。

ハリケーン「ハービー」後のテキサス州キングウッドのドローン空撮映像

Hurricane Irma

ハリケーン「イルマ」は2017年9月10日にフロリダ州南部に上陸。

一時は大西洋で発生したハリケーンとしては史上最強の強さに成長し、最大風速は185mph(時速約300キロ)にまで到達。勢力が5段階で最大のカテゴリー5のハリケーンとなりました(「ハービー」はカテゴリー4)。

アメリカのフロリダ州以外にカリブ海諸国でも被害をもたらし、総死者数は2017年9月現在79人とされています。

被害規模の把握が進めれらており、当局は、キーズ諸島の約25%の住宅が倒壊、65%が大きく損壊したと見ています。

このドローン空撮映像はハリケーン「イルマ」による被害を映している

大災害がもたらしたもの

多くの人に影響を与えた今回の連続ハリケーン。ネット上には「ハービー」と「イルマ」に関する多くの話題が上がっています。

復興のために立ち上がる人々の姿や、大災害の最中の出産など、ここでいくつかご紹介していきます。

立ち上がる支援者

生きている5人の元大統領はハリケーン「ハービー」被害者支援のための基金を開始

バラク・オバマ、ジョージ・W・ブッシュ(第43代)、ジョージ・ブッシュ(第41代)、ビル・クリントン、ジミー・カーターの5人の歴代大統領は下のコマーシャルで国民に支援を呼びかけました。

他に、溜め込んだ大量のクーポンを使い被災者へ必要物資を届ける女性や、48億円以上の義援金が集まった大物アーティストによる「ハンド・イン・ハンド」テレソンなどが話題になりました。

ビーチに打ち上げられた謎の生物

「ハービー」後、鋭い歯を持つ謎の生物がテキサスのビーチに打ち上げられる

ハリケーンの被害者となったのは何も人間だけではありません。

テキサス州の砂浜で打ち上げられたこの生物は、"fangtooth snake-eel"(キバウミヘビ)である可能性が高いそう。

嵐の中生まれた命、助かった命

ハリケーン「イルマ」の最中、若き医者が興奮状態の父親に口頭で説明し胎盤娩出に成功

赤ちゃんの母となる女性の陣痛が始まったとき、救急車は強風で出動できない状態でした。

赤ちゃんは無事生まれましたが、癒着胎盤で危険な状態だった母親を救うため、父親が助けを求めて電話をかけます。その先にいたのは医大を卒業してまだ3年目の若い医者、アンダーソン先生でした。

アンダーソン先生は電話越しに父親に指示を出し、無事母親を助けることが出来たそう。

「イルマ」を「イヴァンカ」に、集まる署名

何千もの人々が「イルマ」を「イヴァンカ」に変えようとしている

ハリケーンの名前は、その年に発生したものからアルファベット順に男女交互の名前がつけられます。年ごとにリストが決まっていて、リストは6年分あります。

つまり2017年で使われた名前は2023年にまた使われることになります。ただ、あまりにも強力だったり被害が甚大だったハリケーンの名前は「引退」となり、次にそのリストが使われる年には代わりに新たな名前が追加されます。

今まで引退した名前の中には2005年の "Katrina"(カトリーナ)などがあり、今回の "Harvey" や "Irma" もおそらく「引退」となることでしょう。

今回の "Irma" は "I" で始まる順番のハリケーンだったので、"Ivanka" に改名させようとする団体が現れました。その理由は「地球温暖化」、「アメリカのパリ協定離脱」、「イヴァンカ・トランプの姿勢」などが関係しています。

ご存知の通りトランプ大統領はアメリカがパリ協定から離脱することを決断しました。娘のイヴァンカは離脱に反対していたものの、結局は父親の決断を黙認する形に終わりました。

アメリカの歴史に残るハリケーンの連続発生は気候変動の裏付けであるとして、「イルマ」を「イヴァンカ」に改名し、トランプ政権などにメッセージを送りたいとしています。

老夫婦の名前の奇跡

ハービーは104歳。イルマは92歳。彼らは結婚して75年になる。ハリケーンはテレビでしか見たことがない

アメリカのワシントン州に住む夫婦の名前が「ハービー」と「イルマ」で、今回のハリケーンと同じだと話題になりました。

「ハービー」と「イルマ」が同じ年のハリケーンの名前になるのは今年が初。「ハービー」は1981年から使われていますが、"I" のハリケーンは2011年まで「アイリーン」(Irene)と呼ばれていました。

2011年にハリケーン「アイリーン」がアメリカ東海岸を襲った後、名前が「引退」となりました。6年後の今年、代わりの "I" の名前となったのが「イルマ」なわけです。

「ハービー」も「イルマ」も今回限りでおそらく「引退」となることを考えると、この組み合わせとなるのは今回が初めてで最後なのですね。

まとめ

アメリカを襲った大型ハリケーンの「ハービー」と「イルマ」。

同じ年に、しかも連続でアメリカの歴史に残る大型ハリケーンが上陸したことは、異例とも言えます。"I" 「イルマ」の次の "J" のハリケーン「ホセ」(Jose)も接近しており、油断ならない状況です。

私たちもいつ来るかわからない自然災害に対する知識を持ち、備えたいところです。

ニュースを読むだけでなくその文化的な背景を知ること、より深く理解することで、英語学習もより楽しくなるのではないでしょうか。
今後もデイリーニュースで楽しく英語を勉強していきましょう!

英語学習のためのニュース教材、毎日更新中!

【参考】
http://www.bbc.com/japanese/41263372
https://news.yahoo.co.jp/byline/morisayaka/20170906-00075433/
https://news.yahoo.co.jp/byline/morisayaka/20170902-00075281/
https://www.wunderground.com/hurricane/atlantic/2017/hurricane-harvey
https://www.wunderground.com/hurricane/atlantic/2017/tropical-storm-irma