渡邉 淳 (porpor)
(更新)
TOEIC のスコアアップを狙うために、多くの方が最初に手に取るのは単語帳でしょう。しかし、次のような悩みをよく聞きます。
「単語帳を使って覚えるのが苦手」
「単語帳が最後までやり通せない」
そこで今回は、単語帳とうまく付き合うための秘訣をお伝えしたいと思います。最初にポイントをお伝えしておくと、次のような感じです。
・雑に使おう
・「見る」だけはやめよう
・使わない時期を作ろう
・自分の拠り所にしよう
今回、ご紹介する秘訣は5つ。
これに従った学習をしていくだけで、単語帳と仲良くなれると信じています。ぼく自身もこのやり方で単語帳と付き合ってきましたから。
では早速、一つ目の秘訣からお伝えしていきましょう!
単語を淡々と覚えていくのは辛いですよね。その理由は「なかなか覚えられない」からだと思います。
ですので、勉強したてのときには思い切って「覚える」意識を捨てましょう。まずは、それぞれの単語に「挨拶をする」意識を抱くことをオススメします。1ページを完璧に覚えるまでは次に行かない、という制限を作って、自分を追い込まないことです。
「こんな単語があるんだな」
「これは知っている/知らないな」
とにかく、TOEIC に出る単語と顔見知りになることを優先させるのです。
最初から最後まで目を通すことは大変でしょう。でも、TOEIC で出る頻出の語句を身につける上での通過儀礼だと思って取り組んでみてください。単語帳は効率よく単語を身につけるためには、もってこいの素材ですから。
問題を解きながら、知らない単語を一つずつ覚えていくのは効率が悪いです。スコアアップへのショートカットをする最高の手段だと割り切りましょう。
単語を覚えるのが辛い理由として「覚えられない」ことを挙げましたが、もう一つ考えられるのが「退屈である」ことだと思います。
「音を聞いて、声に出す」という時間を作りましょう。そうすることによって、単調な単語を覚える時間が変わっていきます。
難しいやり方ではありません。聞こえてきた音をモノマネするつもりで声に出すだけです。目だけではなく、耳と口を使った学習になりますから、学習にメリハリがつきますよ。
子どもが言葉を覚えるときには、音を真似るところから入りますよね。それと同じこと。音は思っているよりも重要です。
もちろん、TOEIC のスコアアップをする上でも重要です。リスニングで流れてくる単語をキャッチするためには音を知る必要があります。また英語の発音やリズムを知ることは、リーディングでスムーズに読んでいく上でも役立ちます。
単語と接する機会が増えていくことで、意味が頭に入ってくると思います。そこで、気をつけなくてはならないのが、インプットの仕方です。
「単語=日本語訳」で頭に入れるのはやめましょう。これでは、いざ英文の中で使われているときに、思い出しにくいです。
例えば、extend を「延長する」と覚えたとします。でも、実際はこの1語だけで使われることはありません。"extend the deadline"「締め切りを延長する」のように使われます。
また significant も increase も TOEIC には頻出の語句ですが、"a significant increase"「著しい増加」のように一緒に使われることが多いと知っていると、リスニングでもリーディングでも理解のスピードがぐっと上がりますね。
意味をパッと取り出すために、つまり記憶に残しやすくするために、インプットのときは「英文」の中で覚えるように心がけてください。
フレーズでもいいです。一文でもいいです。まとまった文章でもいいです。
実際に単語が使われている場面とともにインプットすることで、グッと思い出しやすくなりますから。
単語帳に一通り目を通して、単語が大体頭に入ってきたら、単語帳中心の学習はやめましょう。
これまでに長く使い込んだ単語帳には、愛おしささえ抱いているかもしれません。それに、「やめたら忘れてしまうんじゃ」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。
でも、単語帳に取り組むのは単語を頭に刻み込むためですよね。であれば、距離を取るのはとても大切な時間なのです。では、その間に何をしていればいいのか。
単語帳に取り組む代わりに、実際の問題に取り組むことをオススメします。問題という、単語帳とは別の場面で、自分の知った単語に出会うためです。別の場面で出会った単語は、より一層、自分の頭の中に強く刻み込まれます。
4で単語帳と距離を置くことをご提案したわけですが、その時期から同時にオススメしたい使い方があります。
それは「辞書代わりに使う」というものです。
問題に取り組めば取り組むほど、知らない単語や意味が不安な単語に出会うでしょう。そんなときには、辞書ではなく、単語帳で調べてみるのです。今時の単語帳であれば、単語帳の最後に索引(INDEX)が付いていますね。
この行為をすることによって、頭に入っていなかった単語や忘れかけていた単語が、自分の頭により深く刷り込まれていきます。
ここで、「単語帳ではなく辞書を使えばいいのでは」という声が聞こえてるかもしれません。しかし、辞書で調べた単語が「TOEIC に出題されるかどうか」がわかりませんよね。
だからこそ、TOEIC で出るものが掲載されている単語帳を辞書代わりに使うのです。では、もし調べた単語が単語帳に入っていなかったら、どうすればいいのでしょうか。
答えはいたってシンプルで「覚えなくていい」と割り切ることです。単語帳に掲載されていないということは、本番では出ない(出にくい)証拠だと考えましょう。
自分の知らない単語を隅から隅まで覚えていたらキリがありません。TOEIC に出る単語を効率良く吸収するためにも、単語帳を一つのモノサシとしてみることをオススメします。
どうしても単語帳ばかりで勉強をしてしまいがちです。単語帳は「覚えた or 覚えていない」がわかる分、達成感を得られやすいからでしょう。
ですが、TOEIC では問題や文章をベースにして、英語力が問われます。単語帳からは早めに卒業をして、問題演習に移りましょう。
そのためにも、単語帳の全体像をつかみ、出題される単語と顔見知りになることを早く終えましょう。その際には、できるだけ印象に残るように、音を有効活用してみてくださいね。
問題演習に移った際には、単語帳を勉強の相棒として使い続けましょう。
「その本に掲載されている単語に知らないものはない」と断言できる日まで。
この一言が言えたときこそ、単語帳から本当に卒業するときですね。せっかく買った一冊を使い倒して、目指す TOEIC スコアを手にしましょう。