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英語より大事?グローバル社会を生き抜くためのクリティカルシンキングって何?

英語より大事?グローバル社会を生き抜くためのクリティカルシンキングって何?

「グローバル社会といえば英語力!」と思う方も多いと思いますが、グローバル社会で必要とされるのは英語力だけではありません。

仕事の専門的な知識や経験に加え、グローバル社会で活躍する人材に必要とされているのは「クリティカルシンキングスキル(批判的思考力)」

これは主要英語圏をはじめとする教育先進国で推進されている思考法で、最近では日本でもクリティカルシンキングの重要性を説く教育者が増えてきました。2020年度におこなわれる大学入試改革では、言及されてはいないものの、実質クリティカルシンキングスキルが必要となることも分かっています。

これを機に、英語力と共に押さえておくべきクリティカルシンキングスキルについて学んでいきましょう。

なぜ今、クリティカルシンキングなのか

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グローバル社会で働くということは所属するチームや顧客に異文化背景を持つ人がいるということ。

仮に日本人が同じチームにいたとしても、出身国や在住国が異なると、その人は「異文化背景を持つメンバー」となり得ます。そういう時に役立つのが「国際語と認識されている英語」と「特定文化の歴史や習慣に左右されず、客観性や論理性を大事にするクリティカルシンキング」です。

クリティカルシンキングを、goo辞書では以下のように定義しています。

“ 物事や情報を無批判に受け入れるのではなく多様な角度から検討し、論理的・客観的に理解すること ”

そこには特定文化の歴史や習慣の枠にはまった考え方というのは一切介入しません。ですから世界中の人と仕事をすることが当たり前となった今、クリティカルシンキングスキルは、グローバルなチームのコミュニケーションを円滑かつ効率的にするために必須だと言えるのです。

実際、グローバル社会で多文化出身のチームメンバーと仕事をする人に話しを聞くと、クリティカルシンキングが出来ない人の意見を聞くのは時間の無駄だという厳しい意見さえも出てきます。

クリティカルシンキングが出来ない人の意見は、特定の価値観に基づいて感情的に、そして主観的に主張されることが多く、たとえ流暢な英語が話せても「即戦力となるメンバー」「チームに貢献できるメンバー」としては見なされないのです。

また仮に、一生日本から出ずに日本人のみと仕事をしていくとしても、本質を見極めることが出来る考え方であるクリティカルシンキングは、情報過多であるネット社会を生きる私たちにとっては必須のスキル。日本でも多くの教育者が高等学校以上の教育現場では、クリティカルシンキングを教えるべきだと主張しています。

クリティカルシンキングスキルを身につける5つのポイント

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では、実際にクリティカルシンキングスキルを身につけるには、どうしたら良いのでしょうか?

クリティカルシンキングスキルを伸ばすためには以下のような考え方を習慣づける必要があります。

① Question your assumptions.

1つ目の “Question your assumptions.” というのは、自分にとって当たり前となっていることを疑問視するということです。

【例】
「英語を学ぶことは大事だ」→「何で、英語を学ぶのが大事なのでしょうか?」「英語を学ぶことで得られるものって何でしょうか?」

② Question… everything!

2の “Question… everything!” は、どんなことに対しても、得た情報を無条件に受け入れるのではなく疑問視するということ。その時、答えが出なくても構いません。大事なのは「どうして?」と立ち止まり、自分なりの答えを見つけ出そうとすることです。

【例】
「何で、日本とオーストラリアのシドニーの時差は1時間なのかな?」「何で、コンビニの商品は割高なのかな?」

③ Analyze the logics.

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“Analyze the logics.” とは、得た情報が理にかなっているか判断することです。

【例】
「短期間で英語力を伸ばしたいので、スクールに行きます」と言う人がいたら「その人が伸ばしたい英語力」が「スクールに行くこと」で効率的に身につくのかを考えてみましょう。

「短期間で英語力を伸ばしたい→だから英会話スクールに行く」という図式には論理性があり、万人に納得してもらえますか?

相手を否定するネタを探すというわけではありませんが、「へぇ、そうなんだ」で終わらせずに、その情報に隠されている「Assumption/思い込み」に惑わされず、論理的に話が進められているのか判断するようにしましょう。

④ Investigate information yourself.

4つ目の “Investigate information yourself.” は与えられた情報を鵜呑みにして、それだけで判断をするのではなく、自分でも必要な情報を調べていくということです。

【例】
英語教育の宣伝で「アメリカの小学生が学ぶフォニックスは、日本の英語学習者にも必須!」とあれば、それを鵜呑みにするのではなく、自分で実際に「本当にアメリカの小学生はフォニックスを学んでいるのかな?」「日本では外国語にあたる英語を、母国語として英語を学ぶアメリカの小学生と同じ学び方をすることは効率的なのかな?」と疑問を持ち、インターネット等を使って調べましょう。

情報は、信頼性や信憑性、客観性や論理性等を重要視しながら、自分が納得できる方法で納得できるまで探すことが大切です。

⑤ Think open-mindedly

“Think open-mindedly” は、何事に対してもオープンな姿勢を崩さないということ。得た情報に対して偏見は持たないようにして、そのうえで色んな視点から見ていきます。

具体的には、得た情報を a)他の物と比較・対比したり、 b)特定の文や単語の言外の意味や示唆する内容を考えたり、 c)提示されている物とは別の可能性がないか考慮する、などの方法が挙げられます。

これからはクリティカルに考え、読み、そして書く。

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日本でも多くの教育者がクリティカルシンキングの重要性を説いていますが、現時点でもクリティカルシンキングを教える体制は整っていないようです。

しかし、文部科学省は2020年から新たに改定される「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」は思考力を重視すると発表しています(毎日新聞, 2015)。

この思考力がクリティカルシンキングスキルを含むというような直接的な明記はないものの、「思考力を判定するため、問題文の長文化▽教科を横断するような問題▽記述式問題−−を採用する。」とあることから、クリティカルシンキングスキルがあった方が有利になることが分かります。

これからの私達に求められるのは、英語力だけでなく、まさに「クリティカルに考え、クリティカルに読み、そしてクリティカルに書いていく」という総合的なクリティカルシンキングのスキルなのです。

おわりに

個々の能力に重きが置かれるグローバル社会で活躍できる人材を育成するため、兼ねてよりクリティカルシンキングの重要性を説き、その思考法を積極的に教育に取り入れていた米国でも「より生徒のクリティカルシンキングスキルを高めるカリキュラムを取り入れるように」と、米国義務教育(K-12、日本の幼稚園年長~高校三年生にあたる)の学習指導要領を見直し始めています。

つまり、クリティカルシンキングスキルというのは、それほどまでにもグローバル社会で必要だと認識されているスキルだということです。

今や日本でも、英語とともにクリティカルシンキングを教えている英語教育者も増えています。

グローバル社会で活動していくことを視野に入れている人は、英語だけでなくクリティカルシンキングを学んでいくことも忘れないようにしてください。