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英語学習はまず〇〇から学ぶべき!元イェール大学助教授が説く成果が出る英語学習法とは?

英語学習はまず〇〇から学ぶべき!元イェール大学助教授が説く成果が出る英語学習法とは?

「日本人は英語ができない」

これは一般的によく言われていることですが、あなたはどうでしょうか?

中高と最低でも6年間、大学生や社会人になってからの学習時間も含めれば、これまで少なくない量の時間を英語学習に費やしてきたはずです。

それにもかかわらず、多くの方が英語に苦手意識を持っている現状…
どうすれば日本人は英語を話せるようになるのでしょうか?

「言葉は音声を無視しちゃダメ」

そう力説するのは、中高生向け英語塾 「J Prep斉藤塾」 代表の斉藤淳先生。生粋の日本人として山形に生まれ、名門イェール大学で助教授を務めた経験を持つ先生は、どのようにして世界で活躍する英語力を身に付けたのでしょうか?

斉藤先生のインタビュー後編としてお送りする本記事では、成果が出る英語学習法についてお話を聞きたいと思います。
※【前編】英語オンチの救世主?元イェール大学助教授 斉藤先生に最強の英語教材について聞いてみた!

日本の教育全般が変わらなければいけない過渡期にある。



ー いきなりですが、日本人ってなんでこんなに英語が苦手なんですかね?

日本で英語を教えている先生の中で、きちんと英語を使えるという方が少なすぎるんじゃないかなと思います。

水泳で例えるなら、水泳の原理や美しいフォームが何たるかというのは知っているけど自分は泳げない、という状態になっているんです。えてして、泳げない人が泳ぎ方を教えるというのは、泳げるようになるための大切なコツを見逃してしまうことが多いわけですよね。

だからと言って別に、英語を教える先生方はネイティブスピーカーである必要はないですし、私自身ネイティブ並みに英語が上手いわけではありません。でも、ある程度のところまで到達するためにどういった練習が必要なのか、ということを分かっている人が教えないと、学んでいる側も上手くならないんじゃないかなと思います。

あと、研究者であっても、もちろん英語が不自由なく使えている方も多いなかで、図書館で研究に必要な英文の資料を取り出すにも苦労するという方も少なからずいます。だから、例えば英文で書かれている文学の作品を研究の対象として読んでいく力と、英語の運用能力というのは相関はしてると思うんですけど、イコールではないんです。

ー 先生はそうした課題をアメリカにいた時に感じられたのですか?

そうですね。
英語だけじゃなく日本の教育全般が、時代の変化に合わせて変わっていかなければならない過渡期にあるわけです。

これは正解らしいということ、確実性が高い知識を詰め込むことは、日本の教育は得意なんでしょうけど、何が正解かわからない時に、次のステップをどう進んだらいいのかっていうことを議論したり表現したりするというのが、日本の教育では十分にできていないんですよね。

なので、英語だけじゃなく日本の教室文化を変えるという意味でも、何かできることはないかなという思いで日々仕事をしています。

言葉は音声を無視しちゃダメ



ー 日本の英語学習者に一番足りていないものって何だとお考えですか?


やっぱり言葉というのは音声を無視しちゃダメですね。

英語だけでなく外国語は全てそうなんですけど、文法項目があったら必ず音声と連動させて学ぶようにしましょう。

うちの塾の生徒にも普段禁止している項目が2つあって、それが「ローマ字読み」と「カタカナ読み」

ローマ字って、アルファベットを使う言語を母語にする外国人が、日本語の真似をするために使うものなんですよね。だから、日本人が英語をローマ字読みするのはご法度。例えるなら、車で高速道路を逆走するような危険行為です(笑)。

ローマ字読みとカタカナ読みは一緒ですけど、とにかくカタカナ英語にしない。文法よりも先に音からやった方がいいと思います。

例えば、お年寄りが両手に荷物を持っていて、自分がドアを開けなければならないのにそれをしていない状況だったとします。

その時に、
"Could you open the window, please?"

と冷たいトーンで言い放たれると、結構ドキッとしますし丁寧にお願いされたとは感じないんです。

そのように疑問文一つとっても、音声と意味ってめちゃくちゃつながりがあるので、最終的には形式だけじゃなくて、音と一緒に文脈に相応しい言い方とセットで覚えるということをしてほしいですね。

ー なるほど。文法や単語も大切だけど音声と一緒に学ぶことがより大切なんですね。

そうですね。
文法はすごく大切なんだけど、英語も日本語も文法のベース部分には音声があるんです。

一番簡単な例だと、中学校1年生で習う文法項目に動詞の3人称単数現在形がありますが、動詞の後ろに -s がつくか -es がつくかって、音が基準になっているわけですよ。

だけどそれを分かっていない人が教えると、「語尾が -s,-ss,-sh,-ch,-x,-o で終わるときは、-es をつけるんだよ」って教えるんです。「はい!-s,-ss,-ch 覚えて!」って…

でもそうじゃなくて、-ss って音に -s をつけても識別できないわけですよ。
「-s をつなげて識別できないときは -es」それだけでいいいんですよね。例えば pass って単語に -s をつけて "passs" としても 3人称単数現在形にならないんですよ。だから -e を入れることで音を区別する、それだけの話なんです。

他にも比較級に -er をつけて活用するのか、more を入れて活用するのかも、結局音が基準になっていて、音節の数で決まるんですよ。

ー すごくわかりやすいですね!そういうのって無理矢理丸暗記して覚えた記憶があります…

もっと複雑な文法項目で言うと、関係代名詞の制限用法と非制限用法。

"There were few passengers who were saved."
"There were few passengers, who were saved."

とかって、「カンマ(,)を入れると非制限用法」と習うわけです。

上の例文だと、カンマなしだと救出された乗客はほとんどいなくて、カンマありだと最初から乗客はほとんどおらず全員が救出された、という意味なのですが、細かい意味はともかく、カンマを入れるかどうかって、要するに「一呼吸置くか置かないか」なんですよ。

だから「音」ってすごく重要で、音と文法を切り離して覚えないようにした方がいいです。これはもう大人であろうと子供であろうと関係ない。

音から入るという能力は、子供の方が優れているので自然にそれができるんですけど、大人こそ音と文法を一緒に学ぶという意識を持たないと、いつまでたっても実力が向上しない、ということになりがちです。

大人の学習者でもまずはフォニックスをやろう



ー それでは「音」について、具体的にどのような勉強をすればいいのでしょうか?

大人でも「フォニックス」をやった方がいいと思いますよ。
フォニックス:「英単語の綴りと発音の関係性」をルール化し表したもので、英語圏の子どもたちが英単語を読むときに使う方法のこと。

単語学習をするときに、カタカナ50音にひも付けて覚えてしまうと、それが邪魔してしまうんです。

例えば、陸上競技場のトラックを意味する "track" と車のトラックである "truck" 。この2つを「トラック」という発音で覚えてしまうとどっちがどっちがわからなくなるんですよね。

そのように音を正しく区別できないと、単語が覚えられない、相手が言ってることが理解できない、自分の言いたいことも正確に伝わらないなど、学習効率全般を下げてしまうんです。

なので音読をいくら頑張っても、「トラック、トラック」でやっていたら、するだけ無駄なわけなんです。ストレッチしないまま全力疾走するような音読の仕方はやめて、ちゃんと口のフォームを整えてから音読をした方が上手になります。

音読をするのはいいんだけど、最初にある基礎をもう少し大切にした方がいいと思いますね。


ー なるほど。自己流で音読しても効果は薄いんですね。

自分ができると思っていて、できていないのがフォニックス。特にいま社会人の世代というのは、小学校英語などが始まる前の世代だったので、フォニックスの知識ゼロなわけですよ。その中でも一番やばいのが、電子辞書が普及してからの世代。発音記号の知識ゼロ!(笑)

フォニックスも発音記号もやっていない。だから英語の音の知識が全くないわけです。
それでも受験はなんとかなったんですよね。今の受験はそうならない形になりつつありますけど。

例えば、"bag(カバン) / bog(泥沼) / bug(虫)" のような3文字で終わるような単語ほど日本人にとっては難しいんですよね。一方、"interesting" という単語を聞き取れない日本人ってほとんどいないんですよ。なぜなら、こういう音節が長い単語には複数のヒントがあるので、"r" の発音を「らりるれろ」で覚えていてもなんとか通じたり、聞き取れたりするんです。

でもそういったもの以外は、基礎がきちんとしていないと言えないし聞き取れない。だからまずは、赤ちゃんでも言える単語をきちんと発音するための努力をした方がいいですね。あと数字。数字とフォニックスをきちんとやることを心がけて欲しいなと思います。

ー 私はもろ電子辞書世代なのでかなり響きました(笑)。フォニックス勉強したいと思います。本日はありがとうございました。

おわりに

「言葉は音声を無視しちゃダメ」

読者の皆さんの中には、まさしく「学校教育で発音を学んでいない世代」の方も多いのではないでしょうか?

単語や文法を覚えるのが苦手という方は、焦らず一度原点に戻って音の勉強から始めると、もっと楽にもっと効率的に英語学習を進めることができるかもしれません。

今回インタビューをさせていただいた斉藤先生イチ押しの英語教材『Grammar in Use』についてのインタビュー記事は下のリンクから読むことができますので、ぜひそちらも読んでみてくださいね!
※【前編】英語オンチの救世主?元イェール大学助教授 斉藤先生に最強の英語教材について聞いてみた!

【J PREP 斉藤塾】
東京自由が丘、渋谷、山形・酒田にある中学・高校生向け英語塾。「自由に生きるための学問」を理念に、第二言語習得法の知見を最大限活かした効率的なカリキュラムを提供。英語を総合的に習得するだけでなく、論理的に考え、表現する作業を繰り返すことによって、「話す」「書く」「読む」「聴く」「考える」の5技能を育む。
HP: http://j-inst.co.jp/