DMM英会話 ブログ 英語でつながる インタビュー

300ドルで殺し屋が雇える?赤道直下の危険地域で世界一甘いイチゴを育てる 西川公一郎さん

300ドルで殺し屋が雇える?赤道直下の危険地域で世界一甘いイチゴを育てる 西川公一郎さん

まっつんです。
しかし南米は治安が悪いですね。

先日訪れたコロンビアでは隣を歩いていた方が不審な男にいきなり殴られました。
大したことはなくよかったですが、本当に怖いですね…。

今回は南米でもトップクラスで治安が悪いとされているエクアドルの首都キト近郊の都市にて、
まだ見ぬ新しい花やイチゴの栽培をされている西川さんにお会いしてきました。

噂では世界一甘いイチゴを育てているとのこと。楽しみですね!


西川公一郎
1972年岡山県生まれ。東京農業大学卒業後、農業関係の会社を設立。仕事の調査で訪れたエクアドルに魅せられ、家族とともに移住。赤道直下の地で、世界にない全く新しい作物や花を生み出している。世界各地のコンテストで入賞多数。また「はるカルビー」という西川さんが生み出したイチゴの新品種は糖度20で世界一甘いイチゴとされている。

    赤道直下なら3倍も多く打席に立てる

    現在の活動に関して教えてください

    エクアドルの首都キトから北に約75キロほど行ったところにあるカヤンベという街を拠点に、
    花やイチゴの栽培ならびに新しい品種の作成を行っています。

    主にエクアドルにいますが、販売先や気候等の関係でコスタリカ、カナダ、オランダなどにも農場があり、そちらでも活動しています。

    花1

    なぜエクアドルを選ばれたのですか?

    元々は日本でやっていたんですが、台風で温室が壊され、大雪で機械が壊され、と自分たちでコントロール出来ないことが多いことに嫌気が差しまして(笑)

    あるときエクアドルを訪れることがあったのですが、ここは赤道直下で気候も安定しているので、台風が来ることも、大雪が降ることもない。

    そして何より気候が年間通して変わらないため、
    品種改良に適した環境であることに魅力を感じました。

    日本だと年1回しか品種改良が出来ないのですが、赤道近くで特殊な気候のため年に2~3回出来ます。
    品種改良にかけられる時間が人生で30年のところ、エクアドルであればこれを60年〜90年に出来る。

    「機会を増やせる」というのは非常に大きいですね。
    打席に立てる回数が多ければその分チャンスも大きいですから。

    今は物価も上がってきてそれほどではないですが、
    当時は日本の4分の1程度、人件費も5分の1程度でした。

    設備コストも比較すると大幅に安いのはいいですね。

    フローサイカの看板
    ※西川さんオフィスの看板。社名に娘さんの名前が使われています。

    世界一甘いイチゴと
    甘いイチゴを食べないアメリカへの展開

    世界一甘いイチゴについて教えてください

    娘の名前を付けた「はるかルビー」という品種なのですが、
    甘さの基準である、糖度は20もあり世界一の甘さを誇ります。

    日本でよく売られているあまおう、紅ほっぺなどよりも圧倒的に甘い品種です。

    同じ品種でも育成するにあたってのスキルや地域ごとの気候などを考慮しないといけないので、
    全てのイチゴが糖度20になるわけではないんですけどね。

    はるかルビーはどこで買えるのでしょうか?

    残念ながら今は買えないんです。

    元々アメリカへの展開を最初に考えていましたが、
    検討していた2012年頃がちょうど原油価格が高い時期で、輸出コストの兼ね合いで断念しました。

    輸出の方法はいろいろあるんですが、
    イチゴは鮮度の関係で空輸しないといけないので厳しかったですね。

    苗の輸出も検討していたのですが、なぜかカナダかイスラエルからしか輸出出来ないみたいでして。
    イスラエルにいる知り合いの農家に頼んで、輸出の申請をしたんですが却下されました。

    その後もいろいろと調べたのですが、特殊なルートがないと厳しいみたいですね。
    なので今はイチゴの実自体をアメリカで作る方法に変更しようかと考えています。

    はるかルビーのチラシ
    はるかルビーのチラシです

    なぜアメリカの展開を先に考えているのですか?

    やはりマーケットサイズが大きい点が魅力的ですね。
    実はアメリカで一番消費されている果物はイチゴなんですよ。

    あとは日本のように甘いイチゴがアメリカでは出回っていない。糖度が平均8~9くらいのものが主流なんです。
    ※ちなみに西川さんの育てているイチゴは糖度20です

    なのでアメリカではチョコレートやコンデンスミルクをかけて食べます。
    日本のようにそのまま食べられることは少ないです。

    アメリカのイチゴは生産の約6割がカリフォルニアで行われているのですが、そこから各地に輸送されて行きます。遠い地域だと3日間もトラックに揺られないといけない。

    そういうこともあって、アメリカのイチゴは甘さよりも耐久性を重視して作られているんですね。

    正直はるかルビーのような甘いイチゴがそのまま受け入れられるかわからないですが、
    アメリカにぜひ新しいマーケットを作りたいですね。

    やはりチャレンジングな事業が面白いですから。

    イチゴ

    エクアドルでの暮らしを教えてください

    南米は治安が悪いイメージがありますがどうですか?

    治安は普通に悪いですね。

    約300ドルで簡単に銃が買えてしまうんですよ。オフィスに銃の売り込みが来たこともあります。
    そんなこともあって銃を持っている人は多いです。

    前にうちのビニールハウスに銃弾が打ち込まれたこともありましたね。
    その時は、近所の人が威嚇で撃ったようなのですが、ちょっと日本だと考えられないですよね。

    ちなみに殺し屋も300ドルで雇えるそうです。
    おっかない国ですね(笑)

    ビニールハウス

    強盗も日常茶飯事ですか?

    うちは幸いにもないですが、昔から住んでいる日本人の方に話を聞くとみなさん少なくとも一回はやられている感じです。なので防犯対策として、カギを何重にもしたり、シェパードを番犬として三匹飼っています。

    とは言っても実際に泥棒に入られた時は自ら金目の物を渡すしかないですね。

    家族の命が一番大事ですし、命以外は取られてもまだ何とかなりますから。

    エクアドルの医療技術は決して高いとは言えないので、一切のケガもしたくないですね。
    これでもエクアドル政府が力を入れているだけあって段々と治安は良くなっているようです。

    番犬西川さん宅の番犬。ものすごい勢いで吠えられびっくりました…。

    エクアドルの魅力を教えてください!

    やはり自然ではないでしょうか。

    アマゾンの中にある国立公園などは最高ですね。
    ピンク色のイルカが見れたりしますし、1メートルを超えるナマズが釣れたりします。

    あとはアンデス山脈ですね。
    こちらも貴重な動植物を見ることが出来ます。

    標高も5,000メートル以上になるので、非常に空気が澄んでますね。
    世界でも有数の星空が見れます。

    山

    赤道記念碑ずれてる
    ちなみに赤道も近くにあり観光地化しています

    今後の展望を教えてください 

    先ほどお伝えしたアメリカはもちろんのこと、中国への展開を本格的に考えていきたいですね。特許の保護やコピーの取り締まりなど問題は多いですが、やはりマーケットの大きさは魅力的ですから。進出のタイミングを図っているところではありますが、5年以内には展開していきたいです。

    あとは日本への販売も強化していきたいですね。現在全世界における日本の売上ですが、5%以下です。これを3年以内に15%近くまで持っていきたいです。

    長期的なところでいくとやはりイチゴですね。

    やはり自分の作った品種が市場に出回っていく姿を目に見たいですから。
    何とか形にしていきたいと思います。

    インタビュー後

    西川さんへのインタビューを終えて 

    今回インタビューでお伺いしたエクアドルのカヤンベですが、標高約3,000メートル。
    富士山でいうと7合目〜8合目あたりです。

    ちょっとした坂道でも息が上がってしまい普段の生活ですら大変なこの土地で、
    ご家族とともにこのような挑戦をされている西川さんに改めて感銘を受けました。

    お伺いした時期はちょうどいちごの生産は一切やられていないようで、噂に聞いていた世界一甘いイチゴ「はるかルビー」をいただくことはできませんでしたが、数年以内に日本への展開も検討しているとのことなので、その際にはぜひいただきたいと思います。

    西川さん本当にありがとうございました。