英語には、洋服や衣類に関連する多くのイディオムが存在することをご存知ですか?
これらの表現は日常会話や文学作品など、さまざまな場面で使われていて、知っていると英語の理解が深まるだけでなく、会話にユーモアや味わいを加えることができます。
本記事では、日常生活で使える衣類にまつわる英語のイディオムを紹介し、その意味や使い方を解説します。
これらの表現を身につけて、英語のコミュニケーションをより豊かにしてみましょう!
ヘッドウェアが登場するイディオム
A tip of the hat
「Tipping a hat」は、帽子のつばに触れながら頭を軽く下げることを意味します。
これは、伝統的に他の人に挨拶したり、感謝したり、単に認識したりするために行われていました。今日では同じ目的で比喩的に使われます。
I have to tip my hat to the many people who inspired me to achieve success.「成功を収めるために私を励ましてくれた多くの人々に敬意を表さなければなりません」
Keep (something) under your hat
帽子の大きさによっては、その下に何かを隠しておくのは難しいかもしれません! しかし、大きさに関係なく、このイディオムは何かを隠したり秘密にしておくことを指します。
We're planning a surprise party for Marty, but keep it under your hat for now.「マーティのためにサプライズパーティーを計画していますが、今はそれを秘密にしておいてください」
他にも「keep it under wraps(隠しておく)」という表現があります。Wraps は「包むもの」や「覆うもの」という意味です。これもよく使われる表現で、意味は全く同じです。
We've decided to keep the news about the company merger under wraps until the deal is finalized.「会社の合併についてのニュースは、取引が完了するまで秘密にしておくことにしました」
Throw a hat into the ring
このイディオムは19世紀のボクシングに由来します。当時、ボクサーが試合に参加したいと意思表示するために、自分の帽子をボクシングのリングに投げ入れていました。これが転じて、何かに挑戦することや名乗りを上げることを意味するようになりました。
The boss asked for volunteers to lead the project, but no one threw their hat into the ring.「上司がプロジェクトのリーダーを募ったが、誰もその挑戦に名乗りを上げなかった」
Old hat
Old hat という表現は、何かが古くて時代遅れであり、もはや新鮮さや興味を引かないことを意味します。このイディオムは、よく知っているものや繰り返し経験しているものに対して使われます。
These marketing strategies are old hat. We need some new and exciting ideas.「こうしたマーケティング戦略はもう古い。 新しくエキサイティングなアイデアが必要だ」
ボディ・中央部の衣類にまつわるイディオム
Give the shirt off your back
これは、非常に親切で他人に対して寛大である人のことを指します。直訳すると「自分の背中のシャツを与える」という意味になりますが、実際には「持っているものを惜しみなく提供する」や「自分のために必要なものさえ他人に与えるほどの親切さ」を意味します。
Don is such a nice person; he'd give you the shirt off his back if you asked for it.「ドンはとてもいい人で、頼めば着ているシャツだってくれる」
Wear one’s heart on their sleeve
このフレーズは感情や気持ちを隠さずに素直に表に出すことを意味します。この表現を使うと、誰かが自分の感情を隠すことなく、ありのままに見せていることを示します。
Sid never hides his emotions and always wears his heart on his sleeve.「シドは自分の感情を隠すことなく、常に感情をむき出しにしている」
Blue-collar / White-collar
これらの比喩的な表現では、労働者の襟の色がその人が従事する仕事の種類を表しています。
基本的に、ブルーカラー(青い襟)の仕事は工場や倉庫のような場所で行われ、工具や体を使って働く人々が従事します。一方で、ホワイトカラー(白い襟)の仕事はオフィスで行われ、管理者やマネージャーのような人々が従事します。ホワイトカラーの仕事はブルーカラーの仕事よりも給料が高いことが多いです。どちらも形容詞として使われます。
It's hard to afford this on a blue-collar worker's salary.「ブルーカラーの労働者の給料ではこれを賄うのは難しいです」
The young employee had ambitions to join the white-collar staff members in the top levels of the company.「その若い社員は、会社の上層部にいるホワイトカラーのスタッフに加わることを目指していました」
Hot under the collar
これは「非常に怒っている」や「イライラしている」という意味のイディオムです。怒りやストレスを感じているときに体温が上がり、特に首周りが熱く感じることに由来しています。
Talking about politics usually gets everyone hot under the collar. I suggest you avoid that topic.「政治の話をすると、たいていみんなカッとなる。その話題は避けた方がいい」
Keep one’s shirt on
「冷静でいる」や「落ち着いている」という意味です。この表現は、誰かが怒りや焦りなどの感情を抑えて冷静になるように促す際に使われます。
Keep your shirt on — everyone will get their turn, so please be patient.「落ち着いてください! 全員に順番が回ってきますので、しばらくお待ちください」
Keep something in your back pocket
「後ろのポケットに何かを入れておく」というのは、何かがより役に立つかもしれないときのために取っておくことを意味します。
The coach decided to keep his team's special strategy in his back pocket until later in the game.「コーチは、試合後半までチームの特別な戦略を取っておくことにした」
Ride someone’s coattails
コートテールとは、昔ながらの男性用スーツから垂れ下がっている長い布のことです。
誰かのコートテールに「ride(乗る)」というのは否定的なニュアンスがあり、その人の成功を享受するために誰かの近くにいることを意味します。
It's clear Jim is just riding his partner's coattails; he hasn't done anything to contribute to the company's success.「ジムがただパートナーの成功に便乗しているだけなのは明らかだ。彼は会社の成功に何も貢献していない」
腕と手の衣類にまつわるイディオム
Fit like a glove
手袋のようにぴったりとフィットするものを指す表現です。文字通りにも比喩的にも使えます。
Ooh, this jacket fits like a glove. I'll take it!「おお、このジャケットは私にぴったりだ。もらうわ!」
Jenny, our newest employee, fits our team like a glove.「私たちの新入社員のジェニーは、私たちのチームにぴったりフィットしています」
Off the cuff
Cuff は「袖口」を指す単語です。これは自発的に、あるいは計画なしに行われることで、「即興」という意味に近いです。
The experimental band performed the entire concert off the cuff.「その実験的なバンドは、即興でコンサート全体を演奏しました」
The politician's off-the-cuff comments have gotten him into trouble on many occasions. 「その政治家の即興のコメントは、何度も彼をトラブルに巻き込みました」
Have something up one’s sleeve
これは何かを隠しておいて、戦略的なタイミングでそれを明らかにすることを意味します。このイディオムは否定的なニュアンスを持つことが多く、疑わしいと思われる他人について言われることが多いです。
ギャンブラーがポーカーのようなゲームで不正をするために、袖にトランプを隠していたことに由来しているのかもしれません。
Don't believe everything Chad tells you. He's always hiding something up his sleeve.「チャドの言うことを全部信じないで。彼はいつも何かを隠しているから」
レッグウェアが登場するイディオム
Wear the pants
「ズボンを履いている」人は、最も権力と権威を持っている人のことです。
Don't be fooled by Marie's sweet face and manners; she wears the pants in her house.「マリーの優しい顔や振る舞いに騙されないでください。家では彼女が実権を握っています」
Put your pants on one leg at a time
これは「誰もが同じように普通の人間である」という意味の英語の表現です。このフレーズは、どんなに成功している人や有名な人であっても、みんな同じように日常のことをこなしているということを強調しています。つまり、誰もが平等であり、特別ではないということを示すために使われます。
Don't think she's so different from you and I; even though she has millions of followers, she still has to put her pants on one leg at a time.「彼女には何百万ものフォロワーがいるけれど、あなたや私とそう変わらないよ。彼女だって、ズボンを履くときは一度に片足ずつ履くんだから」
Waiting for the other shoe to drop
この表現は、何か悪いことや問題が起こるのを予期して待つという意味です。最初の悪い出来事が起こった後で、次に続く悪い出来事が起こることを心配している状態を指します。
Many workers in the company have already been laid off. The rest of us are safe for now, but we're waiting for the other shoe to drop.「会社ではすでに多くの従業員が解雇されました。残っている私たちは今のところ安全ですが、次に何が起こるか心配しています」
In someone else’s shoes
「誰かの靴の中にいる」というのは、他人の視点や経験を理解することを示します。この表現は以下のように、さまざまな使い方ができます。
Put yourself in someone else's shoes
Jack's been really grumpy lately.
「ジャックは最近本当に不機嫌だね」
Yeah, but put yourself in his shoes: he's been working overtime all week. He's probably very tired.
「うん、でも彼の立場になって考えてみて。彼は今週ずっと残業している。きっとすごく疲れているんだよ」
If I were in your shoes ~
She's always so confident. If I were in her shoes, I'd be terrified.「彼女はいつも自信に満ちている。もし私が彼女の立場だったら、恐怖を感じると思う」
Walk a mile in someone's shoes
Don't judge me until you've walked a mile in my shoes.「私の立場になってみるまで、私を批判しないでください」
If the shoe fits, wear it
直訳すると「その靴が合うなら履けばいい」ですが、実際の意味は「(その批判が)自分に当てはまるなら受け入れなさい」というものです。一般的には、批判が事実のように見える場合、その批判を受け入れるように促すときに使います。
この表現は wear it をつけずに言うことが多いです。
My teacher says my English hasn't improved because I don't speak it enough.
「先生が言うには、僕の英語が上達しないのは話す量が足りないからだって」
Well, if the shoe fits …
「まあ、(その批判に)思い当たる節があるのならね…(受け入れるべきだね)」
Knock your socks off
これは「驚かせる」や「感動させる」という意味の慣用句です。
I wasn't expecting to enjoy the movie, but it absolutely knocked my socks off! It's my favorite film of the year.「この映画を楽しめるとは思っていなかったが、私の予想を見事に裏切った! 今年一番のお気に入りだ」
衣類にまつわるイディオムを使ってみよう
いかがでしたか?
衣類に関する英語表現がこんなにあるとは、意外だったのではないでしょうか。
聞いたことがある表現も、今回初めて聞いたものも、ぜひ次回の英会話で使ってみてくださいね。