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なぜSpring has come? 英語の現在完了形と過去形の違いを復習しよう

なぜSpring has come? 英語の現在完了形と過去形の違いを復習しよう

街を歩けば新緑が目に飛び込んでくるようになり、春の気配が漂ってきましたね。「春が来た」は英語でよく、

"Spring has come."

とあらわされます。「来た」なのに、なぜ "Spring came." ではないんだろう、と思ったことはありませんか?

そのニュアンスの違いを理解するために、今回は過去形と現在完了形の違いをもう一度おさらいしてみましょう!

 

過去形と現在完了形

過去形は<動詞の過去形>であらわし、現在完了形は<have + 動詞の過去分詞形>であらわすというルールはすでにご存じのことでしょう。

参考:英語できる感アップ間違い無し! “線”で捉えればわかりやすい完了形【七未の文法講座#003】

なぜ "Spring has come." になるのかを解説する前に、まずは過去形と現在完了形の違いを、「ペンを失くした」という簡単な例文で見てみましょう。

「ペンを失くした」を英語にするとき、「失くした」を見て「失くす(lose)」の過去形 "lost" をチョイスするかと思います。すると、以下のようになります。

<過去形>
I lost my pen.
「私はペンを失くした。」

これでペンを失くした事実をあらわすことができました。

でも、日本語訳は同じ「ペンを失くした」であるにもかかわらず、過去形ではなく現在完了形であらわされることも実はよくあります。では、現在完了形の場合、どんな英文になるか見てみましょう。

<現在完了形>
I have lost my pen.
「私はペンを失くした。」

ここまでは大丈夫ですね。過去形は "lost" 、現在完了形は "have lost" と、きちんと文法のルールにのっとっています。そして、両方とも日本語訳は「ペンを失くした」で、どちらもペンを失くしたという事実をあらわしています。

では、いったい何が違うのでしょうか?

それは、それぞれの英文がもつ【イメージ】。ネイティブスピーカーはこれら2つの文章を聞いたときに、違うイメージを思い浮かべるのです。

このイメージの違いが分かれば、「春が来た」を "Spring has come." であらわす理由が簡単に理解できるようになりますよ。

ではまず、過去形がもつイメージから見ていきましょう。

 

過去形がもつイメージ

照明が消えて真っ暗な劇場をイメージしてみてください。あなたは客席にいて、遠くのステージ上にポンとスポットライトが当たっている場所があるとします。

過去形がもつイメージ

これこそが過去形のもつイメージです。

過去形で出来事を述べたとき、相手の心に思い描かれるのは、遠くのステージ上のスポットライトが当たった一点のみ。

例えば、上に出てきた "I lost my pen." の場合、遠くのスポットライトが当たっているところに、あなたがペンを失くした姿が映し出されています。「ペンを失くした」という出来事が遠くに(=過去のものとして)感じられているイメージですね。

では次に、現在完了形のイメージを見てみましょう。

 

現在完了形がもつイメージ

さきほどの過去形で出てきたステージをもう一度思い浮かべてみてください。

そして今度は、スポットライトがステージ上の一点だけでなく、ステージから客席の自分のところまでずっと続いている状況をイメージしてみてください。

現在完了形がもつイメージ

これが現在完了形のもつイメージです。

過去形であらわす場合と違い、現在完了形で出来事を述べたときに相手の心に思い描かれる(=スポットライトで照らされる)のは、遠くのステージ上から自分の足元までの範囲です。

例えば、 "I have lost my pen." の場合、遠くのスポットライトが当たっているところに、あなたがペンを失くしたという出来事が映し出されているのは変わりませんが、それが現在にまで繋がっています。

現在完了形における「ペンを失くした」のイメージは、現在と切り離された過去の遠い出来事ではなく、現在もその状態(=ペンを失くした状態)であるという、「今とつながっている」ものなのです。

 

現在完了形を使う理由

ここで、違いをまとめてみましょう。

"I lost my pen." は単に「過去にペンを失くした」という事実を述べているだけで、100年前だろうが1時間前だろうが、それは現在とは切り離された過去の出来事として淡々と語られる。これが過去形です。

対する "I have lost my pen." は「過去にペンを失くし、今もその状態が続いている」という、現在とつながっているライブ感が伝わってきます。これが現在完了形です。

過去形・現在完了形ともに「過去にペンを失くした」という事実は変わりません。しかし、過去の出来事だけでなく現在も失くしている状態という「今への繋がり」を伝えるのが現在完了形なのです。

日本語では、どちらも「〜した」と同じ形になりますが、英語ではこの違いを区別して表現しているんですね。

 

「春が来た」を英語で言うと?

春がきた

過去形と現在完了形のイメージの違い、現在完了形を使う理由はお分かりいただけましたでしょうか?

それでは、お待たせしました。冒頭の「春が来た」に話を戻しましょう。「春が来た」を過去形であらわすと、こうなります。

"Spring came."

こう言われると、どんなイメージを持ちますか?「過去に春が来た」という、現在とは切り離された昔のできごとを淡々と語っている感じがしませんか?

では、現在完了形であらわしてみましょう。

"Spring has come."

今度はいかがでしょうか? 空気が暖かくなってきて、花が咲き始めている…。「今、春がここに来ている」という状態を感じることができるのではないでしょうか。

往々にして「春が来たね」と言う時は、実際にそのシチュエーションを思い浮かべても分かるように、「過去に春が来た」事実を言いたいのではなく、春がやって来てルンルンしている「今の感じ」を伝えたいはずです。

これで "Spring has come." と、現在完了形であらわす理由がお分かりいただけましたね。

 

最後に

今回は過去形と現在完了形の違いを、それぞれが持つイメージをもとに解説しました。

もっと違うアプローチの解説もありますが、今回の例でお伝えしたとおり、「話し手がどこにポイントを置いているのか」をイメージでとらえるのが一番わかりやすいのではないかと思います。

過去形の現在とは切り離されたイメージと、現在完了形の現在としっかり繋がっているイメージ。これをしっかりと掴んでくださいね。