堂本 かおる
(更新)
101(ワン・オー・ワン)とはものごとの基礎、基本、または入門講座のこと。このコラムでは毎回、多彩で雑多でホットでクールでクレイジーで奥の深い魅力に溢れたニューヨークのベーシックを、英語のワンフレーズ紹介と共にお伝えしていきます。
ニューヨーカーの朝食にもいくつか定番メニューがあります。それぞれ自宅で食べる人もいれば出勤途中にダイナーに立ち寄って食べる人、コーヒーショップやコーヒーカートで買い、オフィスで食べる人もいます。
最もシンプルな朝食は、コーヒーのみ。忙しいニューヨーカーには朝ご飯を抜いてしまう人も少なくありませんが、これはオススメできませんね。するとコーヒーにドーナツやマフィンといった甘いペイストリー、またはベーグルとなります。マフィンもダイナーでは温めてもらえるので嬉しいですね。ベーグルもトーストしてもらえるのでクリームチーズ、バター、ジャムなどお好みでどうぞ。
こうしたシンプルな朝食も、最初は注文にやや手間取るかもしれません。とにかく選択肢が多いのです。ベーグルの種類、トーストするか否か、何を塗るかを伝えなくてはなりません。
「ポピーシード・ベーグルをトーストしてバターとジャムを塗ってください」
画像元:Breakfast
朝はシリアルを食べる人も、とても多いです。アメリカ人はシリアルが本当に大好きなのです。その証拠はスーパーマーケットのシリアル・コーナー。通路1本分の棚がシリアルに占領されていることも珍しくありません。まさに無限のチョイスがあり、目移りすることこの上無しです。
大人、特に女性はノン・シュガーやブランなど、ダイエットや健康に気を遣ったシリアルを好みますが、子どもは真逆。パッケージにキャラクターが描かれた子ども用のシリアルはカラフルで甘くて、まるでお菓子のようです。フルーツ味、チョコレート味、ピーナツバター味etc., 含まれている砂糖の量が多過ぎて不健康と指摘されることもしばしばです。
けれど老若男女を問わず国民的な人気を誇るのは"Honey Nut Cherrios"でしょうか。全粒粉の小さなドーナツ型のシリアルで、ハニーのほんのりした甘味とアーモンドのフレイバーが特徴。大人も子どもも大好きです。ミルクをかけずにそのまま赤ちゃんのおやつとしても重宝されています。
画像元:Reglas para un desayuno saludable
レストランではパンケーキ、ワッフル、フレンチトーストが朝の人気メニューです。いずれもフルーツを添える人もいれば、ベーコン、ハム、ソーセージを添える人もいて、一枚のお皿に全てが一緒に盛られてきます。当然、パンケーキにたっぷりかけたメイプルシロップがベーコンやソーセージにまでかかりますが、アメリカではその甘さとしょっぱさのコンビネーションを楽しむのです。
卵料理も定番です。エッグス・ベネディクト、チーズ入り、マッシュルーム入りなど何種類もあるオムレツの他に"Two Eggs Any Style"が定番中の定番です。
店によって多少の違いはありますが、ミニ・グラスに入ったオレンジジュース+トースト+卵2ヶを好みに調理したもの+ホームフライ+ベーコン/ハム/ソーセージのどれかひとつ+コーヒーのセットです。
卵は"Scrambled egg"(スクランブルド・エッグ)、"Sunny side up"(目玉焼き)、"Over easy/Over medium/Over well" (両面焼き。焼き加減によって使い分ける)、"Poached egg"(落とし卵)、"Boiled egg"(ゆで卵)などと注文します。卵2個では足りない人は3個にしてもらうことも出来ます。
ホームフライはサイコロに切ったジャガイモに玉ねぎかピーマンを入れて炒めたものですが、ニューヨークではややマッシュ状態にしてこんがりと焼きます。ニューヨーカーにとってはまさに故郷の味、日本人にとっての肉じゃがのようなものでしょうか。
今、ちょっとした話題になっているのが俳優のケヴィン・ベーコン出演の"The American Egg Board"のCMです。
卵の消費を推進する、いわば卵協会とでも言うべき団体が、「卵で栄養たっぷりの朝食を摂りましょう!」キャンペーンにケヴィン・ベーコンを抜擢したのです。理由は……卵と言えばベーコン、“ベーコン&エッグ”です。こんなダジャレなCMに真面目な顔で出演するケヴィン・ベーコン。なかなか味があります。
では今週も、健康で充実した生活のために"Don't skip breakfast!"