Daylight Saving Time(サマータイム)とは?目的や影響を解説
海外の制度で「サマータイム」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。
しかし、具体的にどういうものなのかは経験してみないと、なかなかピンと来ないのが、この「サマータイム」です。
1年のうち昼の時間が長い約半年間、時計の針を1時間進めることによって、明るい時間を有効に使おうというのが目的の制度です。
サマータイムが導入されている国に行く人・暮らす人のみならず、その国の人とやり取りをする必要がある人にも影響がありますよ。
今回は、そんな「サマータイム」についてご案内していきます!
サマータイムとは?
サマータイムは英語でも文字通り summer time と呼ばれます。しかし、もし daylight saving time という言葉を耳にしたら、これもまたサマータイムのことを指しています。
Summer time(夏時間)はイギリス英語、北米では daylight saving time (DST) という表現が使われます。直訳すると「日光を有効に使う時間」です。
その名の通り、昼の時間が長くなる春から秋にかけ、時間を1時間進めて明るい時間帯を有効活用しようというのが狙いです。そのため、緯度が高く、夏季の昼の時間帯が長いヨーロッパや北米を中心に中東・オセアニア・南米の一部の国で実施されています。
なかにはヨーロッパといえどアイスランドのように、白夜になるためサマータイムの必要がないという国もありますよ。
また、サマータイムにまつわる英語のフレーズに「Spring Forward, Fall Back」というものがあります。これは、春にサマータイムが始まると時計を1時間進め、秋にサマータイムが終わると1時間戻すという記憶を呼び起こすための言葉です!
このフレーズの何が面白いかというと、季節の言葉と別の言葉をかけているからです。Spring には「春」という意味がありますが、「飛ぶ」「跳ねる」という意味もあります。つまり、「前へ跳ねる」という意味になるため、時計を1時間進めることを思い出すことができるのです。
Fall も「秋」という意味ですが、fall back になると「落ちる」や「後退する」という意味になります。
サマータイムは、いつからいつまで?
サマータイムの開始日と終了日はカレンダーでちゃんと決まっています。例えば、アメリカ・カナダ(一部地域を除く)とヨーロッパ(一部地域を除く)では次のようになっていますよ。
アメリカ・カナダ
- 開始:3月第2日曜日2:00
- 終了:11月第1日曜日2:00
ヨーロッパ
- 開始:3月最終日曜日1:00
- 終了:10月最終日曜日1:00
北米を例にすると、3月第2日曜日、時計が夜中の2時を指すはずのところ次の瞬間、表示が3時になるといった具合になります。この奇妙な現象はスマートフォンでサマータイムがある国の時計を表示させておけば、皆さんもその瞬間を目撃することができます!
その日を境に時差に1時間のずれが生じます。例えば、日本とバンクーバーの時差は17時間ですが、サマータイム実施中は16時間となります。
この時期、旅行などで移動する人は頭に入れておかないと飛行機を逃すなどのトラブルになりかねません。
また、海外とやり取りがある人は約束の時間を間違えないようにしなければなりませんし、投資家にとっては海外の株式市場が開く時間が変わるのは重要事項ですよね。
サマータイムが始まった理由と影響
ヨーロッパや北米では夏季の間は20時~22時頃まで明るかったりします。となると時間を少し進めて明るい時間を有効に使おうという発想が出て来ることにも納得できるのではないでしょうか。
日光をできるだけ長い時間利用して照明などの省エネを狙ったのがサマータイム導入の始まりでした。
しかし、生体リズムへの影響から急性心筋梗塞が増加、眠りの質・量の変化が認知機能を低下させ交通事故が増加といったデメリットも。
それに加えて、元々の導入目的だったエネルギー消費抑制は人々の生活サイクルの変化でその効果も薄れ、いったん採用したものの廃止にした国が少なくありません。実は、日本もそんな国の一つなのです!
日本のサマータイム
現在の日本ではサマータイムはありませんよね。しかし、「GHQの指令により『夏時間法』が制定され、昭和23年から26年までの4年間実施されたが、過重労働、慣習の変更を好まないなどの理由により廃止となった」という過去があります。
最近では、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催時の暑さ対策として日本オリンピック組織委員会がサマータイムの導入を政府に提案した経緯もありました。数々のデメリットが考慮されて実施には至りませんでしたね。
サマータイムをやめたところは多い
サマータイムがある国でも実施されない所があったりすることも知っておかなければなりません。
例えばアメリカでは、アリゾナ州とハワイ州のサマータイムは1960年代に廃止されています。一年中太陽が降り注ぐ地域なので必要ないという理由です。
また、EUではサマータイム廃止の声が高まり、サマータイムは2021年を最後に廃止・加盟国がそれぞれに標準時を選択することが決まっていましたが、新型コロナウイルス感染症が始まって議論が中断。
結果、2022年も例年通りサマータイムが実施されました。2023年も2月現在では実施の見込みとなっていますが、廃止の方向性は変わっていません。
実は他にも、いったん採用してみたものの中止した国が2000年代だけでも結構あるんです。たった1時間とはいえ、人の体と暮らしに与える影響は大きいということですよね。
まとめ
サマータイムは海外で行われる制度と思いきや日本でも導入されたことがあったこと、しかもつい最近にも検討されていたということに驚いた人もいたのでは?
サマータイム廃止の法案が欧州議会で可決されているにもかかわらず、実行時期が定まらないEUの行方が注目されますね。