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夏休みや海水浴、プール、キャンプなど、さまざまなことを想像するかと思います。このような夏の風物詩のなかでも一際人気なイベントがありますよね。
そうです、花火大会です!
日本の夏といえば花火大会。日本では主に夏から秋にかけてたくさんの花火が打ち上がるのですが、海外ではどうなのでしょうか?
今回は、花火が有名な国々を10か国ご紹介します! それぞれの花火がいつ上げられ、なぜ上げられているのか、その歴史についても触れながらみていきましょう。
花火についての豆知識や、他の国の花火についてお話をする前に、まずは花火関連の英単語をご紹介します。
今や「見て楽しむ」ためのものとなっている花火ですが、もともとはそうではなかったようです。
紀元前221年〜210年の秦の始皇帝の時代に、遠くにいる仲間に情報を伝えるために、火薬を使って、煙を出していたそうです。
これを「狼煙(のろし)」といいます。
そこから時代が流れ、今のような「見て楽しむ」花火ができたのは14世紀ごろで、それも中国ではなく、イタリアから始まったとのこと。そしてここから世界各国に広がったそうですよ。
もともと違う用途として花火が使われていたなんて、とても不思議な気持ちになりますよね。
花火がどのように世界中に広がったのかがわかったところで、次に、各国の花火についてご紹介します!
日本の花火も、もともとは「見て楽しむ」ためのものとして使われたのではなく、文永11年(1274年)に、当時のモンゴリア軍が来襲したときに、「観賞用」としてではなく「武器」として日本国内に持ち込まれたものです。
花火を「見て楽しむ」ようになったのは江戸時代に入ってからです。徳川家康が、当時の中国の人たちが打ち上げた花火を見て、気に入ったことによって、将軍などの間で花火というものが流行ったそう。
現在は、主に夏から秋にかけて、花火は日本各地で打ち上げられています。日本の花火のなかでも「日本の三大花火」と呼ばれているのは、秋田県大仙市、新潟県長岡市、そして茨城県土浦市の花火大会です。
アメリカでも花火大会が行われますが、主に開催される時期は、独立記念日である毎年の7月4日、そしてお正月です。7月4日に打ち上げられる花火は、独立記念日という記念すべき日を締めくくる「華」でもあります。
日本の花火大会はだいたい夜の7時から行われますが、アメリカの7月といえば夏至が近い時期ということもあり、日照時間が長いです。そのため、花火は、太陽が完全に沈みきった夜9時から行われることが多いです。
日本やアメリカのように、夏の時期に開催される花火大会もあれば、秋から冬にかけての時期に開催される花火大会もあります。
イギリスの花火大会は、その一つです。
イギリスにはガイ・フォークス・ナイトという大きなイベントが、毎年11月5日に開催されます。
1605年11月5日に、王暗殺計画を立てていた集団がいましたが、その計画は失敗に終わりました。王様の無事と、これからの平和を願って、このときから毎年花火が打ち上げられるようになりました。
では、このイベントはなぜ「ガイ・フォークス・ナイト」と呼ばれているのでしょうか?
実は、王暗殺計画を企てていた犯人の集団の一員にガイ・フォークスという名の男がいました。彼は最初に捕まった犯人で、後にすべてを告白したことから、11月5日のこのイベントを「ガイ・フォークス・ナイト」と呼ぶようになったのです。
先ほどお話ししたように、「見て楽しむ」ための花火を最初に打ち上げられた場所がイタリアです。
13世紀に、キリスト教のイベントの祝砲として、色のついた煙を焚いたのが始まりとのこと。そして時代が流れ、14世紀には「見て楽しむ」ために、フィレンツェで打ち上げ花火が打ち上げられました。
それ以降、イタリアでも夏になると大きな花火大会が行われるようになりました。その名も「レデントーレ祭り」。
この祭りは、16世紀にペストという感染症がイタリアを襲い、1576年に終焉を迎えました。このことを神様に感謝すべく、1576年以降の毎年7月の第3日曜日に、レデントーレ祭りが行われ、そこで色とりどりな、大きな花火が打ち上げられるよになりました。
台湾の台北では、毎年、新年をお祝いするための花火大会が開催されています。
台湾一高いビルである台北101より数多くの花火が打ち上げられ、新年になった瞬間、0時0分より約3分間(年によって時間は異なります)、1万以上の花火が打ち上げられます。
2020年のお正月には1万6千発の花火が打ち上げられたのだとか。
また、この台北101の花火だけでなく、毎年の2月ごろに行われる厄払いの花火大会が、2日間にわたって開催されます。「世界でもっとも危険な祭り」と呼ばれるこの「ロケット花火祭り」は、ロケット花火を200万発以上点け、体に花火が当たると御利益があり、厄払いになるという言い伝えがあります。
とても危険なので、あまりおすすめできませんが…。
たくさんの「世界一」を保持しているアラブ首長国連邦(以下UAE)は、花火大会でもギネス世界記録を持っているのです!
ドバイから114kmの位置にあるラアス・アル=ハイマ首長国という場所で行われる年越しの花火がとても豪華で有名です。
2018年に「世界最大の打ち上げ花火」としての記録を皮切りに、2019年には「最長の連鎖花火」と「最長の直線花火」、そして2020年にはドローン173機による花火で「同時に花火を打ち上げた無人空中機の数」と、3788m 86cmの「最長の花火の滝」として、3年連続ギネス世界記録に登録されました。
同じ花火大会で、5つもの世界記録を保持しているのはすごいですよね!
アジア圏で花火が打ち上げられるときに共通していることといえば「新年」。そんなシンガポールも例外ではありません。
シンガポールといえば、マリーナ・ベイが有名ですよね。このマリーナ・ベイでは、年末年始に、シンガポールの最大イベント「マリーナ・ベイ・シンガポール・カウントダウン」が開催されます。
大晦日の夜8時から1時間ごとに小さな花火が打ち上げられ、1月1日の0時を回った瞬間に花火ショーがスタートします。巨大で色鮮やかな花火たちが、マリーナベイ地区を彩ります。
とある地域では夏、そしてまたとある地域では冬に花火が打ち上げられますが、韓国では秋に花火大会が行われます。それも、韓国最大規模で「ソウル世界花火祭り」という花火大会です。
「世界花火祭り」という名前だけに、韓国だけでなく、日本や中国、イタリア、アメリカなどといったそれぞれの国の花火を、漢江(ハンガン)の川に浮かんでいる船から打ち上げるのです。花火だけでなく、音楽も同時に楽しめるので、とても人気ですよ!
ニュージーランドでは、驚くことに、年に4日しか花火を買うことができないのです。1年中、花火をしても良いのですが、販売自体が年に4日しかなく、しかも海外からの持ち込みも禁止されているのです。
厳しく規制されている理由のなかには、火災や人身事故の危険性、そしてペットにストレスを与えるリスクなどがあります。
また、ニュージーランドにはファームがたくさんあり、もしも常に花火を買うことができ、年がら年中花火を打ち上げられるような環境だとしたら、羊や牛といった家畜にも多大なストレスを与えることになるのです。
そんな花火に厳しいニュージーランドですが、合法的に花火をしてもよいと許可されている日があります。それは、イギリスの項目でも書いた「ガイ・フォークス・ナイト」という日です。
ニュージーランドなのに「なぜイギリスの行事を?」と思うかもしれません。ニュージーランドの国旗を見ると、勘の良い方でしたらお気づきかと思いますが、ニュージーランドとイギリスは、歴史的につながりの深い国です。
そのため、イギリスの最大行事の一つとも言える「ガイ・フォークス・ナイト」は、ニュージーランドでも行われています。
また、大晦日には公共的な花火大会が開催されることはありますが、個人的に花火を買うことはできません。最近では、ニュージーランドの先住民・マオリの新年を記念して、いくつかの都市で公共の花火大会が行われるようになりました。
このイベントはMatariki(マタリキ)と言い、ニュージーランドの真冬にあたる7月中に開催されます。真夏の時期に開催されるガイ・フォークス・ナイトと異なり、マタリキでは、夕方から花火大会を楽しめるというメリットもあります。
最後にご紹介するのは、花火の前身ともいえる「狼煙(のろし)」を開発した中国です!
この記事の冒頭でも書いたように、「見て楽しむ」ためのものではなく、もともとは遠くにいる仲間に情報を送るために煙を出していました。
そこからたくさんの時代が過ぎ、今の「見て楽しむ」形の花火が出来上がりました。
そんな中国で有名な花火大会の一つといえば、旧正月である「春節」です。春節をお祝いするために、花火だけでなく、大量の爆竹を鳴らしていましたが、あまりにも煙の量が多く、大気汚染の原因になってしまいました。そのため、首都・北京では2017年より、市中中心部での花火や爆竹を禁止しており、さらに2022年より北京市内全面で禁止することになりました。
春節といった中国のお祝い事には、花火や爆竹が伝統であっただけに、市民からは残念だという声が多数上がっているようです。
今回は世界の花火事情をご紹介しました。
中国から花火が始まったのではないかと予想する声がたくさん聞こえてくるのですが、実は「見て楽しむ」現在の形の花火は、まさかのイタリアから始まったとは思いもせず、びっくりですよね。
海外に行く機会があれば、ぜひ現地の花火大会を満喫してみてはいかがでしょうか?