平 理沙子
(更新)
ニューヨーク・ブルックリン ― 中でも住みたい街No.1といわれる「ウィリアムズバーグ」は、トレンドが生まれる街。
▲韓国発のセレクトショップALAND、アメリカ一号店はウィリアムズバーグに出店した。
対岸にマンハッタンの高層ビル群を臨むこの地に、彼女はいました。
SNSをよく利用する人であればご存知の方も多いだろう、「しおたん」こと塩谷舞さん。現在、大阪とニューヨークの二拠点で生活を送りながら、英語学習ツールとしてDMM英会話を活用されています。
海外に住みながらも英語を学習している理由について伺ったところ、こう話してくれました。
塩谷さん
「実際、NYは移民だらけの大都会なので、英語をちゃんと話さなくても暮らせちゃうんです。
さらに私自身がインターネットが得意だからこそ、余計に話す機会が少ない。移動にはUberやLyft、お店探しにはGoogle MapやYelp、情報収集にはInstagramやYouTube、買い物にはAmazonを使っていて、こういったアプリさえ使えれば、一言も英語を話さずに不自由なく暮らせちゃいます」
※1 Uber/Lyft:アメリカ発祥の配車アプリ。配車の予約から決済までスマホアプリで行うことができる。
今回はそんな塩谷舞さんの現在のライフスタイルを追うべく、ニューヨークでの一日に密着。日米のカルチャーの違いについても、新鮮な切り口で語っていただきました。
朝は10時に起床。
塩谷さん
「だいたいいつも寝るのが深夜2時くらいなんです。時差の関係で夜10時くらいに日本企業とのミーティングが入ることが多くて。
ミーティングの後は頭が冴えてしまうのですぐ眠れず、そのまま仕事をしたり、ツイートしたりしていると寝るのが遅くなっちゃいますね」
DMM英会話レッスンは起きてすぐに受講。
塩谷さん
「フリーランスで、通っている学校や会社がないので、DMM英会話がないと起きる理由がないんです(笑)」
この日のレッスンは日本人講師のMichiru先生と。関心があるアートメディアの英文記事を教材として使うことが多いようです。
塩谷さん
「アートに関する記事は単語の概念が難しいので、日本語で説明してもらえると理解しやすいですし、議論も深まります。最初は正直、日本人の方と英語レッスンするのって気恥ずかしかったんですけどね(笑)
人にもよりますが、アジア圏の先生は比較的ゆっくり喋ってくれます。でも私が暮らしているニューヨークの英語は超高速。だからアメリカ人の英語スピードに慣れたいのと、日本人講師のレッスンも受けたいのとで『プラスネイティブプラン』を受講しています」
なんと!
いちユーザーとして日頃から「DMM英会話が〜」とつぶやきまくっていたら@rina_ishii_99 ちゃんの紹介により、DMM英会話さんに正式にサポートいただくことになりました…!頑張らねば…!
その経緯と、私の @DMMeikaiwa のめっちゃ有益な活用方法をnoteに書いたよ!https://t.co/6ikfqTKuM2
— 塩谷 舞(milieu編集長) (@ciotan) January 11, 2019
塩谷さん
「復習は、基本的にレッスンで学んだ単語をMac(PC)のメモ帳に書いています。iPhoneとも同期されるので便利です!」
さらに、インターネットに造詣が深い塩谷さんならではのユニークな活用法として、世界各国のDMM英会話講師に、その国で流行っているインターネットサービスについてレッスン中にインタビューすることもあるそうです。
DMM英会話講師・ジャマイカの27歳女性に聞きました👩🏾🇯🇲
✔︎一番普及してるのはインスタ、Facebookは過疎ってきた
✔︎人気のインフルエンサーは歌手の @thebellablair やユーチューバー @duttyberryshow
✔︎Netflix大好き
✔︎オンラインショッピングは使わず、店で買う pic.twitter.com/JiTc6TOdUN
— 塩谷 舞(milieu編集長) (@ciotan) January 15, 2019
また、教材として活用しているメディアについても質問したところ、アートメディアの「artnet News」や、ニューヨーク発の女性向けメディア「Refinery29」などを教えてくれました。
塩谷さん
「Refinery29は、政治やファッション、ビジネスの話をまんべんなく取り扱っているのが興味深いですね。NYは女性起業家率がアメリカの中でもトップなのですが、この街で暮らしている起業家やインフルエンサーなどのことが知れて役に立ちます。
さまざまなジャンルを取り扱えど、共通しているのは多様性。たとえばブランドのモデルさんも、さまざまな人種や性別、そして太っている人も痩せている人も起用されることがとても多いです。
多様性があって素晴らしい!と思う一方で、『必ず多様性をアピールしなければ』といった義務感も強いなぁと思いますね。多様性という同調圧力……という複雑な構造です(笑)」
そう笑いながらも次のように続けます。
塩谷さん
「ただ、まずはそうやって形だけでもフラットにしていけば、これまで『自分には無理だから』と夢を持てなかった人たちにも夢や希望を与えられる、ということではあると思うんですよね」
午後はマンハッタンのギャラリーや美術館へ、現地の友人と向かうことが多いそう。
・「ホイットニー美術館」
https://whitney.org/
→ 現代的な建築と現代アートを楽しめる大好きな美術館です。・「ミュージアムオブアーツアンドデザイン」
http://madmuseum.org/
→ 小規模ながら、インディペンデントな展覧会が楽しめます。
・「Pace gallery」
https://www.pacegallery.com/
→ チェルシーのギャラリー街では外せない、世界的ギャラリー。ギャラリーですが、まもなく美術館顔負けの大きなビルに拡大するらしく楽しみ。
・「The Frick Collection」
http://www.frick.org/
→ クラシカルな美術と建築をうっとり楽しめます。このあたりは高級ブティック街なのでお買い物にも◎。
・「New Museum」
https://www.newmuseum.org/
→ クリエイターのシェアスタジオを抱える美術館。テクノロジーを使ったアートや、新しい領域の作品が楽しめます。
どのように外国人の友人を作っているのか聞いたところ、「Instagram経由です」と即答。
塩谷さん
「最初はミートアップに参加していたのですが、会話の糸口を見つけるのが難しいし、喧騒の中で英語で話を続けるのも難しくて、なかなか友達ができなかったんです。
言葉が苦手でも、ビジュアルの趣味が合えば、わかりあえることが多いです。だから、インスタグラムのハッシュタグで近所に住んでいる同年代の人を検索して……『絶対趣味が合う!』と思った黒人の男の子にコメントをつけたら盛り上がり、夫と3人でお茶に行きました。実際会っても共通の趣味がわかっているので、会話が弾みましたね」
こうした友人の作り方を想定し、ニューヨーク渡航直前はInstagramの更新に力をいれていたそう。
塩谷さん
「文字と違って、ビジュアル表現はノンバーバルです。言葉を介さずとも自分の方向性がひと目で伝わるよう、インテリアやファッションを通して自己表現したり、かなり戦略的にインスタを頑張っていました(笑)」
塩谷さん
「家の中で見る動画コンテンツは、NetflixやYoutubeの英語の番組や、現地のテレビのみ。日本の動画コンテンツを見ない、と決めています。
英語のリスニングに慣れると同時に、アメリカ人のカルチャーへの理解も深まるので、知識が増えて楽しいです。もちろん英語オンリーだと疲れてしまうので、Netflixなどでは1回目は日本語字幕を付けて見て、2回目は料理中などに英語の音だけを聞き流しています。
Netflixではドラマよりも、モノづくりなどのリアルなドキュメンタリーをよく見ます。リアルなモノが好きなんですよね。ドキュメンタリーで見た人たちって現実世界に暮らしているから、SNSで後から追いかけてチェックするのも大好きです(笑)」
わーー!
ここ2週間ずっと、隙間時間に@NetflixJP のドキュメンタリーを英語で(内容さっぱりわかんないと続かないから日本語字幕ONで)見てたんだけど、久々に英語のラジオ聴いたら、かなり!聴き取れるようになってた!ってかほとんどわかるわ!めっちゃ嬉しい……
オススメの番組置いときます! pic.twitter.com/MCuTqD1sGa
— 塩谷 舞(milieu編集長) (@ciotan) January 8, 2019
塩谷さん
「事実は小説よりも奇なり……といいますが、メディアの中と自分のSNSがつながったり、何かが生まれたり、自分が社会に何かを投げかけたり出来る今の時代が大好きです。
ある意味、ドラマ以上にドラマティックなストーリーがSNSにはたくさんあります」
さらに、日本のモノづくりについて、塩谷さんはこう話してくれました。
塩谷さん
「ニューヨークに来て、日本の繊細さ、作るものの細かさを改めて実感しました。
『いとあはれ』と『エモい』の意味が近い……だなんてことも言われていますが、そういった言及できないような感情を昔も今も大切にしていたり、それが繊細な物作りにもつながっているんだと思います。
海外生活を通して、そういった『繊細な物作りの心地よさ』に惹かれている自分にも改めて気づきました」
夕食のあとは仕事時間。現在のお仕事について伺ったところ、「日本のスタートアップ企業のコンセプトメイキングのお手伝いをしたり、自分のメディアである milieu に記事を書いたりしています」とのこと。
塩谷さん
「仕事というよりも情報交換的なノリで、日本で会社を経営している友達とチャットすることが多いです。離れていても話したい友人って本当に貴重だし、日本のことがキャッチアップできるので良いですね」
今日一日の取材で、日米のカルチャーの違いについて独自の視点で切り込んでくれた塩谷さん。
海外から見た日本の良さについて尋ねると、このように答えてくれました。
塩谷さん
「今の日本って、中国や韓国に比べて経済的にもカルチャー的にも勢いが無い、と思っている日本の人って多いと思うんです。
実際、高度経済成長の終焉と共に勢いだけの時代は終わり、今はみんながそれぞれ好きなことをやり始めている。でも、この状態が一部のアメリカ人には『脱・大量生産、大量消費』の象徴として映っているみたいなんです。
今アメリカで流行っている日本の言葉の"Zen"や"Wabi-Sabi"、"konmari"とかって、ある意味『脱力系』が多い。
他には"Ikigai"も最近のスタートアップ系のミートアップで使われていたりします。『生きがい』という価値観が欧米圏で再解釈されているんですね。
バリバリ利益を追求して働く……というよりも、好きなことや得意なことを活かしながら豊かに働こう、という解釈なんだそうです。これも一種、脱力系のカルチャーかもしれません」
なるほど!とうなずく筆者に対し、「膨大なデータを見たわけじゃないので、肌感ですが」と補足しながら、自身の今後にも絡めてこのように語ってくれました。
塩谷さん
「あとは、日本の工芸品などの魅力や、それを取り入れた生活の豊かさなどは私もしっかり伝えていきたいなぁ、と思いますね。
日本に帰るたびに画家さんや作家さんの工房を訪ねたりしているのですが……そうして源流をたどりながら、海の外にも広めていきたいなぁ、と」
そして最後に、今後の英語面での目標についても伺いました。
塩谷さん
「生活のため、今後の仕事のためというより、まずは今仲良くなったNYの友人と、もっとテンポ良く話せるようになりたいですね。話したいことは沢山あるのに、幼稚園に戻ったくらいに語彙力がなくってもどかしい!
また、友人と話すだけでは文法の間違いなどを指摘してもらえないので、DMM英会話のレッスンでその辺りを伸ばしていきたいと思っています。
そして、『恥ずかしい』という気持ちが英語力向上において一番邪魔だと思っているので、私は自分の喋れない姿もSNSに公開しちゃうんですね。『恥ずかしい』って思いやプライドを捨てることが第一歩だなぁと思って。
プライドが低いと『これ、どういうこと?』と低姿勢で尋ねられるし、みんなも教えてくれるので。日本で積み重ねた人生を一度壊して、やり直してる感じです(笑)」
近い将来、日米の最新文化の翻訳家になるであろう塩谷舞さんを垣間見た今回の取材。
それは言語的な意味だけではなく、どちらの文化も肌で理解しているからこその「価値観の翻訳家」としてのあり方でした。
「外側から見て初めて気づく、日本の良さ」とはよく言われることですが、日本とそれ以外の国を自分自身の目でダイレクトに見て、肌で感じ、その上で自分自身の言葉で語ることで初めて、自分のバリューを世界で発揮できるのではないか、と考えさせられる取材でした。
今後も、塩谷舞さん視点で発信される日米の最新カルチャーから目が離せません。