「全ての英語に価値がある」イギリス人英語講師 Mairi さんインタビュー

英語といえば、アメリカの言語。
あなたも、無意識にそう思い込んでいませんか?

今回は、日本でイギリス英語(ブリティッシュイングリッシュ)についての情報を発信している人気サイト「British英語.com」の管理人である、イギリス人のMairi McLaren(マリ・マクラーレン)さんにインタビューしました。

実は多種多様な種類が存在するのが英語の世界。アメリカ英語とイギリス英語でも大きな違いがあり、それぞれの英語からは国民性や文化を感じることができる面白さがあります。

そこで、今年の3月にイギリス英語独自の単語や表現をイギリス文化と共に紹介した書籍『日本人が知らないイギリス英語入門』を出版されたMairiさんに、イギリス英語にはどんな特徴があるのか、また多種多様な英語の面白さについてお話を伺いました。実は日本人に通ずる部分のある、イギリス英語に迫ってみます。

 

英語=アメリカ英語ではない。全ての英語に価値がある

ー 今日はどうぞよろしくお願いいたします。
まずは、Mairiさんのプロフィールについて伺ってもよろしいでしょうか。

はい、Mairi McLaren(マリ・マクラーレン、以下Mairi)と申します。イギリスより2005年に来日し、日本に住んで12年になりますね。

イギリスにいて「国外に出てみたい、海外に興味がある」と思った時に、偶然JETプログラムと呼ばれる、日本全国の小中学校などで英語を教えるプログラムを知りました。

漠然と「海外に行ってみたいな」と思って応募したので、最初は日本に行くことになるとは思っていませんでしたが、来てみるととっても気に入っちゃいましたね。日本は素晴らしい国です。

日本で最初に派遣されたのが京都の福知山市。2年ほどそこで教えた後に東京へ来まして、今も東京で英語を教える仕事をしています。

 
ー 最初に京都の学校で英語を教えられていた時は、日本人教師に発音を訂正されたことがあった、と著書に書かれていましたが……

そうなんですよ。実は日本人の英語教師の方から授業後に「正しい発音でお願いしますね」と言われちゃったんですが(苦笑)、それってアメリカ英語を基準にしてるからなんですよね。

英語って、国や地域でそれぞれの英語があって、例えばインドやシンガポールには独特の言い回しや発音がありますが、、どれもすべて英語です。どれが正解というわけではないのですが、まだまだそのように受け取られてないのかなとは感じました。

私の話す発音だって、もちろん英語ですから!(笑)

 
ー だって英語の生まれた国、英国ご出身ですもんね(笑)。

これはちょっとした笑い話なのですが、昔中学生の教え子に、「先生はどこの国の人ですか?」と聞かれ、「イギリスですよ」と答えると、「イギリスって何語を話すんですか?」と言われてびっくりしちゃったことがあります。

私は日本で色々な人に「イギリス英語は訛ってますね」と言われたことがありますが、私がみなさんに知って欲しいことは、「全ての英語には価値がある」という事です。

つまり、アメリカ英語だけがただ一つの「正しい英語」というわけではありません。イギリス英語は「訛り」ではなく、英語の一つの種類です。そのことを知ってもらえたら、と。

 

ー そういうことを伝えたい、という思いで人気サイト「British英語.com」の管理人をしていらっしゃると。私も過去に気になってイギリス英語について調べた時、最初に出てきたのがMairiさんのこのサイトでした。

そうですね。2013年から今のサイトを運営していますが、もともとは友人たちと英語学習サイトを運営していたんです。そこでイギリス英語のことを書いたらとても人気が出て。

私は、日本にはイギリス英語を学びたい人はそんなにいないと思っていたので、とても驚きましたね。それで、大好きなイギリス英語についてもっと日本語で書こうと、サイトを開設しました。

今も引き続き更新していますが、最近はネタ切れになりつつあるので、もしもイギリス英語にまつわる気になる質問があれば、皆さん是非教えてください。お答えします。(笑)

 

イギリス英語に見る英国の国民性

ー 今回出版された『日本人が知らないイギリス英語入門』は、どんな方に是非読んでほしいと思って書かれたものなのでしょうか?

英語を学ぶ人、特にイギリス英語に興味を持っている人に読んでもらえたら嬉しいですね。また、そもそもイギリス英語なんてものがあるんだ、と知らなかった人にも読んでもらえたらいいなと思っています。

実はイギリス人って、ちょっと謙遜しがちな国民性でして。アメリカ映画に出てくるような「Hey!」と言ってハグするような習慣はなくって、そういう部分は少し日本人に似ているのかもしれません。イギリス英語に触れることで、表現方法などからそう言う国民性や文化についても知ってもらえると嬉しいです。

 
ー この本はイギリス英語だけでなく、イギリスの文化などについても詳しく書かれていますよね。

はい。それが単なる英語の参考書ではない、この本の最大の特徴です。

例えば、なにか尋ねるにもいちいち遠慮がちな疑問文を使ったりします(笑)。そういう様々な表現から、イギリス人のことを感じていただけるかもしれません。イギリス旅行に行く際の観光本のような感じで、ぜひイギリス現地にも持って行ってもらえたら嬉しいなと思います。

また、本には音声データがついているのでそれを絶対に聞いてほしいですね。本で読むよりも、まずは聞いてみると「あ、イギリス英語全然違う!」と実感していただけるはずです。

 
ー イギリス英語とアメリカ英語の違いを具体的に感じられる表現ってありますか?

個人的に思うのは、イギリス人って自己紹介が苦手ってことですね。そのせいで、話の順序が違ったりするんです。たとえば、アメリカ人は会ったらすぐ名乗りますよね。ああいうコミュニケーションは少ないように感じます。

関係ない話や雑談をベラベラと話して、最後にちらっと「あ、それはそうと私の名前は〜」という感じで名乗るので、なかなか最初に名乗らない人が多いです。会話の最後の方で「By the way, I'm(ところで、私の名前は)」とつけて、名前をさりげなく言うんですよね。

こういった表現を知っておくと、イギリスのドラマなどを見ているときに「あるある」と思いながら面白く観ることができるかもしれません。

 
ー 同じ英語でも、言葉の使い方によって国民性が出るんですね。

例えばイギリス英語では、スポーツの表現が数多くあります。サッカーやクリケットにまつわるイディオムも豊富なんですよ。

例えばクリケットは紳士のスポーツですから、非常にフェアでルールを守る競技とされています。そこから「It’s not cricket(それはクリケットではない)」という表現があり、これは「それはフェアじゃない」という意味になります。こんなところからも、スポーツ好きの国民性が読み取れますよね。

また、階級社会だった名残で出身の階級などによって使う英語の違いなどもあります。言葉遣いというよりは、同じ意味の言葉でも階級によってまったく違う単語を使ってたりするということです。

ちょっとマニアックな話題ですが、同じイギリス英語でも日本と同じように方言があり、出身階級や年代によっても違う英語を使うことがあると言うわけです。

 
ー ちょっと疑問なんですが、イギリス国内でさえ違う英語を使うことがあるのならば、例えばBBCのニュースなどでは、どういった英語を使ってるんですか?

昔は上流な話し方でないとレポーターやアナウンサーになれない、みたいなところはあったようですが、今ではそれぞれのレポーターがそれぞれの出身地のアクセントで話しますね。日本人の感覚からしたら、方言でニュースを聞くようなものです。

皆さんもBBCニュースを見てみれば、バラエティーに富んだ様々な英語を聞けるかもしれません。

英語の違いを尊重し楽しむ

 
ー なるほど。同じ国でも違うことがあると聞くと、世界中で使われている英語って本当に色々な種類があるんだなと感じますね。

真ん中にイギリスやアメリカなどの英語圏の国があって、その周りにインドやシンガポールなどの英語を共通語として使う国があって、さらにその周りには英語を外国語として習う日本などの国がある。

こんなイメージで、英語はそれぞれの国の文化などによって多種多様になっていくと思うんです。

同じ英語ネイティブの国でも、イギリス人の私がアメリカ人に話すときは、さすがにイギリスっぽいスラングなどは意識して避けているんですよ(笑)。日本語でもお年寄りに話すときと、若い人に話すときでは無意識に選ぶ単語や、話し方を変えたりするじゃないですか。あれに近いかもしれません。

それぞれの英語を尊重しあって、それを楽しみながら様々な英語に触れていけるといいですよね。英語をこれから学ばれる方には、そういったことを意識してほしいなと強く思っています。

 
ー 今後も引き続き、イギリス英語について発信して行く活動はされるのでしょうか?

はい。今回の出版にあたって書けなかった他のシーンでの英語表現などもまとめたいですね。恋愛シーンではどういう表現をするのか、皆さん実際に気になっていらっしゃると思うので。イギリス人と恋愛したい時には、是非ご利用ください。(笑)

また子供をバイリンガルに育てたい、という人向けの内容なども順次まとめています。いつの出版になるかはまだ定かじゃありませんが、そういった情報をこれからも日本で発信していきたいですね。

 
ー これからもイギリス英語について面白いこと、タメになることをどんどん発信していってくださいね。
今日はありがとうございました。

 

おわりに

英語は世界中で使われている言語だからこそ、それぞれの国や地域での文化・国民性が隠されています。

それぞれの国について知りたいと思った時に、英語表現で迫ってみると、みなさんも面白い視点を得られるかもしれません。

今回、インタビューさせていただいたMairiさんの書籍『日本人が知らないイギリス英語入門』もぜひ読んでみてくださいね!