「今の学校を見に来てほしい」英語科教員の学び合いの場 “ETP” を立ち上げた公立中学英語科教員・髙田さん

大学入試改革や小学校での英語教育必修化、都立高校でのスピーキング入試導入など、英語教育にまつわるニュースが絶えない昨今。
2020年度に向け、英語教育を巡る現場は大きく変革の時を迎えています。

そんな学校現場で公立中学校の英語教員の一人として働く髙田奈々さん。彼女は、教員業務の傍ら英語科教師の学び合いの場「ETP」を立ち上げ、月に一回勉強会を開き、約一年間活動をしています。

DMM英会話では「ETP」に会場提供として協賛。今回は、発起人である髙田さんにETPを立ち上げたきっかけ、そして今後この活動を通じて教育にどう向き合っていくのかについて、お話を聞かせていただきました。

ETP
英語科教師を中心とする対話ベースの学び合いの場。主に東京近郊で月に1度、3人〜10人弱のメンバーで自身の英語指導法をシェアする活動を行っている。遠隔の場合、音声通話システムを通じた参加も可能。「ETP」は “English Teacherpreneur” の略。

    英語教育ナレッジを「気軽」にシェアする場が無かった

    ー よろしくお願いします。まずは髙田さんの簡単な自己紹介をお願いします。

    都内の公立中学校で英語科を担当しています。教師歴は6年です。教師になったのは、私自身が学生時代に受けた英語教育に飽き飽きしていたことがきっかけです。当時から、文法の説明中心でただ待っているだけの時間も多い英語の授業に対して「創造的な時間が少ないな」と感じていました。そんな思いを抱きつつ、高校で1年間イギリスに留学したのですが、そのときに受けた授業が、日本と違ってすごく参加型だったことに衝撃を受けたことを今でもよく覚えています。

    ー ご自身の原体験が英語教師になったきっかけだったのですね。そんな髙田さんは日々、どんな思いで英語を教えていらっしゃるのでしょうか。また現場で感じる問題点などがあれば教えてください。

    高校生になると専門によっては英語に触れない生徒もいるので、私は「中学校は義務教育の最後の砦」だと考えています。なので、中学生の間に良い英語教育を渡してあげて、将来に向けて羽ばたいてほしい、という気持ちで日々授業をしています。

    問題点としては、どうしても最終的に「受験」に寄らないといけない点です。英語が好きで頑張っていた生徒でも、受験を意識し始めると、英語は得意だからと授業中に寝てしまうことがありました。受験ももちろん大切ですが、せっかくの学ぶ意欲を削いでしまうのはもったいない。そこで、受験英語だけでない、何か違った授業もしてあげたいと思うようになりました。

    ー ETPを発足したきっかけを教えてください。

    上記のように、「何か違うことがしたい」と思いながらも、他の現場の先生の話を聞く機会が全然ないなと思ってました。経験を積んだベテランの先生が発表する学会はあるのですが、現場レベルの先生が気軽に自分の方法をシェアする場がなかったんですね。

    その時、「無いなら、自分で作ろう!」と思い立ったのが発足のきっかけです。このアイデアを伝えたところ、すぐに何人かの仲間が見つかったことも後押しになりました。

    「学び合い」の姿勢を大切に


    ー ETPの活動で大切にしていることは何ですか?

    ・自分たちが実践していることを共有する
    ・ここでの学びを聞いて終わりにせず、次に活かす
    ・教員を目指す大学生や、民間企業で教育に携わる人など、直接教育現場には関わっていない人も集める

    上記の3点について特に大切にしています。英語を学んだ生徒に社会に出てからどう活躍して欲しいのか、というところまで議論が行き着くことも多いので、学校現場に関わる人に限らず、社会で働く幅広い人にオープンな場であるようにしています。

     
    ETPの様子についても取材させて頂きました。
     
    この日のテーマは、英語のカリキュラム「4ラウンド制」について。髙田さん自身が1年間実践してきた結果をシェアし、意見交換が行われました。
    3月にも関わらず大雪の降る寒い日でしたが、髙田さんを含む2人の現役英語科教員、この春から教員となる2人の大学生(2018年3月当時)、さらに音声通話システムを通じて岡山県から参加された方もいらっしゃいました。

    参加者のメンバーにも話を聞くと、「日々の記録と思考の整理と次のための計画を練る場」「自分自身も学び続けるエネルギーになる」と、教員同士の学び合いの場、そしてエネルギーをもらえる場として活用されている姿が印象的でした。

    「今の学校」を見に来てほしい

    ー 今後のETPの目標を教えてください

    教育現場と、教育に関する研究の場の乖離を小さくすることです。今の学会は、現場で教育をしたことがない人々が中心になっているので、議論が本質とずれていると感じることも度々あります。そのために教員の地位を高め、研究の場で現場発信の意見を提言することが目標です。

    最近、アメリカの教育現場では"Teaching Research"が流行っています。これは、教員自身が仮説を立てて授業内で実行し、その結果を鑑みてさらに次の仮説を立てる...という言わば教育のPDCAです。実際のところ、私はP(計画)よりもD(実行)を数打って、より良い授業方法を模索するという形で実践していますが、こういった実践から導き出される現場発信の理論を学会で発表していきたいです。そのための相談の場や仲間作りの場にETPがなれればと思います。「やってみたかったけどやれてない」ということがあれば、ETPで相談して、みんなで後押しする、というようなチャレンジを応援できる場にしたいですね。

    ー 最後に、教育関係者へのメッセージをお願いします。

    「今の学校」を見に来てほしいと強く思っています。「教育」について学校外の人と議論をするとき、どうしても自分たちの受けた十数年前の教育をベースにして考えがちで、お互いの理解のすり合わせができていない部分も多いと感じます。実際、私が社外のイベントにいくと、「先生」や「学校」というのはまだまだ固定観念で語られがちだなと実感します。

    より良い「教育」の実現には、学校でしかできないこと、民間の会社でしかできないこと、どちらもあると思います。社会全体で議論を深めていくためにも、お互いの正しい理解は不可欠です。百聞は一見にしかず、ではないですが、今は学校現場でも一般に向けた公開授業などを多くやっているので、ぜひお近くの学校に足を運んで欲しいです。

    おわりに


    「今の学校」を見に来てほしい、この高田さんの言葉に自分もはっとしました。

    私自身もETPにオブザーバーとして何度か参加をさせて頂いてますが、その度に今の教育現場は常に変革していて、自分の固定観念に気付かされます。
    このお話を伺い、私も英語教育に関わる者の一端として公開授業に参加しました。懸命に授業に参加する生徒たち、新しい方法に絶えず挑戦する先生方の熱気に私自身もエネルギーをもらった瞬間でした。

    みなさまもぜひ、お近くの学校に足を運ばれてみて下さい。

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