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メキシコのマヤ民族の村で活躍するバイオリニスト 渡辺りえさん【まっつん世界一周中】

メキシコのマヤ民族の村で活躍するバイオリニスト 渡辺りえさん【まっつん世界一周中】

まっつんです。現在メキシコにおります。
(まっつん人気記事 「キルギス共和国で人生初のパーマをかけてみたら悲惨なことになった」)

首都メキシコシティにて、バイオリニストやマヤ系先住民族音楽グループのメンバーとして世界中で活躍している渡辺りえさんにお会いしてきました。


渡辺りえ
香川県出身。4歳からバイオリンを始める。
メキシコ国立自治大学、米国ジュリアード音楽院を経て、ウェスタン・イリノイ大学を卒業。カナダの交響楽団でバイオリニストとして活躍後、メキシコに移住。チアパス州立大学にて、後進の指導にあたるほか、マヤ系先住民音楽グループ「サク・セブル(Sak Tzevul)※マヤ系ツォツィル語で稲妻を意味する」のメンバーとしてアメリカ、ヨーロッパなどでも精力的に活動を行っている。

    マヤ音楽が救ってくれた苦しい日々

    渡辺さんの活動について教えてください

    メキシコ最南端にある、チアパス州先住民の村、シナカンタンで暮らしながら、マヤ系先住民音楽グループ「サク・セブル」のメンバーとして、歌とバイオリンを担当しています。
    メキシコシティなどのメキシコ国内や、海外ですとアメリカやロシア、スペインなどでも演奏をしてきました。
    またバイオリニスト育成のため指導を行ったり、チアパス州のオーケストラでバイオリニストとして活動しています。

    【02:渡辺さん演奏中】

    どのような経緯でメキシコに?

    4歳からバイオリンを習っていたのですが、5歳の時に世界的に有名なバイオリニスト、黒沼ユリ子先生とお会いしたことがありました。その時に黒沼先生から褒めてもらえたことが嬉しく、音楽を続けてきました。

    1985年に黒沼先生がメキシコで開校している「アカデミア・ユリコ・クロヌマ」の生徒さん達と来日し、日本の子どもたちと合宿しながら各地で演奏会をする機会がありました。私も参加したのですが、そこでメキシコ人の子どもたちが心から演奏を楽しんでいる姿に感銘を受け、メキシコに興味を持ったのがきっかけです。それまでは練習といえば辛いものでしかなかったですから。

    それから高校3年生の時に留学という形で初めてメキシコを訪れ、高校卒業後もメキシコ国立自治大学の音楽部にて1年間バイオリンを学びました。

    【写真:渡辺さんが通っていたメキシコ国立自治大学。世界遺産にもなっています】

    【03:メキシコ国立自治大学】

    メキシコ先住民の音楽に救われた!?

    メキシコで音楽を学んだ後、アメリカの大学でも改めてバイオリンを勉強しました。その後拠点をカナダに移し、現地の交響楽団で活動してきました。
    カナダ人の夫とも結婚し、演奏活動においてはソリストを務めることもあり、公私ともに充実した生活だったのですが、ある時から歯車が狂い始めました。

    おそらくストレスが原因であると思うのですが、目がぼやけて目の前のものが見えなくなってしまいました。辛く、苦しい日々がしばらく続いたのですが、気分転換でメキシコのチアパス州にある小さな村を訪ねたことで全てが一変しました。

    村を歩いてふと耳にしたマヤ音楽に心を打たれました。音楽の力ってすごいですよね。
    それからすごく気持ちが楽になりました。その後サク・セブルのメンバーとも出会い、意気投合し、2007年にこの地への移住を決意しました。

    【04:インタビュー中1】

    スペイン語上達のきっかけとは?

    「ノー」が言えない、辛い留学生活

    高校3年生の時に1年間、メキシコに留学したときから本格的にスペイン語の勉強を始めました。日本で少し勉強はしていましたが、ほぼわからない状態で、いきなり現地の高校に通うことになりました。

    初めは大変でしたね。
    「ノー」が言えなかった。ノーの理由を説明できるほどスペイン語が話せなかったので、全部シー(スペイン語でイエスにあたる言葉)と答えてました。そのせいでいろいろと問題もありましたが(笑)
    苦しかったことは間違いなかったのですが、最初の半年はものすごい勢いで成長しましたね。自分自身成長を日々実感出来ました。
    ただ、それからが大変でした。

    勉強しても勉強してもそれ以上の上達が感じられなくなりました。完全に停滞していました。

    ホストファミリーからも「どうして私たちみたいな良いホストファミリーがいるのに上手くならないの?」って嫌味を言われたり。別の場所に留学していた友達が私より格段に上手くなっている様子を見て、落ち込んだりもしました。

    本当に伸び悩みましたね。そうして留学期間が終わり、失意の中日本に戻りました。

    1年ぶりのメキシコでスペイン語が急成長!?スランプ脱出のきっかけとは?

    帰国し、日本の高校に改めて通い始めたのですが、あることに気が付きました。
    特段勉強をしたわけではないのですが、以前より勉強がわかるようになっていました。

    語学ということで関連のある英語はもちろんのこと、数学など他の教科も以前に比べて格段に出来るようになりました。不思議な現象でした。
    そして、高校卒業後に1年ぶりにメキシコを訪れたのですが、状況が一変しました。

    周りの声が聞こえるようになって、新聞もスラスラ読めるようになっていました。
    日本にいる間はほとんどスペイン語の勉強をしていなかったにも関わらずです。
    スペイン語が急にわかるようになったことも、高校の勉強ができるようになったことも、後から振り返ると、精神的に楽になったことが大きいのかなと思います。

    勉強に限らず、音楽やスポーツでも停滞期の後に一気に成長することってありますよね。

    必死にやることも大事ですが、気を張りすぎず、状況に応じて休むことも必要かもしれません。

    【05:インタビュー中2】

    メキシコについて

    メキシコ料理はどうですか?

    多くの方がイメージされているとおり、辛いものもありますが、日本人の口に合うものもたくさんあります。

    個人的におすすめなのは、ポソレですね。
    豚の頭やモモ、豚足とトウモロコシの粒を煮込んだスープなんですが、野菜もたっぷり入っていて食べやすくて美味しいですよ。

    【写真:ポソレ。メキシコ人からも人気があるスープです】

    【06:ポソレ】

    もちろん定番のタコスもおいしいですし、変わり種ですとサボテンが個人的には好きです。
    細く切ってきんぴらごぼうと同じ味付けで食べるのがお気に入りです。
    サボテンはポピュラーな食べ物なので、ぜひメキシコに来た際には「サボテン」にチャレンジしてみてください。

    【07:サボテン】

    おすすめの観光スポットを教えてください。

    メキシコは日本の約5倍と広く、見どころも数多くあります。
    マヤ文明やティオティワカン文明の遺跡、ピラミッドなどが各地に点在しています。
    そういうのが好きな人にはたまらない場所ではないでしょうか。

    【写真:メキシコシティから1時間ほどのところにあるティオティワカンのピラミッド】

    【08:ティオティワカン】

    その他にもスペイン統治時代の教会などはキレイで、おすすめですね。
    みなさんぜひ行ってみてください。

    【写真:世界遺産の街オアハカの象徴、サントドミンゴ教会】

    【09:サントドミンゴ教会】

    今後の展望を教えてください!

    2014年を持ってサク・セブルを卒業することにしました。

    今後の活動に関しては未定です。

    ただ、「音楽を通して世界の人々をつなげたい」という軸ははっきりしています。
    音楽は言葉や文化、年齢や性別を乗り超えて人々を結びつけることが出来るのものだと思います。

    どのような活動にしていくかはこれからですが、2015年は心機一転新しいことに挑戦していきたいですね。
    今までの人生においても転機には何かしらのサイン、兆候があった。それを待っています。これからの活動が楽しみですね。

    最後に海外挑戦を考えている方にメッセージをお願いします!

    その土地の言葉を話せることは大事だと思いますが、それが全てではないと思います。
    例え単語が間違っていようと、文法が間違っていようと、心から伝えようという意志があれば相手に伝わるはずです。
    それよりも自分自身が何をしたいのか、どのようにやっていきたいのか、確固たる軸を明確にしてから海外に行くことが大事だと思います。
    それがあれば音楽であろうと、スポーツであろうと、ビジネスであろうと、異国の地でやっていけるのではないでしょうか。

    【10:インタビュー後】

    渡辺りえさんとのインタビューを終えて

    スペイン語学習のスランプを経験されたお話が印象的でした。
    スランプを乗り越えたきっかけとして、時間を置き、精神的に楽になったことが要因とのことでしたが、自分自身も高校までやっていた野球で近しい経験があるので、わかる気がします。

    英語を勉強する中で伸び悩みを経験されている方も少なからずいるかと思いますが、そんな時は少し休んだり、違った形で取り組んでみると突破口が見えてくるかもしれません。

    メキシコですがタコスを筆頭に日本人の口に合うものも多く、食事がいつも楽しみでした。
    見どころも非常に多い国ですので、次の旅行先を探されている方はいかがでしょうか。

    公用語はスペイン語ですが、ホテルなどは英語が通じるところも増えてきています。

    渡辺さんありがとうございました!