英語は苦手!?「世界の絶景」の詩歩が語る、英語を身に付ける「目的」とは

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詩歩
1990年生まれ。早稲田大学卒。インターネット広告代理店の新卒研修で作成したFacebookページ「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」が63万いいね!(2014年11月時点)を突破。2013年8月に同名書籍化し、Amazon総合ランキング1位、オリコン2014年度写真集ランキング1位を獲得するなど話題になっている。
書籍 「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」
書籍 「死ぬまでに行きたい!世界の絶景 日本編」

Facebookページで63万を超える「いいね!」を集め、「旅行」という切り口から毎日の楽しみを発信を続ける詩歩さん。意外にも英語は苦手……と言う彼女の海外経験と、世界を舞台にして活躍中の「世界の絶景」の今後について聞きました。

世界の絶景を通して、毎日を楽しくする

まず最初に、今のお仕事について教えてください。

今は「世界の絶景」を通じて、いろんな人の毎日がちょっとでも楽しくなったらいいなという活動をしています。具体的には、「発信」と「タイアップ」の2つ。発信というのは、取材をお受けしたり、Facebookページを運用したり、書籍を作ったりと、表現をしていく活動です。タイアップは、より多くの人に情報を届けるために、旅行代理店やメーカーさんとコラボレーションしたりしています。最近もカフェのプロデュースで関わらせてもらってたりと、一見旅行とは関係無さそうなジャンルも含めて「絶景」と言う切り口でご一緒させてもらっています。

世界の絶景のキュレーターというイメージですか?

そうですね。私自身は素材を持っていないので、企画ごとに自分の目線で、そのターゲットに合いそうな絶景を選び、表現・発信しています。もともと広告業界にいたこともあって、その経験を活かした裏方のプロデュースのお仕事をメインにしています。

もともと海外を旅するのが好きだった?

そんなに海外経験が豊富なわけではなくて、最近も仕事で行くことが多いです。この前はギリシャの島に3つ行ったんですけど、全部1泊ずつの超弾丸旅行でした。だからよく勘違いされるんですが、私はそんなに「旅人」っていうわけではないんですよ(苦笑)

 

全く喋れなかったイタリアでのボランティアの経験

詩歩さんの海外経験について教えてください。

初めて世界へ行ったのは、大学2年生の時。イタリアへ 1ヶ月間、国際ボランティアをしに行きました。その後、歴史が好きだったこともあってエジプトや南米、あとは何となくオーストラリアへ行ったりしましたね。

世界を旅したいと思った理由は?

私はもともと静岡の田舎出身で、早稲田大学に入学するために関東に出てきたものの、キャンパスが所沢(埼玉県)にあったんです。せっかく東京に来たのに、都会の友だちができなかったな、と思ってて(笑)
大学2年の頃から、他の大学の友達や本キャンパスに遊びに行ったりして友達ができてきて、「次は海外にも友達を作りたい!」と思ったんです。

当時は環境問題の勉強をしていたので、「CIEE」という団体を通して環境系の国際ボランティアプログラムを探して、イタリアに行きました。ただ行くだけじゃなくて、共通の切り口があった方が仲良くなりやすいかなと思って。

イタリアではどんな経験を?

実は、良い思い出が全く無くて……(笑)

当時、英語は得意科目だったんですが、現地で全く喋れなかったんです。読み書きはできるけど、喋れないっていう感じですね。世界中からボランティアの外国人が集まっていたのですが、それぞれに訛りがあったこともあって本当に全く聞き取れませんでした。

ボランティアでは2週間滞在したんですが、もうずっと「めっちゃ帰りたい」と思っていましたね。プログラムの前後でイタリアを一人旅したのは楽しかったですが……自分の英語は通じないんだなと思って失望して帰ったのを覚えています。

当時は、どれくらいの英語力だったんですか?

英検2級って言う感じですね。TOEICは受けていませんでした。

リスニングもスピーキングも全くダメで、プログラムの後半はほとんど誰とも喋ってなかったですね。日本人が一人もいなかったこともあって、とりあえずずっとニコニコだけして過ごしていました(笑)

それがキッカケとなって、英語の勉強をしようと?

と思っていたんですが、結局勉強しなかったですね(笑)
日本に帰ってきてしまうと、英語を学ぶための身近な目的がなくて。だから私は今も、英語はそんなに喋れないんです。旅行英会話くらいの英語力と、あとどうしても仕事で調べないといけないことがあれば、現地のコーディネーターの方に依頼するなどして世界の絶景を追っています。

 

英語がもっと話せたら……絶景を深く知るために欲しかった英語力

「英語が喋れたら、もっとこうできるのにな」と考えることはありませんか?

例えば、すごく綺麗な海があったとして、「いつの時期に行ったら一番綺麗なんだろう」とか「何でこんなに青い色をしているんだろう」って知りたくなるんです。

英語が喋れて、聞けて、そういった絶景の背景だったり深い話も知れたらいいのにな、とはいつも思いますね。歴史もすごく好きなので、絶景はもちろんその土地の歴史の話も聞けたらいいなとか。

絶景に向かうタクシーの中でも、運転手さんがすごく話しかけてくれるのに私が返せないから、後半お互いに黙ってしまう……みたいな。すごくもったいないなと思いますね。

海外旅行は、英語の勉強にはなりませんか?

時間にゆとりを持って、人と話すことを面倒くさがらなければ良いと思いますね。

私の場合、仕事で海外に行っても基本急いでいることが多いので、いつも疲れてしまうんです。移動のバスも寝たいし、ホテル帰ってもすぐに寝たい。もっと時間にゆとりがあって、夜に出かけて仲間と飲みに行くくらい余裕があれば良いのになとは思います。英語を喋るということは、苦手意識を持っている私にとってはエネルギーをすごく使うので、なかなかトライし続けることが難しくって。

外国語と外国人に囲まれている旅行中の環境は、目的とやる気さえあれば、英語を学ぶには最適な環境だと思います。ただ私の場合は、目的がまだ明確でなかったこともあって、はっきりと出ている疲れのほうが優先されてしまったんです。本当にもったいないですよね(苦笑)

 

Facebookページのタイトルを生んだ、オーストラリアでの「死にそうになった」経験

英語が喋れなくて、大変だったことはありますか?

そうですね……ケガをした時は本当に困りましたね。実は、オーストラリアで死にそうになったことがあるんです。交通事故に遭って、ドクターヘリで運ばれて手術したことがあるんですが、朦朧とした頭でオーストラリア訛りの英語を聞き取って、「どこが痛い」を伝えなきゃいけないんですが、全く伝えられないんですよ。「痛い!」→「けど痛いって何て言うんだっけ?」→「とりあえず机をバンバン叩く」という感じでしたね(笑)

ドクターヘリで運ばれた!?そんな大事故だったんですか?

友だち5人でオーストラリアに卒業旅行に行った時の話です。150km/hくらいで走っていたキャンピングカーに乗っていたんですが、2回転半横転して……。私が一番重傷で、運ばれて手術して、すぐ帰国っていう状況でした。

それが大学4年の3月で、ちょうど入社する前の月だったんですよ。頭は大丈夫だったんですが耳が裂けちゃったりして、入社の日は包帯ぐるぐる巻きでした。たぶん周りから見たら、「あいつ何だ?」っていう感じだったでしょうね(笑)

生きてて、何よりです。

新聞の一面に載るような大きな事故で、道路も何時間か閉鎖したみたいです。

そんな死にそうになった経験もあって、今の世界の絶景のFacebookページも「死ぬまでに行きたい」という名前が付いているんです。だからFacebookページも出版した本も、私が本当に死ぬまでに行きたい場所だけが載っています。

「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」を通して伝えたいのは、どんなメッセージですか?

「絶景というコンテンツに今何が求められているか」を私がちゃんと考えて、それに合うようなものを作り続けていきたいと思っています。なので、ニーズがなくなったらスパっと辞めようとも思っているんです。

その上で、私が伝えたいのは、死ぬ時に後悔しない人生を送りましょうということ。自分自身が死にそうな経験をしてみて思うのは、人間って死ぬ時は死んじゃうんですよね。だからそれまでにやりたいことをたくさんリストアップしておいて、最期に後悔しないような生き方をしてほしい。私は「旅行」という切り口で、みんなが行きたい場所を少しでも決める手助けができたらいいなと思って発信を続けています。

もう少し身近なところで言うと、今のFacebookページは毎朝7:30に投稿しています。朝の通勤時間って結構しんどいじゃないですか。朝早いし、満員電車だし、これから仕事だし。そういう時にFacebookを見て、少しでも綺麗な景色を見つけて、「この景色を見に行くために今日もがんばろう」とか、「辛いこともあったけど、もう少し頑張ってみよう」とか、そんな前向きな気持ちになれるようなお手伝いができたらいいなと思いますね。

 

全ての絶景に実際に行って伝えたい

今後、新しくやりたいこと、チャレンジしてみたいことは?

今は私が行きたい「世界の絶景」の場所と行き方を紹介しているのですが、「実際に私が行ってみたらどうだったか?」というコンテンツも今後作れたらいいなと思いますね。

詩歩さんが実際に行ってみて、すごく感動した場所を1つ教えてください。

ジブリの『紅の豚』って観たことありますか?主人公ポルコの隠れ家となったビーチのモデル地と言われている場所が、ギリシャにあるんです。ザキントス島にある「ナヴァイオビーチ」というんですが、断崖絶壁に囲まれている青い海に白い砂浜が、めちゃくちゃ綺麗で……。

日本人は1日に1〜2組しか来ないくらい知名度は低くて、イタリアやギリシャの人がバカンスで来るような島です。崖の高さが200mくらいあるので、ここへ行くには島の反対側からぐるっと4時間程かけて船でしか入れないんですよ。

ここは私が出版した本にも載っていて、すごく行ってみたかったんですが、写真以上の綺麗さでした。まさに絶景でした。こんな実体験に基づくコンテンツを、今後作っていけたらいいなと思いますね。

 

英語はツール。モチベーションを維持するために「目的」を持つこと

英語力の面で、今後こうしていきたいと考えるところはありますか?

私のFacebookページに「いいね!」してくれている人は98%が日本人なので、今はまず国内での活動に注力していきたいと思っています。ただし今後、もし自分がやりたいフィールドが海外だった時は、頑張って勉強したいなと思いますね。

英語っていうのは、目的ではなくツールだと私は考えています。「英語を勉強したい」という目的で勉強しても、うまくいかないんじゃないかと。他のことを犠牲にしながら苦手な英語を無理やり勉強すれば、もっと苦手意識を持ってしまうのではと思うんです。

自分の得意分野をまず伸ばしながら、英語というツールが必要になったときに、頑張って必死になって習得しようと考えています。もちろん、なるべく早く話せる方がいいのは200%間違いないんですけどね(笑)
継続するモチベーションを維持するためにも、ちゃんと大きな目的をまず考えながら、取り組んでいけたら良いですね。

最後に、これから英語を勉強したいと考えている読者にメッセージをいただけますか?

「一緒に頑張りましょう」っていうことですかね(笑)

英語を勉強する目的は、「世界中のかわいい女の子と喋りたい」でも「英語のドラマを字幕無しで観たい」でもいいと思います。その先に何をしたいのかをちゃんと見つけた上で英語を勉強すると、たぶん楽しくできるし、頑張れます。読者の皆さんが英語力を身に付けたいと思う目的が、「世界の絶景に行ってみたいから」になったら、すごく嬉しいですね。

詩歩さん、本日はありがとうございました。