DMM英会話 ブログ 英語でつながる

どんなメニューなの?アメリカやカナダのスクールランチ事情

どんなメニューなの?アメリカやカナダのスクールランチ事情

日本の小学校に通った我が家の子供たちは、カナダに移住後、日本のいろいろな物を恋しがりましたが、その1つが日本の給食でした。

日本の給食が大好きだった娘と息子は、移住当初カナダの小学校で食べられるランチや他の生徒が持ってくるランチにかなりカルチャーショックを受けていたようです。友達の中には、毎日ランチにプリングルスのポテトチップスを持ってくる子がいて、ランチはそれだけなんだそうです。

他にも、毎日(月曜から金曜まで毎日!)チキンナゲットだけを持ってくる子、ランチを食べない子もいたそうです。

今日はアメリカやカナダのランチの歴史や文化、どのようなメニューがあるのか、どのようなシステムなのか、特にカナダの学校のスクールランチ事情を紹介したいと思います!

学校給食の歴史

学校給食の発祥は1796年ドイツのミュンヘンで、労働者向けの簡易食堂で貧困家庭の子供たちのために食事を提供したことが始まりとされています。

アメリカ生まれの物理学者ベンジャミン・トンプソンは、貧困者を雇いドイツ軍の制服を作ってもらう代わりに労働者に衣食を提供し、子供たちには読み書きや算数を教えました。これが学校給食の発祥と言われています。

アメリカでは1894年、フィラデルフィアの学校でペニーランチを提供し始め、このペニーランチがフィラデルフィアの他の8校にも広がっていきました。

フィラデルフィアに続き、ボストンでは the Women's Educational and Industrial Union(女性の教育と労働組合)が高校でホットランチを提供し始め、1910年に家庭科のクラスがボストンの小学生に週3日ランチを提供するようになります。これがアメリカのランチプログラムの始まりとも言われています。

アメリカのランチ文化

現在、全国学校昼食事業(National School Lunch Program)は、児童に栄養豊かな昼食を提供することを目的として、米国の学校区に現金による助成を行っています。全国学校昼食事業は、1946年、恒久的な事業として法制度化されましたが、前項でも触れたように実際には本事業が行われる前から学校給食事業は行われていました。

アメリカの学校給食は一食あたり約2〜4ドル(地域で多少異なる)が一般的です。

低所得世帯の児童は無料または、世帯収入により補助金が出て減額になる場合もあります。

現在9州(ミネソタ州、ニューメキシコ州、コロラド州、バーモント州、ミシガン州、マサチューセッツ州、カリフォルニア州、メイン州、イリノイ州)の公立学校では、朝食と昼食が無料になる「ユニバーサル学校給食プログラム」が実施されています。これは新型コロナウィルスの影響で、失業等経済的に苦しい家庭が増えたことが背景となっています。

学校給食は、連邦栄養基準を満たさなければいけませんが、どのような食事をどのように準備するかは各学校に任されているようです。

基本的な献立は、1) 肉または肉の代替品(チーズ、卵など)、2) 野菜/果物、3) パンまたはパンの代替品(パスタ、シリアルなど)、4) 牛乳の4つのカテゴリーの組み合わせからなっています。

カナダのランチ文化

カナダはG7加盟国の中で唯一、国の学校給食プログラムを実施していない国です。カナダ統計局によると食料価格の高騰により4人に1人のカナダ人の子供が食料不足にあると言います。

それにもかかわらず、カナダ政府が国の学校給食プログラムを実施していない理由は、カナダ児童手当の支給を挙げています。

カナダ政府による学校給食事業が行われていない代わりに、州政府や市町村の助成を受け、あるいは学校自らが学校給食を実施しており、毎日または週数日、ホットミールを有料で提供しています。

我が家の子供たちが通ったカナダの小学、中学、高校では無料の朝食プログラムがあり、毎朝フルーツ、シリアル、マフィン、ジュースなどを食べることができました。これは低所得世帯の児童に限らず、全児童が食べることができ、貧困で朝食が食べられない子供以外にも、さまざまな家庭環境の理由から朝食を食べられない、または食べてこない子たちがたくさん利用していました。

またランチに関しては、低所得世帯の児童は無料で食べることができ、息子の通った高校では低所得世帯の児童はカフェテリアで毎日6ドル分を購入できるようになっていました。

州が学校給食事業に一定の助成を行っているのは、主要10州のうち、ブリティッシュ・コロンビア州、オンタリオ州、ケベック州、ニュー・ブランズウィック州およびニュー・ファンドランド州の5州のみなので、その他の州は全て、自治体からの助成、地元の企業や地域の人々からの寄付、また教師、父兄の支援で成り立っています。

ランチメニュー

日本の給食は、主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物の5つのグループから成り、1日に必要なエネルギーの約3分の1を給食から摂れるよう、栄養士が計算してバランスの取れた献立を立てています。

日本の給食を食べたことがある人からすると、アメリカやカナダのランチメニューは揚げ物や炭水化物が多く、野菜や果物が少なく感じることでしょう。

実際に我が家の子供たちが通った学校のランチメニューを紹介します。

我が家の子供たちが通った小・中学校のランチメニュー

小・中学校のランチは曜日でメニュー(一日1品)が決まっていて、チキンシーザーラップ、ラザニア、ピザ、サンドウィッチなどのローテーションとなっていました。値段は3〜4ドルです。この他に、マフィン、クッキー、シナモンロールなどが1〜2ドルで購入できました。

我が家の子供たちが通った高校のランチメニュー

  • ナチョス $3.50
  • ピザ(1スライス)$4.50
  • フライドポテト (Sサイズ/Lサイズ) $3.50/$4.50
  • 6インチ ガーリックフィンガー $5.00
  • ハンバーガー $5.00
  • チーズバーガー $6.00
  • 本日のスープ $4.25
  • チリビーンズ(パン付き) $4.75
  • チキンバーガー $5.00
  • チキンフィンガー $4.75
  • エッグサラダサンド $4.50
  • チキンサラダサンド $4.50
  • ハム&チーズサンド $4.50
  • ツナサンド $4.50
  • ターキー&ベーコンラップ $6.25
  • チキンシーザーラップ $6.25
  • 野菜スティック $3.25
  • サラダ(Sサイズ) $5.00
  • シーザーサラダ(Sサイズ) $5.00
  • 6インチサブ $5.00

この他にも、デザートやスナックメニューもあります。高校の方がはるかにメニューは多く、小中学校のランチより量が多い分値段も少し高めです。

システム

小・中学校の時は、毎月のメニューを見て前週の金曜日までに次の週の分のホットミールを注文します。オンライン、または紙の申込書で注文することができ、1週間分の金額を前週の金曜日までに学校に支払います。

もちろん自分のランチを持参することもでき、小学校の場合、半数以上がランチを家から持ってきていたと思います。

ほとんどのメニューは、学校内のカフェテリアのキッチンで作られていましたが、ピザだけは街のピザ屋からオーダーしていました。

また8年生の生徒だけは昼休みに親の許可があれば、ダウンタウンにランチを買いに行くことが許されていました。(学校はダウンタウンにありました。)

高校の時は、事前注文する必要はなく、ランチの時間になるとカフェテリアに行き、好きなメニューをオーダーします。

生徒は、学校のカフェテリアで食べる生徒、自分のランチを持参しカフェテリアや教室で食べる生徒、車を運転する生徒たちはマクドナルドやSUBWAYなどのファーストフードやピザ屋、スーパーなどにランチを買いに行く生徒もいました。

その他の学校で提供される特別ランチ

ポットラックランチ

中学校ではポットラックランチというのが年に1度ありました。ポットラックランチは、参加者がそれぞれ料理を持ち寄って共有する食事会の形式です。これは学校行事というより、クラスで行なっていた行事です。担任の先生の希望で、お寿司のリクエストが何度かあったのを覚えています。

PTA主催のBBQ・アイスクリームソーシャル

小中学校では、年度末や学期末に保護者や教師がホットドッグやハンバーガーをバーベキューしたり、アイスクリームを給仕したりして、教師、保護者、生徒との交流がありました。

サンクスギビングランチ

毎年サンクスギビングの前には、学校主催で無料のサンクスギビングランチが提供されます。その時は前もって知らされるので、ランチを持参する生徒たちはランチなしで登校します。

この日は、ターキー、マッシュポテト、温野菜、グレービーソースが出ます。

学年末無料ランチ

小中学校では毎年学年末の最後の週に、街のスーパーがサンドウィッチやラップ、チキンフィンガー、ドリンクやケーキなどを寄付してくれ、子供たちは無料のランチを楽しむことができました。

スクールランチの違いを知ろう

今日はアメリカやカナダのスクールランチ事情を紹介しましたが、いかがでしたか?

残念ながらアメリカやカナダでは、日本の給食のように栄養バランスをしっかり考えたランチを毎日食べることはできませんが、アメリカでもカナダでも低所得世帯の子供たちは朝食とランチが無料で食べられるよう、いろいろな助成や支援があるようです。

ですが食料価格の高騰で、低所得世帯以外の家庭でも毎日栄養バランスが取れた食事を食べられない子供たちが増えているのが現状です。

全ての児童が毎日朝食と温かいランチを無料で食べられるようになるのを願うばかりです。