Kzy Shibata
(更新)
留学をしたいと考えている人、留学することが決まっている人の中には、留学体験談が書かれたネット記事を読みあさっている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
かくいう私もそうでしたが、やはり留学生活がどのようなもので、留学後はどのようなキャリアを送っているのか、という点は非常に気になります。
そこで、今回は私の留学体験について書かせていただきます。
私は語学の習得とサッカーコーチングの勉強のために、イギリスに半年間留学していました。語学はもちろんのこと、サッカーに興味のある人も参考にしてみてください。
私が留学しようと考えたのは、大学を卒業してサラリーマンになった直後です。
もともと、なんとなく海外に対する憧れはあったものの、留学をしようとはこれっぽっちも思っていませんでした。自分が留学をする姿が脳裏をよぎったこともありません。
むしろ入社当時は、「バリバリ仕事を頑張ってやろう」と強く意気込んでいたほど、仕事一筋でやっていくつもりでした。
しかしいざ働き始めてみると、毎日デスクワークが基本で、同じ繰り返しをしているように感じられたのです。次第に「このままサラリーマンを長く続けていくのは無理だな」と感じるようになってしまいました。
今になって思うと、学生気分が抜けていなかっただけなのですが、その時ふと留学しようと考えたのです。
会社に不満があったわけでも、同僚が嫌だったわけでもありませんでしたが、なんとなく「このままで終わりたくない」、という漠然としたものがあったのかもしれません。
また、当時勤めていた会社に海外留学を経験している人が多かったことが多少なりとも影響していたと思います。
というわけで、特に目的があったわけでもなく、思いつきに近いかたちで私は留学することを決心しました。
新卒1年目の4月で留学しようと決心したわけですが、どの国になにを目的に留学をするのか、一切計画を立てていませんでした。
そこで、まずは情報収集を開始。
さまざまな留学形態を調べていくなかで、
・英語圏の国を希望していたこと(英語に多少は馴染みがあるため)
・サッカーの指導者になりたいと思っていたこと(学生時代はサッカー部だった)
・卒業旅行でイギリスに行っていたこと
という3つの点からサッカーの指導者として勉強ができる、イギリスへの留学を目指すことにしました。
これが社会人1年目の5月くらいの出来事です。
そして6月頃に、サッカー留学を専門にあつかう留学エージェントに話を聞きに行き、留学費用が約250万円であることを教えてもらいました。
ちなみに留学期間は半年間で、場所はイギリスのロンドン。半年間で250万円はかなり高いですよね。語学学校に加えて、サッカーの指導者ライセンスを取得するための講習費用も含まれていたため、この金額になっています。
そこからはひたすら貯金と節約の生活が始まります。
もしかしたら、もう少し安くすることもできたのかもしれませんが、私の場合は仕事が忙しく、多少お金がかかっても準備を丸投げできる方が効率的であったため、留学エージェントに100%任せることにしました。
ほんの2ヶ月前まではバリバリ働くサラリーマンを目指していた自分が、2ヶ月後にはイギリスでサッカーの指導者を目指すという、まったく別の目標を掲げているのですから、自分のいい意味での切り替えの早さには驚くばかりです。
かくして私は留学費用の250万円を貯めることになったのですが、幸い?にも私が勤めていた会社は比較的忙しく、働いた分はしっかりと給料に反映してもらえたので、目標としていた金額には約2年弱で到達することができました。
留学まで3、4年はかかると予想していたので、ハイペースでお金が貯まったのは嬉しい誤算でした。
留学資金を得た私は、新卒2年目の2月で会社を退職、その年の4月からイギリスのロンドンへと留学することになりました。ちなみに、学校選びや滞在先(ホームステイ)に関しては留学会社にまかせていたため、特に私個人で何か手続きをしたということはなかったです。
私の場合は仕事をギリギリまでしていたので、準備に割く時間があまりありませんでした。しかし、もし行きたい学校や滞在したい街などがある場合は、留学エージェントに相談したり、自分で探したりするというのも1つの手段ですし、その方が悔いのない留学に繋がるはずです。
以上が、留学決心〜出発までの出来事なのですが、基本的にはひたすら働いており、留学に向けて英語の勉強をしたわけでも、準備をこつこつと進めていたわけでもありません。
ただそんな中でも、次の2つのことには取り組んでいました。
・サッカー指導者としての活動を開始(少年団でコーチ)
・帰国後の大学院進学(日本)を目指して研究室訪問
まず私は、サッカー指導の勉強をするために留学しようとしているのに、それまで指導者として選手に指導をしたことがありませんでした。そこで、自宅の近くにあったスポーツ少年団のチームにボランティアという形で参加し、指導をお手伝いさせていただきました。
また、せっかくサッカー留学をするのだから、帰国後に再びサラリーマンに戻るのは嫌だと思い、サッカーの世界に残っていける道を模索したところ、サッカーの勉強ができる大学院のコースがあったため、そこに進学したいと考えました。
サッカーの世界に関わるというと、「プロのチームを目指すんじゃないの?」と思うかもしれませんが、当時の私は指導者としての経験が浅く、専門的な知識が他の指導者に比べて足りないと感じていました。加えて、プロチームは狭き門ですので、大学院でより専門的な勉強をしたうえでサッカーに関わっていこうと考え、ひとまず大学院進学を視野に入れたのです。
このように改めて振り返ってみると、自分としては思いつきで留学を選んだつもりでしたが、「サッカー」を軸に留学後のキャリアについて多少なりとも考えていたことは大きかったと思います。
そしていよいよ退職してから2ヶ月後の2013年の4月、私は半年間のロンドン留学へと出発しました。
半年間の留学、というと短いと感じるかもしれませんが、実際に“短かった”です。
ただイギリスの場合、6ヶ月以内であればビザなしで留学することができ、それ以上になると語学力の証明が必要になりますので、当時語学力に自信のなかった私は半年という期間を選択しました。
また、私が取得したいと考えていたサッカーのライセンスが、半年間で取得できるものだったのもこの期間を選んだ理由です。できればもっと長く滞在したいという気持ちもありましたが、予算面や帰国後の大学院受験もあったので半年間という決断をしました。
現地では、下の4本柱を軸に生活を送っていました。
・日本人が運営するサッカーチームでの指導
・語学学校で英語の勉強
・イギリスのサッカー指導者ライセンスを取得するための講習会への参加
・帰国後の大学院進学に向けた準備
このように書くと忙しそうですが、実際には毎日サッカーの指導に行っていたわけではなく、また講習会も短期間に一気に行われていたため、ヒマな日も少なくありませんでした。そういった日は放課後に語学学校のクラスメイトとご飯を食べに行ったり、ロンドンを1人で散策したりとそれなりに堪能しました。
ロンドン留学の一つの醍醐味としては、学校が都市部に集中しているため、大英博物館やバッキンガム宮殿、ビッグベン、ロンドンブリッジ、ハイドパークなどの観光地に気軽に訪れることができることが挙げられます。
またサッカーを目的に留学していたため、ロンドン周辺のサッカークラブのスタジアムを1人で訪れたり、プレミアリーグからアマチュアクラブ、代表戦まで様々な試合を観戦したり、とサッカーライフも楽しむことができました。
余談ですが、友達とお酒を飲んでいる時にカバンを盗まれたのは、今となってはいい思い出です(笑)。
留学の大きな目的であるサッカー指導者ライセンス講習会は、現地の人が受講するコースに参加したため、講義は全て英語で、実際の場面を想定した指導実践も英語で行わなければならないなど、語学力が求められるものでした。
正直なところ、講師や一緒に受講しているメンバーの話していることの半分以上は理解できていなかったので、語学力不足は否めませんでしたが、それでもなんとかライセンスを取得することができました。
以上、半年間という短い期間でしたが、語学を学び、サッカーの勉強に取り組み、現地のチームでの指導も行うなどやりたいことは全てやることができた留学でした。
しかし最後の方は、帰国後の大学院受験に向けた願書の作成などに追われ、家にこもりがちになってしまうこともあったため、もっと楽しんでおけばよかったと少し後悔があるのも事実です。
半年間の留学を終え、日本に戻ってきたのが2013年10月1日です。
帰国の2週間後に大学院入試を控えていたこともあり、半年ぶりの日本に対して感慨に浸ることもなく、すぐに実家近くの図書館で受験勉強の追い込みをスタート。
試験は英語と専門科目(サッカー)だったのですが、留学中にこの二つを集中的に勉強していましたのえ、入試では手応えを十分に感じ、無事に大学院に合格することができました。
こうして大学院に入学したわけですが、そのころから「もう一度海外に行きたい」という願望を持つようになり、またサッカーもより深く勉強したかったため、自分のキャリアを「サッカー×海外×勉強(研究)」をテーマに形成していこうと決意をしました。
自分の希望するキャリアに近いのは研究者だと考えたので、大学院の修士課程修了後は博士課程への進学を希望し、受験をしましたが不合格。その後もう一度受験しましたが再度不合格となってしまいました。
それが2018年2月のこと。今もキャリアのテーマは変わっておらず、現在は海外の大学院進学を目指して準備をしています。
私の留学期間はわずか半年間でしたし、何か大きなことを成し遂げたわけでもありません。ただ、留学したことは間違いなく私のキャリアに大きな影響を与えています。
まず先述のように、「サッカー×海外×勉強(研究)」という自分のキャリアの方向性が定まりました。
また、働き方に対する考え方も大きく変わったと感じています。
以前は仕事が生活の中心でしたが、今は目標のためのツールの1つという位置付けになりました。今では何かを選択するときの軸が、「サッカー×海外×勉強(研究)」という目標に近づくことができるかどうかになったため、仕事の内容や形態にこだわらなくなったのです。
実際に私は、帰国してから正社員になることはなく、現在もフリーとしてさまざまな仕事を請け負っています。留学前は正社員として働くことが唯一の正解のように思っていましたが、留学を機に、自分の目標や理想のライフスタイルを叶えるために最適な働き方を選べばいいんだという考え方に変わりました。
まだまだ、自分の理想とする場所にはたどり着けていませんが、留学を通して自分のキャリアの方向性が定まり、また人生に対する考え方や視野を広げることができたのは間違いないです。
今回は、私自身の留学経験について紹介させていただきました。
正直なところ、私の留学は思いつきではじまったものであり、留学によって人生が劇的に変化したわけでもないので、皆さんの求めるような成功事例ではないかもしれません。
ただ私個人としては、留学を通して海外で働きたいという願望を持つようになり、また自分のキャリアの方向性を定めることができたので、留学をしてよかったと心から感じています。
もし、留学しようか悩んでいる人がいらっしゃれば、ぜひ思い切って1歩踏み出してみてください。