Mizuho
(更新)
留学に行ってみたい。
こう思っている人は意外といるのではないでしょうか。ただ、経済的な面や時間の制約など、挑戦するには壁が高いと感じることが多いはずです。
留学には目的にあわせていろいろなカタチがありますし、どんな選択肢があるのか、迷ってしまう人もいるでしょう。
筆者自身は、高校時代に短期語学留学や、大学での正規留学をした経験があります。どちらも実際に渡航をすることに決めたのは、2000年代のこと。スマートフォンもない時代でした。
そしていま、2020年代になって、留学には以前にも増して選択肢が増えたと感じます。その1つが「オンライン留学」。
本記事では留学に興味がある人に向けて、オンライン留学についてご紹介します!
オンライン留学とは、その名の通り「オンラインでする留学」のこと。
実際に現地に行くことはないものの、あたかもその場にいるかのように各国から参加している学生とともに学ぶことが可能です。
そもそも、留学にはほかにどのようなカタチがあるのでしょうか? 現代はさまざまなタイプの留学がありますが、ここでは大きく3つに分けてご紹介します。
「語学留学」は読んで字のごとく、特定の言語を現地で身につけたい場合にする留学です。多くの場合は語学学校などで、他国からやってきたクラスメイトと一緒にその言語を学びます。
授業でも、街で買い物をするときなど学校の外でも、その言語を学びながら実践的に使う機会に溢れているので、言語学習に効率的・効果的です。
期間は1週間ほどの短期から、数ヶ月、年単位まで柔軟に選ぶことができます。夏季に行われる「サマースクール」なども語学留学の1つのカタチです。
「交換留学」は通っている大学・大学院に在籍したまま、海外の学校に留学すること。学校同士が相互に連携し、単位を取得できます。主な期間は1学期〜1年です。
高校生の交換留学の場合は、異文化体験やその理解が主な目的となり、学校によって単位の扱いは異なります。在籍している高校を休学していく場合や、帰国しても同級生と一緒に進級できる場合があります。
高校・大学・大学院などで留学し、現地での生活経験はもちろん、単位と学位を取得して卒業を目指すときにするのが「学位留学」です。
学位を修了するためには一定の期間渡航する必要があり、1〜3年などの長期留学です。
どんな英語レベルをもっていたとしても、留学はなかなか挑戦できないと考える人も多いですよね。特に留学には2つの大きなハードルが考えられます。
では簡単にそれぞれのハードルについて考えてみましょう。
まず1つ目に考えられるのは、経済面でのハードルです。海外留学となると、長期の正規留学はもちろん、語学留学でも多額のコストがかかります。
このコストに含まれるものは渡航費、学費、滞在費など。滞在費は意外と忘れてしまいがちですが、毎日の食事や交通費などで必要です。
渡航先の国によっては留学中にアルバイトをすることができる場合もありますが、その収入も生活の足しになる程度。やはり渡航するまでにまとまった金額の資金が必要です。
短期間なら数十万円、長期なら数百万円かかるので、経済状況的になかなか難しいと考えるのも、無理はないですよね。
もう1つのハードルは、時間です。例えば学生なら夏休みなどの長期休みを利用して短期留学したり、交換留学などの方法があります。
しかしそれでも、部活などほかの活動をしている場合はタイミングを図ることが難しくなるかもしれません。
また社会人になれば、なおさら仕事の都合上などで時間を作るのが難しくなる人も少なくないでしょう。
「いつか必ず」と思っているうちに、タイミングを逃してしまう人もいるかもしれませんね。
冒頭で触れた通り、留学には語学留学・交換留学・学位留学などの種類があります。ここでは、主に語学留学と学位留学について、オンラインでできるものをご紹介します。
文部科学省が行っている留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」が2021年に行った「文部科学省 トビタテ!留学JAPAN 海外留学に関する意識調査」によると、調査に参加した高校生と大学生のうち60%強の人がオンラインでの語学留学に興味があると答えています。
語学留学は特定の言語を、それが話されている現地の国に行って学ぶものです。目的が「語学習得」の場合、2つのオンライン留学のカタチが考えられます。
1つは現地の語学学校が開講しているオンラインコースです。
語学学校の先生たちは、その言語を母国語としない人たちに教える語学のプロです。それに、語学学校のコースには多くの国から生徒たちが参加します。
例えば世界で語学学校を開校しているECの、「EC Virtual」というオンラインコース。このコースでは、ロンドンで行われる授業に参加しながら、他の国にいる生徒と一緒に語学を学ぶことが可能です。
もう1つのオンライン語学留学のカタチは、DMM英会話のようなオンライン語学サービスを利用すること。
例えばイギリスで英語を学びたいと考えていたとしましょう。そういう場合は、イギリス人講師とのレッスンを受講すれば、語学を学ぶことはもちろん、現地の様子を聞くことも可能です。
DMM英会話の場合は1レッスン25分で短く感じる人もいるかもしれません。でも逆にその分、忙しい毎日のスケジュールに組み込みやすいのです。
そして「ちりも積もれば山となる」ということわざの通り、少しずつの積み重ねがより定着した語学力に繋がります。
特に欧米の大学では、オンラインだけで学位を取得することのできるコースが近年増えています。
2022年にU.S.News&World Reportという時事解説雑誌がまとめた、オンラインで学位が取得できるコースのある大学の数は384。学べる専門知識はビジネスや経営学、テクノロジーや航空学など、その多彩さがうかがえます。
イリノイ大学、フロリダ大学、オレゴン州立大学など、アメリカでも有名な大学の学位をオンラインで取得することが可能です。
また、無料で権威ある先生の講義を聴講する方法や、学位とまではいかなくても受講を完了することで修了証をもらえるコースもあります。
2008年頃からMassive Open Online Courses(MOOC:大規模オンライン公開講座)が開始し、公開されている授業ならオンラインで誰でも原則無料で受講できるようになりました。
MOOCにはスタンフォード大学の教授が立ち上げたCourseraや、MITやハーバード大学が立ち上げたedXなど複数のサービスがあります。
例えばハーバード大学が開講しているコースには、データサイエンスや経済学、心理学などがあり、実に幅広い分野について学べることがわかります。
また、世界的にも有名なハーバードの経営大学院「Harvard Business School」などでは独自でオンラインコースが開講されています。
もしも気になっている大学やコースがある場合は、Courseraなどに載っていなくても独自にコースを開設していることもあるので、調べてみるといいでしょう。
さて、ここまでオンラインで実現する留学について見てきました。「留学」というオプションを比較的考えやすくなる「オンライン留学」ですがメリットはもちろんのこと、デメリットもあります。
冒頭でもお伝えした通り、留学において大きなハードルの1つは経済面です。航空券や滞在費など、莫大なコストがかかります。その点で、オンラインで受講する場合には自宅から参加できるので、費用を大幅にカットすることが可能です。
一般的な留学では、学生の場合は休みを取ったり休学をして、一定の時間を工面する必要があります。社会人の場合でも仕事を一旦やめるなどして、まとまった時間を取る人もいるでしょう。オンライン留学の場合、コースによってはとても柔軟にスケジュールを組むことができるので、忙しい人にもピッタリです。
渡航を伴う留学をする際には、ビザはもちろん、銀行の残高証明など大量の書類が必要です。筆者自身、ビザの申請書類は更新をするときでも何枚も必要で、1箇所でも不備がないか心配になったものです。でもこれがオンラインとなると、一切そのようなわずらわしさは不要になりますね。
旅行をするときもそうですが、海外に行くとなると現地での過ごし方と日本でのそれとの違いに不安を感じることがあります。水はどうなのか、食べ物はどうすればいいのか、悩みはつきないもの。自宅から「オンライン留学」ができるなら、生活様式も変わらないので安心ですね。
オンラインで現地の人や世界にいるクラスメイトと交流できても、五感を満たす経験をすることは難しいでしょう。
特に自分の好きなときに受講できるコースの場合は、モチベーションの維持をし続ける必要があります。「自分のペース」で学べることはいいですが、その分「自分を律する」スキルも重要です。
なにもかもがIT化されている現代。次々と新しいシステムやプラットフォームが登場するので、ついていけないという人もいるでしょう。オンライン留学をするときには、その学校ごとにシステムを開発している場合もあります。ITリテラシーがないと、コースに集中する前に挫折しかねません。ある程度のITリテラシーが必要といえるでしょう。
現地で行われている授業にライブでオンライン参加する場合は、当然時差の問題が発生します。例えば社会人で仕事を日中にしている場合は、夜に授業を受けるとなるとスケジュールはもちろん、体調管理をするのも難しく感じるかもしれません。
みなさんは、留学になにを求めますか?
この問いに答えることで、選ぶ留学のカタチは変わってきます。
どんな経験をしたくて、どんな目的のために留学をするのか、1度いろいろな選択肢を見て、考えてみましょう。
意外と、海外まで行かなくてもオンラインで完結できることもあるかもしれませんよ!