wasabi
(更新)
こんにちは、ドイツでフリーランサーとして活動しているwasabi(wasabi_nomadik)です。
もうすぐクリスマス。
私の住んでいるドイツでも街はだんだんとクリスマスムードになってきています。
ところでみなさんはドイツのクリスマスと聞いてどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?
映画などでアメリカのクリスマスの過ごし方はなんとなく知っていても、ドイツのクリスマスはイメージが湧かない人が多いかと思います。そこで今回はアメリカと比較しながらドイツのクリスマスの文化や過ごし方を紹介していきたいと思います。
TOP photo by tribp
クリスマスといえば、赤い衣装に身を包んだ白ひげのサンタを想像する人がほとんどだと思います。ここドイツでもクリスマスシーズンが近づくと、お店にはさまざまなサンタ関連グッズが売られますが、私がドイツで初めてクリスマスを過ごした時に友人からとある衝撃の事実を知らされます。
それは、私たちがよく目にするあのサンタクロースは「ドイツのクリスマスにおける唯一の主役ではない」ということ!
ドイツにもおなじみの赤いサンタクロースは存在しており、ドイツ語で「ヴァイナハツマン(Weihnachtsmann)」と呼ばれています。彼もプレゼントを持ってきてくれるのですが、ドイツでは伝統的に「聖ニコラウス(Nikolaus)」というサンタに似たまったく別のおじさんもいて、子供たちにプレゼントをくれます。
【聖ニコラウス】 photo by Philipp Beckers
そのほかにも「クリストキント(ChristusKind)」という聖ニコラウスと同じようにプレゼントをくれる女性の天使がいるんです。
こちがらそのクリストキントの写真。クリスマス要素はありません(笑)。
アメリカのクリスマスではサンタクロースが主役ですが、こんなふうにドイツのクリスマスにはサンタだけではなく、さまざまなキャラクターがいることが特徴です。
それじゃあ3回もプレゼントを届けてくれる人がいるのか?と思う人もいるかもしれませんが、ドイツ国内では地方や家庭によってプレゼントを届けてくれると信じられているキャラクターに違いがあります。
プロテスタントの多い北部ではヴァイナハツマン(赤いサンタクロース)が主流で、私が住んでいるライプツィヒという街もヴァイナハツマンがプレゼントを届けてくれると言われています。
カトリックの多い南部ではクリストキント(女性の天使)が信じられていることが多く、ドイツ国内でもこのように若干の違いはありますが、あからさまな対立や区別があるわけではなく、どれもドイツのクリスマス文化として広く馴染んでいます。
そして、アメリカでは25日にクリスマスプレゼントをもらうのが普通ですが、ドイツでは24日にプレゼントをもらうのが伝統で、ヴァイナハツマンかクリストキントのどちらかがプレゼントを運んできます。
しかも!
プレゼントがもらえるのはこの24日だけではありません。ドイツでは12月6日が聖ニコラウスの日と呼ばれ、この日は聖ニコラウスがやって来て良い子にプレゼントを配ります。プレゼントが2回もらえるなんてなんだかお得な気分ですよね。
しかし、ドイツのクリスマスは一筋縄ではいきません。この聖ニコラウス訪問には恐ろしいダークな一面もあるんです…。
「クリスマスのプレゼントは良い子にしていないともらえない」
これはアメリカでも日本でもよく知られたルールだと思います。それはここドイツでも一緒で、聖ニコラウス、クリストキント、ヴァイナハツマンからプレゼントをもらえるのは良い子だけで、悪い子はプレゼントをもらえないことになっています。だから、子供はこの時期になると必死に良い子アピールをするそう。
しかし、ドイツのクリスマスがアメリカと大きく違うところは「悪い子」にしていた場合の仕打ちがとんでもなく恐ろしいということです。
【聖ニコラウスと怪しげなクネヒト・ループレヒト】 photo by Allie_Caulfield
上記で紹介した聖ニコラウスには茶色いマントに身を包んだ「クネヒト・ループレヒト(Knecht Ruprecht)」という同伴者(写真右)がいて、クネヒト・ループレヒトは悪い子を袋に入れて連れ去ってしまうと言われています。
ドイツでは親戚のおじさんなどが聖ニコラウスの役を引き受けて子供の家を訪れるそうですが、子供は聖ニコラウスからプレゼントをもらえるのか、それともクネヒト・ループレヒトに連れ去られてしまうのか分からず、プレゼントへの期待とともにクネヒト・ループレヒトへの恐怖に怯えることになります(笑)
さらに怖いのが、クネヒト・ループレヒトの横にいる怪物「クランプス(Krampus)」です。こちらも悪い子を連れ去ってしまうという言われており、その見た目がクネヒト・ループレヒト以上に恐ろしく、ハードコアなドイツのクリスマス文化にカルチャーショックを受けました(笑)
こちらがそのクランプス。怖すぎませんか?(笑)
photo by tribp
神聖なイメージとはちょうど対極。邪悪な匂いがします。
もう一枚。
photo by leo.laempel
相変わらずの顔力。歯並びがすごいですね。噛み合わせが心配です。
最後は団体様をお楽しみください。
photo by tribp
クリスマスであることを見事に忘れさせてくれる一枚です。
多くの子供は純粋に聖ニコラウスの訪問を喜ぶそうですが、なかには緊張してしまう子供もいるそう。実際私のドイツ人の知人は子供の頃、聖ニコラウスが訪れても素直に喜べずいつも背後にいるクネヒト・ループレヒトを恐れて押し入れに隠れていたそうです(笑)
たしかに、クネヒト・ループレヒトやクランプスのような怪物がやって来たら私でもトラウマになりそうなレベルで怖いです。
と、すごく恐ろしい話に聞こえますが、実際は悪い子にしていたからといってプレゼントを与えない親はほとんどいないということで一安心。良い子にしていないとお年玉をあげないよ、という日本の親も実際にはちゃんとお年玉をくれるのと似ていますね(笑)
そしてクランプスの見た目や悪い子を連れ去ってしまうという役割も、どこか日本のなまはげを彷彿とさせ、意外なところで東洋の共通点を見つけたような気がしました。
いかがでしたか?
ドイツのクリスマス文化がこんなに特徴的だとは、私はドイツに住むまで知りませんでした。日本人になじみの深いアメリカのクリスマス文化とは全然違いますね!
みなさんは、アメリカとドイツのクリスマスどちらを体験してみたいですか?
良い子にしていたらプレゼントが1回だけもらえるアメリカのクリスマス?
それとも悪い子にしていたらクランプスに連れ去られるというリスクに怯えながらも、良い子ならプレゼントを2回もらえるチャンスがあるドイツのクリスマス?(笑)