masa osada
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皆さん、「死ぬまでに行きたい場所」はありますか?
イタリアの青の洞窟、スペインのサグラダファミリア、アメリカ・カナダのナイアガラの滝、ペルーのマチュピチュなど、世の中にはたくさんの「死ぬまでに行きたい」といわれる場所がありますね。
今回は、そんな「死ぬまでに行きたい場所」リストにぜひ加えて欲しいスポットを紹介します。それは日本から遙か南に9,000キロも離れた島国・ニュージーランドにある"Franz Josef Glacier"(フランツ・ジョセフ氷河)です。
ニュージーランドといえば「羊」や「マヌカハニー」「ホビットやロード・オブ・ザ・リングの撮影地」を思い浮かべる人も多いと思いますが、この"Franz Josef Glacier"は知る人ぞ知る絶景スポットなのです。
"Franz Josef Glacier"はニュージーランドの南島にある都市"Christchurch"(クライストチャーチ)から車で5時間ほど走ったところにあります。
せっかく5時間も移動するので道中のハイライトを少しだけ紹介していきましょう。まず"Christchurch"にある建物から紹介します。"Christchurch"といえば、2011年2月22日に起こった大地震が記憶に新しいですね。
その地震の時に街のシンボルだった大聖堂が崩壊してしまい、仮設の大聖堂が建設されています。仮設の大聖堂は"Cardboard Cathedral"(紙の大聖堂)と呼ばれているのですが、その理由は耐水加工が施された巨大で分厚い紙材で作られているからです。
地震の後は復興を優先させるので鉄やコンクリートなどの資材が非常に不足します。そこで、コストも安く製作期間も比較的短い紙材を使う建築プランが採用されました。ちなみに、この建築を担当したのが日本人の建築家・坂茂(バン・シゲル)さんでした。
"Christchurch"から北西に向かう途中では、"Arthur’s Pass"(アーサーズ峠)を越えていきます。
この峠は切り立った山と山のあいだを通り抜ける、ニュージーランドの名所の1つとなっています。車で峠越えすることもできますが、"TranzApline"(トランツアルパイン)という「世界の車窓から」にも出てきた列車に乗って越えるのも風情があるのでオススメです。
"Arthur’s Pass"を抜ければ氷河まではあと一息。でも、その前にもう1カ所だけ、日本のガイドブックでもほとんど紹介されていない絶景ポイントを紹介します。
それが"Hokitika Gorge"(ホキティカ渓谷)です。
まるで水色の絵の具を溶かしたような不思議な色をしていますね。氷河の雪解け水に含まれる細かい石やミネラル成分により、こんな色になっているそうです。この青色のことを英語では"Glacial Milk" (氷河のミルク色)と言います。何だか神秘的な名前です。
"Franz Josef Glacier"の最寄りの町"Franz Josef"は人口がたった300人しかいません。
その人たちのほぼ全てが"Franz Josef Glacier"の観光ガイドや、周辺のホテルの従業員です。日本で人口300人の村と言えば、過疎化や高齢化が心配されそうですが、ここは常に観光客で溢れていて、観光シーズンともなると大型バスが何台も止まる一大観光スポットになります。
氷河は町から車で10分ほどのところに。
氷河と言えばすごく寒い場所を想像する人が多いですよね。でも、ここ"Franz Josef Glacier"は、世界でたった3カ所しかない亜熱帯地域にある氷河です。そのため、氷河に辿り着く前に亜熱帯の森を通り抜けなければいけません。
そして森を抜けると、目の前に氷河が姿を現します。
まだ少し遠いので、氷河の大きさなどがよくわかりませんね。
一般の人たちは氷河を遠くから見ることはできますが、安全性を考慮して氷河の上を歩いたりすることはできません。氷河の上を歩くためには専門のツアーに参加する必要があります。
氷河の大きさがわかるようにさらに近くに寄ってみましょう。
これでも、まだ氷河の大きさはよくわかりませんね。もう少し近くに寄ってみましょう。
人がいるのわかりますか? 豆粒みたいに小さいですね。
それもそのはずで、この氷河は一番分厚いところが600メートルもあります。ちなみにスカイツリーの高さが634メートルなので、それと比べれば規模の大きさがよくわかります。
"Hokitika Gorge"の水の青さを"Glacial Milk"と呼ぶように、氷河のこの青さを"Glacier Blue"と呼びます。海の水が青いように、氷もこれだけの量になると白や透明ではなく、青く輝くことに驚きです。
"Franz Josef Glacier"ができたのは今から7,000年前といわれています。
ここでは自分たちの足で太古の時代に作られた氷河の上を歩き、肌で感じるだけでなく、この氷河の雪解け水を飲むこともできます。ガイドの人が「ここの水は飲んでも大丈夫」という場所を教えてくれるので、ツアーの人たちはみんな自分たちが持ってきたペットボトルの水を捨てて、氷河の水に詰め替えていました。
僕もここで氷河の水を飲んでみました。味は少しだけ土の味がして、正直なところそんなにすごく美味しいものではありません。ただ、それよりも「何千年も前からある氷河の水を飲んだ」ということが感動的でした。
このツアーの楽しいところは、何度行っても同じコースがないことです。
なぜかというと、氷は気候に合わせて溶けたり凍ったりと、日々変化しています。そのため、ガイドの人たちはその場その場でコースを確認しながら、時には氷を掘って道を作ってくれながら進んでいくからです。
氷の壁をよじ登ったり、ガイドの人たちが作った氷の階段を降りたり、地球が数千年前に作り出した氷の上で遊べるというのは、他のアクティビティでは味わえない素晴らしい経験になるはずです。
いかがでしたか?
自分の足で氷河を歩いてみたいと思いませんか?
"Franz Josef Glacier"に行くことができるツアーでは、防寒具はもちろん、登山靴や氷の山を登るために必要なアイゼンという道具も借りることができるので、特別な装備を自分で用意する必要はありません。もちろん特別なトレーニングも不要です。
ニュージーランドは日本とは反対の南半球にあるため、6月から9月は真冬に突入します。夏休みの予定がまだ決まっていない方は、今年は真冬のニュージーランドで氷河ウォークを楽しんでみるのもちょっと変わった、そしてスペシャルな思い出になりそうですね。