Yuki Toy
(更新)
世界的に有名なエンターテイメントの街、ハリウッド。
みなさまがご想像されるハリウッドには、真っ白なハリウッドサイン、映画スターの手形が見られるチャイニーズシアター、オスカーやアカデミー賞の象徴としてのレッドカーペット 、星形のブロックが並ぶウォーク・オブ・フェイム通りなど、エンターテイメントの街らしいゴージャスな都市景観のイメージがあるのではないかと思います。
しかし、これらは観光地としてツーリストが集結するほんの小さな一角。「ハリウッドに行く=観光地へGO!」という方程式は、ロサンゼルス市民にとっては成り立たないフォーミュラであり、実際に彼らの目に映る街の姿には、みなさまが思っているものとは大きく異なる“リアル”な部分がたくさんあるというのも事実です。
今回は、地元の人にとってのハリウッドの真の姿、観光中心部以外の街並など、ハリウッドの素顔をご紹介していきます!
ハリウッドで借家をする人々の年齢層は、10代〜20代の若者が多数。なぜなら、アメリカンドリームを夢見る若者の多くが、広いロサンゼルスで最初にやって来るエリアが、街の象徴であるハリウッドだからです。
彼らの多くはルームシェア。多くの友人たちと一軒家を共有することにより一部屋が低家賃に。まだ駆け出しでお金がない若者たちにとっては恰好のハリウッドライフのスタートとなります。
リッカーストアとは酒屋、グラフィティは壁画(ときに落書き)を意味します。ハリウッドの一般通りには大量のタトゥショップとリッカーストアが立ち並び、グラフィティにより外壁が覆われているケースが多数。
イギリスのストリートアーティスト「バンクシー」がアメリカで注目されたこともあり、店頭だけに限らず、街では看板や電柱など、いたるところにスプレー缶で描かれた絵を目にすることができます。これらは彼らアーティストにとってのステータス、もちろん、無断でタグ(印付け)することで警察のお世話になるというリスクも含めて…。
現在、ロサンゼルスで人気が高まるビンテージスタイルのファッション。ハリウッドには様々なビンテージショップが立ち並び、高価なものから着回しのお手頃価格のものまで、その種類は色々。
「アメリカン・ビンテージ」、「ジェットラグ」が大きな古着店として有名ですが、その他にも掘り出しものが多く見つけられる「アウト・オブ・クローゼット」や、こだわりのセレクトを取り扱う「ウェイスト・ランド」もハリウッドらしい個性的な服を発見できる店として人気です。
この辺は、さすがエンターテイメントの街。新作宣伝には惜しみない予算をつぎ込みます。観光名所を少し離れたノース・ハリウッド周辺では、これでもかといわんばかりに存在を主張するビルボード(広告看板)の数々を目の当たりにすることでしょう。
映画の宣伝だけに限らず、ファッションブランド、ライブミュージック、イベントの案内など、ロサンゼルス市内で行われるオープニングや新着商標のお知らせをアメリカンサイズでアピールしています。
6月26日、アメリカの最高裁が同性婚を認め、国内全ての州の法律が違憲となりました。オープンなイメージのあるアメリカも、今日まで同性愛者への風当たりは強いというのが現状だったのですが、もともとのハリウッドは、様々なバックグラウンドを持つ人が多く移住していますので、文化に対し理解と受け入れの強い風習があることで知られています。
ここは、ゲイやレズビアンの人も周りの目を気にせずに生活できる多様性のある街。その相違が象徴されたレインボーフラッグは、現在、SNS上で頻繁に目にします。
アメリカといえばステーキ、という概念はロサンゼルスに存在していないと言ってよいでしょう。
南カリフォルニアには南アメリカからの移民が大勢住んでおり、メキシコ人を含むヒスパニック系の人種が市民の約半割を占めています。ハリウッドの人々にとって、メキシコ料理は故郷の味。さらに、フードトラックが多いことからも深夜のスナックとして人気があります。日本人が、飲み歩いた夜の締めにラーメンをすするように、ハリウッドでは胃のテキーラを鎮静させるかのごとくタコスをほおばるのです。
昼間賑わいを見せる名所に集まる人々は、ほとんどが世界各国から訪れるツーリストのみ。市民にとってハリウッドが本当の姿を見せ始めるのは、夜も更ける午後10時以降からです。
特に、ハリウッド・ブルーバードとヴァインストリート周辺には、たくさんのクラブやライブハウスが寄合い、ナイトライフを楽しむ市民の姿で活気づいています。また、パパラッチが多く行き交いしており、ハリウッドスターを発見できる確率も大。
ハリウッドスターの中には、コメディの生ライブで実力を磨き、スクリーンに登場する者が数知れず。そんなコメディクラブの週末のラインナップには、今を輝く時のエンターテイナーが名を連ねることも頻繁にあり、手頃な入場料で彼らの舞台を見ようと人々が毎夜列を作っています。
特に "Improvisation"(インプロヴィゼーション)と呼ばれる“即興”コメディのジャンルがポピュラー。ちなみに、アメリカのコメディには日本の“ノリツッコミ”が無く、ソロのスタンドアップが一般的となります。
観光地といえども、やはり気をつけてほしいのが街の治安。夜でもクラブやライブのあるにぎやかなエリアでは人通りが多いものの、街中にはたくさんの陰気な路地があり、危ないシーンに巻き込まれたり怪しい人に絡まれたりすることだってなきにしもあらず。酔っぱらいならまだしも、麻薬中毒者の割合もかなり多めです。
警察のサイレンが聞こえることは日常茶飯事。アメリカでは自己責任を前提に、自分を含め、友人や家族の安全を第一に心得て行動してほしいと思います。
今回は「ハリウッドの素顔」ということで、住宅事情から町並み、ナイトライフまでご紹介してきました。ビンテージショップでファッションアイテムを買い揃え、テキーラの後はタコスで締めれば、もうあなたはローカルの仲間入り?!
ロサンゼルスへお越しの際は、ぜひハリウッドライフも満喫してください!
Cover photo by Danny Munoz / Photos by Yuki Toy