DMM英会話ブログ編集部
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中世そのままの街並みと風情が残る国、マルタ。ユネスコ世界遺産に登録されている首都バレッタをはじめ、『静寂の町』と呼ばれる古都イムディーナや聖ヨハネ騎士団が最初に本拠地を置いたスリーシティーズなど、どこを歩いても絵になるスポットばかりです。
そのため、マルタの道は日本や北アメリカなどとはまったく異なり、道路はくねくねと曲がり、狭い道が続いていると思えば行き止まりになったり、あるいは、突然広場のような場所に出てしまったり…と、まるで迷路のよう。
観光客なら、あえて迷い歩きをしてみるのもおもしろいかもしれませんが、留学生としてマルタに滞在するなら、土地勘をしっかりつけてローカルのように効率良く移動できるようになりたいですよね。
ということで今回は
1.マルタの交通事情
2.マルタでの交通手段
をまとめて紹介します。
マルタは日本やイギリスと同様に、右ハンドル・左側通行です。案内標識は基本的に英語とマルタ語で記載されています。道路のコンディションは近年になって改善されたようですが、いまだに道路上にできた穴や段差が目立ちます。歩行者道や信号機は少ないので、狭い道を歩く時や横断時は注意しましょう。
日本との大きな違いは、環状交差点(ラウンドアバウト)が多いことです。この円形の交差点では、車は時計回りに一方通行で走行し、横断歩道は環道の外側にあります。
マルタ人は大の車好きですが、同時に、交通渋滞が深刻な社会問題となっています。2017年の国民統計局 (The National Statistics Office) の調査によると、316㎢の国土面積(名古屋市とほぼ同じ)に対し、 マルタでは36万台以上の自動車が登録されているそうです。通勤用、週末用にと複数台所有している人も珍しくなく、手入れされたクラシックカーをよく見かけます。
ラッシュアワーは
平日:7:00〜9:00と17:00〜18:30ころ
土曜日:早朝と午後の早い時間帯
に混雑する傾向にあります。
郊外から首都バレッタまで10分で行けるところが、渋滞だと一時間以上かかることも。また、接触事故などが起きるとラッシュアワーに関係なく渋滞が発生します。交通状況が変わりやすいので、通学時や待ち合わせの際は、時間に余裕をもって行動することをオススメします。
マルタでは、同じ通りでも複数の名称がある場所があります。その理由は、フランスやイギリスがマルタを植民地支配していたころ、自国の言語で新たな呼び名をつけた歴史があるからです。
たとえば、バレッタにある「ストレイトストリート」ですが、フランス植民地時代には名称が “Rue Etroite”、イギリス植民地時代は “Strada Stretta” から “Strait Street” と変化し、マルタ語では現在 “Triq id-Dejqa” と呼ばれています(Triqはマルタ語で「通り」や「道」の意味)。ちなみに、アラブ支配のころに由来するアラビア語の名称も多く残っています。
マルタ地図には、英語とマルタ語の二言語で表示されている箇所があります。マルタ人のなかには英語名を知らない人もいるので、行きたい場所の周辺名称は両言語でチェックしておくと安心です。
マルタの市町村には必ず1つ以上の教会があり、騎士団が区画設計したバレッタ以外は、教会を中心に集落が形成されています。キリスト教を信仰するマルタの伝統では、教会が生活の中枢的存在でした。日曜日は教会に集まってお祈りし、人が生まれ死んでも、教会で儀式が執り行われ、祭事は教会の前で催されてきました。現在も、待ち合わせ場所として教会前の広場がよく利用されます。
もしマルタで道に迷ったら、まずはその地域の教区教会がどこにあるか探しましょう。大抵の教会はほかの建物と比べて背が高いので、見つけやすいと思います。周辺には交番やバス停などがあるほか、必ずと言っていいほど地元のおじさんたちがたむろしていますので、声をかけて目的地までの行き方を教えてもらうのが一番確実です。
マルタ全体の交通事情について掴めたら、次は交通手段についてです。留学中は学校と家、友達との旅行など、移動の機会も多くあります。賢く活用してマルタライフを楽しみましょう。
留学生が主に使用する移動手段はバスです。マルタのバスは、バレッタにあるバスターミナルを中心にマルタ島全域に路線が通っています。学校も多く利用者が多いセントジュリアンやスリーマなどは頻繁にバスが運行していますが、マイナーなルートだと30分〜一時間おきのスケジュールです。
バスの運行時間はだいたい5:30〜23:00ですが、中心街では深夜バスも利用できます。運賃は距離に関係なく片道1.5ユーロですが、6月中旬〜10月中旬の夏期間は2ユーロ、深夜バスは3ユーロと異なります。長期滞在される人には、各種割引パスや定期券もあります。係員がいるバレッタなどのバスターミナルで購入可能です。
マルタ観光を一日で制覇したい人には「ホップオン・ホップオフバス」がオススメです。一日乗り放題で20ユーロ、主要な観光地を乗りかえなしで効率良く回ることができます。ブルーグロットやイムディーナなど、人気の観光スポットで乗り降りが自由にできます。日本語のオーディオガイドもあります。
Hop-On Hop-Off Malta-City Sightseeingサイトへ
マルタでは一般的な交通手段としてフェリーが利用されています。
メイン島のマルタ島と隣のゴゾ島間は「ゴゾチャンネル」(Gozo Channel) というカーフェリーで繋がっています。フェリー乗り場までバスで行くことができるので、車がなくても旅行が可能です。
また、バレッタからスリーマ、スリーシティーズを行き来する連絡線が30分おきに運行しています。運賃は往復2.8ユーロ、所要時間は5分足らずです。車よりも連絡線で渡るほうが短時間で移動できます。海から見るマルタの風景はとても綺麗なので、ちょっぴり特別な気分を味わえますよ。
ここまで読んで電車の話がでないのに気づいた方もいるかもしれませんが、そう、マルタは実は電車が通っていません。
ちなみに現地の人によると、1883〜1931年のあいだだけバレッターイムディーナ間で鉄道が走っていたそうです。電車があればマルタの交通渋滞はかなり緩和されると思うのですが…。
また、マルタでは自転車の利用率が少なく、残念ながら、自転車に乗りやすい環境とは言えません。道路はほぼ舗装されているものの、狭くて坂道が多く、自転車専用のレーンもほんの一部の地域にしかありません。スポーツの一環としてロードバイクに乗る人はいますが、日本のように通学目的で自転車を使用するのはオススメできないでしょう。
マルタのタクシーは割高で、旅行者に高額を請求するタクシードライバーが問題になっています。そして、カーレーサーのごとく、主要道路をかなりのスピードで走ります!
タクシーを利用する際は、白塗りの公式タクシーに乗り、メーターを使っているかチェックしてください。空港から乗車する場合は、乗車区間によりレートが決められているので安心です。たとえば、マルタ空港からセントジュリアンやスリーマまでは20ユーロです。
私がおすすめするのは、eCabsというタクシー会社です。レートがお得でサービスが良いと定評があります。流しでは走っていないので、インターネットや電話、アプリなどで事前に予約をしてください。
限られた時間内で効率良くマルタを回りたいなら、レンタカーもオプションのひとつ。ヨーロッパの旧市街で運転経験がある人なら、マルタでの運転もさほど問題ないことでしょう。
ただし上記で解説したように、道路は狭くて一方通行が多く、道に迷いやすいです。街なかでは駐車場を見つけるのが難しく、路上駐車は車間ぎりぎりのスペースでおこなわなければなりません。よって、郊外へのドライブならバスより快適ですが、セントジュリアンなど繁華街での運転はあまりオススメできないでしょう。
レンタカーは、マルタ空港をはじめ主な市で利用可能です。手続きの際にはパスポートと国際免許証をお忘れなく。
日本とは異なるマルタの交通事情と賢い移動の仕方を紹介しました。マルタの土地勘を得ることは、安全で充実した留学生活を送るのに大切な要素のひとつです。学校と滞在先の往復だけにとどまらず、バスやフェリーに乗って地方の町に出かけたりなどして、マルタのいろいろな魅力を見つけてくださいね。