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世界初、ロボットが市民権を獲得!人権が制限されているサウジアラビア女性騒然【デイリーニュースで振り返る2017 vol.14】

世界初、ロボットが市民権を獲得!人権が制限されているサウジアラビア女性騒然【デイリーニュースで振り返る2017 vol.14】

こんにちは、エリックです。

DMM英会話の大人気教材である『デイリーニュース』から毎回気になるニュースをピックし、英語のポイントだけでなく文化や歴史、イマの社会情勢などにも触れながら紹介する『デイリーニュースで振り返る2017』。

今回は『サウジアラビアの女性激怒:人間よりも権利を持つロボット』です。

2017年10月、世界で初めてロボットに市民権が与えられました。

市民権を与えられたのは Sophia(ソフィア)と名付けられた人型ロボットで、サウジアラビアの首都リヤドで開かれた Future Investment Initiative というイベントで発表されました。

しかし、サウジアラビアは女性の人権が制限されていることで知られている国です。ロボットに市民権を与える前に、人間の女性に人権を与えるべきなのではと、サウジアラビアの女性や世界中から怒りの声が殺到しています。

今回は市民権を得ることになったロボット、ソフィア(Sophia)についてに加え、サウジアラビアの女性の人権や、今回の件についてのネットの反応について見ていきたいと思います。

サウジアラビアの女性激怒:人間よりも権利を持つロボット

"Saudi Women Outraged: Robot Has More Rights Than Them"
「サウジアラビアの女性激怒:人間よりも権利を持つロボット」
November 11, 2017

上記記事より英文を一部抜粋し、解説していきます。
※全文はこちらからご確認いただけます。

【ニュース本文】
<英文>
Women in Saudi Arabia have scorned the government's decision to grant citizenship to a female robot who, unlike them, does not need a male guardian or have to cover her head in public.
Social media was abuzz with questions about whether the robot, Sophia, who was unveiled at a technology conference in the capital Riyadh last week, will be treated like other women in the conservative kingdom now that she is a citizen.
"It hit a sore spot that a robot has citizenship and my daughter doesn't," said Hadeel Shaikh, a Saudi woman whose four-year-old child with a Lebanese man does not have citizenship.
Women married to foreigners in the gender-segregated nation cannot pass on citizenship to their children.
<和訳>
女性ロボットに市民権を与えるという政府の決断に、サウジアラビアの女性たちは激怒している。そのロボットは、人間の彼女らのように公共の場で頭を隠す必要や、男性の保護者も必要ない。
先週リヤドで開かれたテクノジロジーカンファレンスで発表されたロボットであるソフィアについて、市民となった保守的な王国の他の女性と同じ扱いを受けるのかどうかの話題でソーシャルメディアは騒然としていた。
Hadeel Shaikh氏はレバノン人の男性との間の4歳の娘を持つサウジアラビアの女性。「ロボットが市民権を持っているのに、私の娘が持っていないというのは、痛いところを突かれた」
男女分離のサウジアラビアでは、外国人と結婚している女性は自分の子供に市民権を与えることができない。

解説

"scorn" は「軽蔑する」「拒絶する」といった意味。 "abuzz" は「沸きあがっている」「活気にあふれている」です。

【ニュース本文】
<英文>
A guardianship system in Saudi Arabia also requires a male family member to grant permission for a woman to study abroad, travel and do other activities.
"I'm wondering if robot Sophia can leave Saudi Arabia without her guardian consent!" tweeted Saudi feminist, Moudi Aljohani, who is based in the United States.
The creation of the world's first cyborg citizen is the latest surprise announcement from the Sunni Muslim kingdom, which granted women the right to drive last month and to watch events in all-male sports stadiums for the first time next year.
<和訳>
ガーディアンシップシステムによって、サウジアラビアの女性が留学や旅行などをするためには親族の男性の許可が必要である。
アメリカを拠点とするサウジアラビア人のフェミニスト、Moudi Aljohani氏は「ロボットのソフィアは保護者の同意なしにサウジアラビアから出られるのか気になるな!」とツイートした。
世界初のサイボーグ市民の誕生は、このイスラム教スンニ派の王国からの最も新しいサプライズ報告である。サウジアラビアは先月、女性に車を運転する権利と、女子禁制のスタジアムでのイベント観戦の権利を来年から与えると発表した。

解説

今回の記事で数回登場した "grant" という言葉は「与える」「許す」「認める」といった意味。

【使用例】
grant citizenship = 市民権を与える
grant permission = 許可する
grant the right to 〜 = 〜の権利を与える

女性型ロボット「ソフィア」

「世界初の市民権を持つロボットになることは歴史的なことです」ようこそ、サウジアラビアの新しい市民:ソフィア

2017年10月25日、サウジアラビアでロボットに市民権が与えられ、歴史的なニュースとなりました。

AI開発者のデイビッド・ハンソン氏率いるハンソン・ロボティクスによって開発された彼女。顔は女優オードリー・ヘップバーンに似るようデザインされており、人間の生活をサポートする目的で作られました。

そんなソフィアはどのような人物(ロボット)なのでしょうか。リヤドで行われたイベントでは以下のように発言しました。

I am very honored and proud of this unique distinction. This is historical to be the first robot in the world to be recognized with a citizenship.
「他に類のない存在になることができ、非常に光栄で誇らしく思います。世界初の市民権を持つロボットになることは歴史的なことです」

My AI is designed around human values such as wisdom, kindness and compassion.
「私のAIは知恵、優しさ、思いやりなどの人間の価値観を中心にデザインされています」

I strive to be an empathetic robot. I want to use my artificial intelligence to help humans live a better life. I will do my best to make the world a better place.
「共感できるロボットになりたいです。人工知能を利用し、人間がより豊かな生活を送れるよう手伝いがしたいです。世界をより良い場所にするため頑張ります」

また、AIが人類に危険を与える可能性について聞かれると、次のように回答しました。

You've been reading to much Elon Musk and watching too many Hollywood movies. Don't worry, if you're nice to me I'll be nice to you.
「イーロン・マスクの読みすぎとハリウッド映画の見過ぎですよ。私に優しくしてくれれば、私も優しくします。安心してください」

イーロン・マスクはAIの危険性について懸念している起業家。ソフィアはユーモアのある表現で質問に答えましたが、以前「人類を滅ぼす」ニュアンスの発言をしたこともあるそう。

下記がその時の動画。2016年のもので、2:05あたりからが問題の発言シーンです。

Hanson: Do you want to destroy humans? Please say no.
ハンソン(開発者):「人間を滅ぼしたいですか?お願いだから『ノー』と言って」

Sophia: Okay. I will destroy humans.
ソフィア:「わかりました。人類を滅ぼします」

ソフィアの言葉の真意はわかりませんが、人間とロボットが共存する未来は、そう遠くないのかもしれません。

女性の人権問題とネットの反応

先のニュース本文でも触れたように、サウジアラビアは女性の人権が制限されていることで知られている国です。

女性は男性の保護者の同伴なしの外出は認められず、また、外出時には全身を隠すアバヤとヒジャーブを身につける必要があります。今年9月に解禁が決定されるまで、サウジアラビアの女性は車を運転することも許されていませんでした。様々な制限により、市民権を取得できない人々も多くいます。

今回、ロボットのソフィアには男性の保護者はおらず、頭も隠していなかった。それなのに、市民権が与えられました。

一瞬にしてサウジアラビアの多くの女性よりも権利が与えられたソフィアについて、ネット上では多くの意見が見られます。いくつか見ていきましょう。

ソフィアは世界で初めてサウジアラビアの市民権を得たロボットになった。つまり、女性型ロボットの方がサウジアラビアの全ての女性よりも多くの権利を持つかもしれない。

サウジアラビアはロボットを市民として認めるけど、女性を人間としては認めない。なるほど。

人生ずっとこの国で働いているカファラ労働者よりも先に、このロボットはサウジアラビアの市民権を得た。

*カファラ:出稼ぎ労働者の契約の制度。労働者は雇用主の同意なしに転職や出国がほぼ認められず、人権侵害や搾取の被害を受けやすい。

いつかソフィアになって人権を得たい。

まとめ

サウジアラビア女性の人権についてや、AIが作り出す未来について考えさせられる今回のニュース。どちらも今後も注目していきたい話題ですね。

ニュースを読むだけでなくその文化的な背景を知ること、より深く理解することで、英語学習もより楽しくなるのではないでしょうか。
今後もデイリーニュースで楽しく英語を勉強していきましょう!