ブリトニー・スピアーズがイスラエルの選挙日を変えた?その理由はいかに【デイリーニュースで振り返る2017 vol.7】

こんにちは、エリックです。

DMM英会話の大人気教材である『デイリーニュース』から毎回気になるニュースをピックし、英語のポイントだけでなく文化や歴史、イマの社会情勢などにも触れながら紹介する『デイリーニュースで振り返る2017』、今回は『ブリトニー・スピアーズの公演、イスラエルの選挙を変更』です。

7月3日に行われる予定だったイスラエル労働党の予備選挙が、大物アーティストのブリトニー・スピアーズのコンサートと重なったため、イスラエルの労働党は予備選挙の日程を1日遅らせました。

「そんなことって本当にあるの?」と思うようなニュースですが、本記事ではどのような背景や理由があってこのようなことが起きたのかを見ていきたいと思います。

 

ブリトニー・スピアーズの公演、イスラエルの選挙を変更

"Britney Spears Show Causes Israeli Election Change"
『ブリトニー・スピアーズの公演、イスラエルの選挙を変更』
(April 24, 2017)

上記記事より英文を一部抜粋し、解説していきます。
※全文はこちらからご確認いただけます。

【ニュース本文】
<英文>
Pop star Britney Spears may not be topping the charts these days, but she’s still big enough to influence elections in another country.

Because of a July 3 Spears concert in Tel Aviv, a first for the singer, Israel’s Labor Party decided to push back primary voting by a day.

"We delayed the vote one day, to July 4. We couldn't hire enough security for the election because of the Britney Spears concert on July 3. There would also be a lot of traffic and roadblocks that would make it hard for the vote to go ahead," Labor Party spokesman Liron Zach said, according to CNN.

<和訳>
最近、有名ポップ歌手のブリトニー・スピアーズがトップチャートの1位を飾ることはないかもしれないが、彼女はいまだ他の国で選挙に影響を与えられるほどの大物だ。

7月3日に歌手のスピアーズにとって初のコンサートがテルアビブであるため、イスラエル労働党は予備選挙を1日延期すると決定した。

「我々は投票を1日遅らせ、7月4日に行う。 7月3日のブリトニー・スピアーズのコンサートのため、我々は十分な警備員を確保できなかった。 また交通渋滞やバリケードにより、投票を進めるのが困難になるだろう」と労働党の報道官ライロン・ザックが語ったとCNNは伝えている。

【解説】

“security” は「安全」「安心」などの意味がある名詞ですが、「警備係」を意味して使われることもあります。

”Call security!” のように「警備呼んで!」というセリフはよく映画などで聞きますよね。一人の警備員を指す場合は “security guard” と言います。

“go ahead” 「進める」「進行する」という意味の表現ですが、例えば誰かのためにドアを開けて先に行かせたい時、誰かに順番を譲りたい時などにも “Go ahead”「先にどうぞ」とよく言います。

 

【ニュース本文】
<英文>
The primary was set to decide the leader of the party and future challenger for the prime minister spot.

"We aren't concerned about voters favoring Spears over the party. The two main concerns are security and traffic," Zach said.

<和訳>
予備選挙は党首、そして首相の職に将来挑戦する人物を決定するために設けられた。

「我々は投票者が政党よりもスピアーズの方を好んでいると心配しているのではない。2つの大きな懸念事項は、警備員と渋滞だ」とザックは語った。

【解説】

“favor A over B” 「BよりもAを好む」という意味。

ここでは「投票者が選挙よりもスピアーズを選ぶことを心配しているわけではない」とザック氏は語っているわけです。

 

ブリトニー・ズピアーズとは

他の国の政治に影響を与えてしまうほどの大物アーティストですから、ほとんどの方が彼女のことをご存知かと思いますが、軽く紹介いたします。

2000年代に最も売れた女性アーティスト

ブリトニーは11歳でディズニー・チャンネルの “The Mickey Mouse Club” という番組のオーディションに合格し、レギュラーとして出演し始めました。

16歳で “Baby One More Time” というシングルでデビュー。このシングルが全世界で915万枚の売り上げを記録し大ヒット。その後同じタイトルのデビュー・アルバムはアメリカで1726万枚、全世界で3000万枚を売り上げました。

2枚目のアルバム “Oops!... I Did It Again” や 3枚目 “Britney” なども世界中で大ヒット。これまで全世界でトータル1億枚以上を売り上げ、2000年代に最も売れた女性アーティストとして認定されています。

 

お騒がせセレブ

そんな彼女は「お騒がせセレブ」としても有名。
ここではとても全てを書ききれないので、代表的な珍事件だけを紹介します。

 

・2004年

出典:http://www.usmagazine.com/celebrity-news/news/britney-spears-ex-jason-alexander-arrested-for-domestic-abuse-in-2015-w165143

ラスベガスで酔った勢いで幼馴染であるジェーソン・アレキサンダー氏と結婚し、55時間後に離婚しました。慰謝料約5600万円を払ったそうです。

 

・2007年

出典:http://nymag.com/news/intelligencer/features/28528/

突然坊主になりました。

理由は定かではありませんが、自身がバリカンで自分の頭を丸刈りにしている動画が話題となりました。

そして、丸坊主になったばかりのブリトニーは、傘でパパラッチの車を攻撃しました。

出典:http://www.usmagazine.com/celebrity-news/news/paparazzo-selling-umbrella-from-britneys-2007-attack-w468179

このような奇行が目立ち、彼女は一時迷走しましたが、現在は完全復活を果たし世界の音楽シーンを引っ張っています。

 

国際的ボイコットとイスラエル・パレスチナ問題

さて、ブリトニー・スピアーズが世界的な大物アーティストであることは納得できたかと思いますが、なぜイスラエルの政治にまで影響を与えることができたのでしょうか。

イスラエルとその周辺地域がかかえる問題の背景も含めて考えてみましょう。

 

音楽業界のイスラエル公演ボイコット

実は現在、音楽業界ではイスラエル公演をボイコットする動きが広がっています。

その理由は後ほど説明するイスラエル・パレスチナ問題にあるのですが、イスラエルを批判する姿勢を見せるため、音楽業界でも多くのアーティストがイスラエルで公演することをボイコットしているのです。

パレスチナ占領地の支配を続けるイスラエルに対する、一部のパレスチナ市民からの呼びかけであるBDS(Boycott, Divestment and Sanctions = ボイコット、投資の撤収、経済制裁)というボイコット運動があり、音楽業界やアーティストも少なからず影響を受けているような形となっています。

実際にBDSによる圧力によって、イスラエルでの公演をキャンセルしたアーティストの中にはアメリカのR&B歌手のローリン・ヒルやイングランドのミュージシャン、エルヴィス・コステロなどの有名アーティストもいます。

他にビヨンセやファレル・ウィリアムスなどもイスラエルでの公演をキャンセル。こちらは「スケジュールの問題」などを理由としていますが、BDSの圧力も受けていたようです。

そんな中、2000年代に最も売れたアーティストと言われるブリトニー・スピアーズがイスラエルで初公演をするというのですから、イスラエル国民にとってはこれ以上ないビッグイベントなわけです。

そんなビッグイベントの運営に必要な人員は膨大でしょうから、労働党が述べた選挙日を変更した理由「警備員を調達できないため」には納得できます。

注目度の高いイベントと別の日にすることで「投票をしやすくするため」というのもわかります。他に「労働党の政治家もコンサートに行きたいのでは?」といった声もあるようです。

さて、この国際的なボイコット運動は音楽業界に限らず、各業界でも広がっています。なぜこのようなイスラエルに対するボイコットが行われているのかを理解するためには、次のイスラエル・パレスチナ問題について知る必要があります。

 

イスラエル・パレスチナ問題

イスラエル・パレスチナ問題はとても複雑なので、ここではかなりざっくりと説明させていただきます。

イスラエルは第二世界大戦後の1948年にユダヤ人によって作られました。それまでその地域はパレスチナと呼ばれていて、アラブ人が住んでいたのですが、実はユダヤ人も3000年ほど前この地域に住んでいたのです。

しかし多くの国や民族によって何度も地域の支配が変わり、彼らは世界各地に散らばりました。そしてユダヤ人たちはナチスドイツなどにより迫害を受け、自分たちがもともと住んでいた土地に戻り国を作ろうとします。

しかしその地にはアラブ人たちが住んでおり、イスラエルができたことに怒ったアラブ人とユダヤ人との間で戦争が起きました。この中東戦争によって、パレスチナ領であったガザ地区やヨルダン川の西岸もイスラエルによって占領されてしまいます。

1993年、イスラエルが占領していた地域から軍を撤退させるという約束をします。しかし引き上げがなかなか進まず、パレスチナ人が反発したり、テロが発生したりしました。

そのような状況の中で、イスラエルのパレスチナ人に対する人権侵害などを批判する活動として始まったのがBDSなのです。

もちろん、パレスチナを含め、全ての人がこのBDSを支持しているわけではなく、最近ではその支持率は下がっているようです。

 

おわりに

いかがでしたか?

実はブリトニー・スピアーズは6月に日本でもコンサートを行う予定です。彼女が世界屈指の大物アーティストであることは間違いありませんが、さすがに日本では選挙日を変更させるレベルの大きな影響力はないと思われます。

そんな彼女がイスラエルの政治に影響を与えることができてしまったのは、イスラエルやその周辺地域の問題や歴史的な背景も関係していたのかもしれません。

イスラエル・パレスチナ問題やBDS活動などは複雑な問題で見解も様々ですが、今後も注目していきたい話題ですね。

ニュースを読むだけでなくその文化的な背景を知ること、より深く理解することで、英語学習もより楽しくなるのではないでしょうか。
今後もデイリーニュースで楽しく英語を勉強していきましょう!

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