Erik
(更新)
こんにちは、エリックです。
DMM英会話の大人気教材である『デイリーニュース』から毎回気になるニュースをピックし、英語のポイントだけでなく文化や歴史、イマの社会情勢などにも触れながら紹介する『デイリーニュースで振り返る』。
今回のニュースは『カンザス州の10代の若者、知事選に出馬』です。
なんと、アメリカのカンザス州では知事選へ出馬するための年齢制限がありません。そのため、数名のティーンエージャーが冷やかしでもなく、真面目に次の知事選への出馬を表明しています。
「自由の国」アメリカらしい今回のニュースですが、まだ投票権もない彼らがなぜ出馬を表明したのか、その背景と世間の反応、今後についてまとめてみました。
今回のニュース記事はこちらです。
Kansas Teenagers Run for Governor
『カンザス州の10代の若者、知事選に出馬』
April 17, 2018
上記ニュースより英文を一部抜粋し、単語や文法等の解説を交えながら、関連情報やネットの反応等を見ていきましょう。
全文はこちらからご確認いただけます。
Six teenagers are running for governor in Kansas, and suddenly this doesn’t seem so preposterous https://t.co/8LUZ3qapwH
— Washington Post (@washingtonpost) March 3, 2018
10代の若者6人がカンザス州で知事選に出馬。これは馬鹿げたことではないようだ
ニュースのタイトルを読むと、「冗談なのか?」「そもそも学生が出馬可能なのか?」など、様々な疑問が浮かぶかもしれません。
下は今回のニュースの簡単な概要です。
<英文>
American students are stepping up and speaking out against the limits of a two-party system, student loans, marijuana laws, immigration, and gun control.In Kansas, six high-school students are taking it a step further: they are running for governor. And it’s no joke. These teenagers are sincere, motivated, and ready for change.
<和文>
米国の学生らは二大政党制、学生ローン、大麻法、移民、銃規制の限界に対して行動を起こし、非難の声を上げている。カンザス州では、6人の高校生がさらなる一歩を踏み出し、知事選に出馬している。 そして、それは冗談ではない。 これらの10代の若者は誠実で、やる気があり、変化に対応する準備ができている。
"step up" は「行動を起こす」、 "speak out" は「声を上げる」のような意味で使われています。
どうやら冗談ではなく本気の出馬のようですね。ですがこれだけ読んでも多くの疑問が残ります。
出馬の背景について詳しく見ていきましょう。
まずは、出馬に年齢制限はないのか、という疑問について。
<英文>
Kansas state law does not have a minimum age requirement to run for governor.Of course, there are a number of experienced adult politicians running for governor as well. But the teenagers, who make up roughly one-third of all the candidates, are fighting against party leadership to speak out for their generation.
<和文>
カンザス州法は、知事選に出馬できる最低年齢制限を定めていない。もちろん、多くの経験豊かな成人した政治家も知事に立候補している。 しかし、全候補者の約3分の1を占める10代の若者は、彼らの世代を弁護するために党執行部と戦っている。
"minimum" は「最小の」「最低の」、 "age requirement" が「年齢制限」です。
カンザス州では知事選出馬の年齢制限がありません!そして、今回の知事選の候補者のなんと3分の1もが10代というのですから驚きです。
アメリカの州のほとんどは知事になるための最低年齢制限が定められており(多くの場合30歳)、制限がないのは今回のカンザス州とバーモント州のみです。
法律的には出馬する資格がある彼らですが、そもそもなぜ立候補しようと考えたのでしょうか。
大きな理由の一つは若者の政治参加を促すことのよう。また、政治に新しい風を吹き込むことも目的のようです。
<英文>
Joseph Tutera, 16, is the youngest of the six candidates. He argues that his age is not an issue, noting that he feels older, more experienced politicians have not been able to provide for the people of Kansas.<和文>
16歳のジョゼフ・トゥーテラは、6人の候補者の中で最年少だ。 彼は自分の年齢は問題ではないと主張し、年長で、より経験豊かな政治家らはカンザスの人々を導くことができていないと自分は感じると述べる。
6人のうち最初に出馬表明をしたジャック・バーグソン(Jack Burgeson)は本人のサイトで以下のように述べています。
<英文>
I may be too young to vote, but I am not too young to see the problems in Kansas that the government should be, but is not, working to fix. As a student of the Kansas school system, I am inspired to make changes to education and infrastructure through a simple tax reform plan that will benefit the middle and lower classes that are being overlooked by our current administration. I am a Kansas resident and a student before I am a politician, which has inspired me to run for office, to make changes for the people, people like me, who want the best for Kansas.<和文>
私は投票するには若すぎるかもしれませんが、州政府が解決に取り組む必要がありながら、そうしていない、カンザス州の問題を考えるのに若すぎるということはありません。カンザス州の教育システムの一学生として、私は、現政権に見過ごされている中流階級と下層階級のためになるようなシンプルな税制改革案により、教育やインフラに変化をもたらそうと考えています。私は政治家である前にカンザス在住の学生であり、私のようにカンザスにとってのベストを求める人々に変化をもたらすため、出馬することを決めました。
さて、「自由の国」アメリカならではのニュースとも言える今回のカンザス州知事選ですが、現地の人々は実際にどのような反応をしているのか見ていきましょう。
They can’t more harm to the state than Brownback did so they should be allowed to present their ideas, at the very least.
— Mary (@Mary47885286) March 3, 2018
ブラウンバック前州知事がしたほどカンザス州に危害を与えることはできないだろうし、少なくとも意見を述べることくらいはさせるべき
Any of the six will do a better job than Brownback. Low bar, I know.
— David Michael (@awakeby2020) February 12, 2018
6人のうちの誰が当選してもブラウンバックよりはいい仕事をするだろう。ハードルが低いのは知っている
It doesn't. We have a toddler as president.
— Lori Taylor (@nordicwarrior88) March 8, 2018
驚くようなことじゃない。私たちの大統領は幼児なのだから
Living in Kansas, I can say I rather have a teen as Governor than Brownback.
— DawnLaurie (@DawnLauri) March 3, 2018
カンザス州に住んでて言えるのは、ブラウンバックよりは10代の知事の方がいい
サム・ブラウンバック前州知事と比べる内容の反応が多く見られます。彼は税金に関する政策などで評判があまりよくなかったようです。
Really? Just really?
— Will Steuerwald (@willis_ehren) March 3, 2018
本当に?マジで言ってるの?
Yes, it is preposterous. We do not need more inexperienced male officials running the government. Come on!
— Vickie Stangl (@VSStangl) March 3, 2018
馬鹿げている。もう政府に経験のない男性職員はいらない。いい加減にしてくれ
経験のない高校生が出馬することに対する否定的な意見も見られました。
この件はマスコミでも多く取り上げられ、出馬予定の若者はテレビでインタビューに答えたりしています。
動画の冒頭(0:20〜)でインタビュアーと高校生の間で以下のやりとりがあります。
Interviewer: I mean governor, come on. Right?
インタビュアー:州知事ですよ。本気で言っているのですか?Student: Why not?
学生:ダメな理由でもあるのですか?Narrator: Why not indeed, because it seems the 19th century state leaders never thought to include age requirements to run for governor.
ナレーター:まさにそのとおり、なぜなら、19世紀の州のリーダーたちは州知事選に出馬する年齢制限を設けなかったようです。
(出典:CBS News)
また、出演している政治学者は以下のようにも述べています。
None of these teenagers has any experience in elected office, but our president didn't have any experience in elected office until he was elected.
彼らは誰一人として公選職の経験がありませんが、私たちの大統領も当選するまで公選職の経験がありませんでした。
いかがでしたか?
今回の件を受け、カンザス州の議員たちは出馬することができる最低年齢を18歳に定める法案を提出しました。しかし、この法案が通ったとしても、施行されるのは2019年の1月1日だそう。
カンザス州の知事選は2018年の11月です。つまり今回出馬表明をしている学生たちに影響はありません。
若者の政治参加を促したい、本気でカンザス州を変えたいと望む若者たちの挑戦。今後も注目していきましょう。
ニュースを読むだけでなくその文化的な背景を知ること、より深く理解することで、英語学習もより楽しくなるのではないでしょうか。今後もデイリーニュースで楽しく英語を勉強していきましょう!