白人はチャイナドレスを着てはいけない? アメリカの女子高生に批判殺到の理由【デイリーニュースで振り返る2018 vol.5 】

こんにちは、エリックです。

DMM英会話の大人気教材である『デイリーニュース』から毎回気になるニュースをピックし、英語のポイントだけでなく文化や歴史、イマの社会情勢などにも触れながら紹介する『デイリーニュースで振り返る』。

今回のニュースは『米国の学生、プロムでのチャイナドレスで議論を呼ぶ』です。

アメリカの高校生にとって一大イベントである「プロム」というダンスパーティーに、一人の女子高生がチャイナドレスを着て参加しました。彼女がそのときの写真をツイッターに投稿すると、瞬く間に拡散され、ネット上で物議を醸しました。

チャイナドレスを着ただけなのに、なぜこんなにも世間の注目を浴びることになったのでしょうか? そこには、人種のるつぼであるアメリカならではの理由がありました。

本記事ではこの件の一連の流れと、ネットの反応をまとめました。
 

米国の学生、プロムで着たチャイナドレスが議論を呼ぶ

今回のニュース記事はこちらです。

American Student's Chinese Prom Dress Starts Debate
『米国の学生、プロムでのチャイナドレスで議論を呼ぶ』
May 10, 2018

上記ニュースより英文を一部抜粋し、単語や文法等の解説を交えながら、関連情報やネットの反応等を見ていきましょう。

全文はこちらからご確認いただけます。

プロムを楽しむ高校生

事の発端は、ある女子高校生がプロムと呼ばれるダンスパーティーに着て行ったドレスの写真をネットに投稿したことでした。

【ニュース本文】
<英文>
Keziah Daum is an American high school student from the state of Utah. She recently attended her school’s prom, where she wore a traditional Chinese dress called, in Mandarin, a “qipao.”
<和文>
キザイア・ダウムはアメリカ、ユタ州の高校生。つい先日、通っている学校のプロムに参加し、「旗袍」と呼ばれる中国の伝統的なドレスを着て行った。

プロム(Prom)とは、アメリカなどの高校で行われるフォーマルダンスパーティーで、現地の学生たちにとっては一大イベントとなっています。男性はタキシード、女性はドレスが基本ですが、個性を出すために特徴的な服装で臨む人も。

原則は男女ペアでの参加となり、プロムへ誘うためにサプライズでプラカードを用意するなど、様々な工夫をする場合もあります。

【ニュース本文】
<英文>
Daum found the dress at a used clothing store. She thought it had a special look, and hoped it would help her stand out at the dance. The dress was “Chinese red”, a color that represents good fortune and joy.
On her prom night, Daum posted photos on Twitter of herself wearing the dress.
<和文>
ダウムは古着屋でそのドレスを見つけたという。特別な見た目で、ダンスパーティーで目立たせてくれると思ったそう。ドレスの色は幸運と幸せを表す「チャイニーズレッド」だった。
プロムの夜、ダウムは自分がドレスを着ている写真をツイッターに投稿した。

こちらが問題の写真。

この投稿はアメリカ中から注目を集め、多くの反応があり、一週間後には14000件以上のコメントがついていたそう。

何が問題なのか?

では、この投稿のどこがそんなに注目を集めたのでしょうか。

【ニュース本文】
<英文>
The debate centers on whether Daum wearing a qipao is an example of cultural appropriation. This is when members of the dominant culture in a society adopt practices of a minority culture without fully understanding the meaning of the practices.
<和文>
議論の中心は、ダウムが旗袍を着ていたことがカルチュラル・アプロプリエーション(文化の盗用)にあたるのではというもの。カルチュラル・アプロプリエーションとは、ある社会の中でのマジョリティ(多数派)の一員がマイノリティ(少数派)の文化の慣行を、意味を完全に理解せずに取り入れること。

この「カルチュラル・アプロプリエーション」という言葉はあまり聞きなれないかもしれません。

直訳すると「文化の盗用」ですが、具体的にはどのような意味なのでしょうか?

Cultural Appropriation

"cultural appropriation" とは、一言でいうと、ある国や地域の文化を、他の文化の人が本来の意味とは違った意味で都合よく「盗用」することです。

つまり、今回の場合はアメリカでマジョリティである白人のキザイアさんが、マイノリティである中国系の人々の伝統的なドレス(旗袍)をプロムに着て行ったことが、中国系の人々や文化に対して差別的で失礼なのではないか、という議論です。

日本文化がマジョリティの日本ではこのような概念はあまり存在しないのかもしれませんが、多くの文化が入り混じるアメリカでは近年頻繁に話題になります。

カルチュラル・アプロプリエーションには賛否両論あり、今回の投稿に対してもどちらの意見も見られます。
 

ネットの反応

カルチュラル・アプロプリエーションという概念自体が賛否両論あるように、今回の件に対してもネット上ではキザイアさんのドレスのチョイスを賞賛するコメント、批判するコメント、どちらも見られます。

ここでは実際のツイッターのコメントをいくつか見ていきましょう。

肯定的な意見

私はアジア系アメリカ人で、結婚式に旗袍を着ました。あなたにとても似合っています。プロムのドレスにするなんて素晴らしいアイデアですね!侮辱的だとは全く感じません。

最近、あなたは中国で人気者です。たくさんの大手メディアがあなたの話題を中国で報道しています。ほとんどの中国人は問題ないと思っていて、文化的な問題ではなく、ただ綺麗な女の子が素敵なドレスを着ていると考えています。中国の文化に興味を持ってくれてありがとうございます。ー上海からのコメント

うーむ。ファッション業界は様々な文化や職業からインスピレーションを受けています。音楽家、アーティスト、建築家も同様です。これらもカルチュラル・アプロプリエーションなのですか?ここで「気分が害された」と言っている人たちは、(中国系の人以外は)伝統的な中国の音楽も聴いてはいけないと言いたいんですかね?

どうしてアメリカ人がこのドレスの件でご立腹なの?みんなセントパトリックス・デーにはレプラカーンの格好するじゃん。

レプラカーン(leprechaun)はアイルランドの妖精。アメリカではセントパトリックス・デーに緑の服を身につけて祝うことが多いです。
 

否定的なコメント

私たちの文化はあなたのプロムドレスのためにあるものではありません。

大事なのは他の文化をリスペクトすること。これはプロム用のドレスではなく、意味があるんです!

ん〜、キザイア。ドレスよりも、この写真のポーズの方が気になるよ…

キザイアさんとその友人のポーズが差別的であると指摘するコメントも。

これらに対し、このポーズは中国人の真似をしているのではなく、ユーチューバーの Ethan Klein さんが流行らせた "Papa Bless" と "Vape Nation" というポーズだと、キザイアさんを擁護する声も多数見られます。

実は Ethan Klein さん本人が自分のチャンネルの動画でこの件に触れ、人種差別的なポーズではないと説明しています。
 

キザイアさんの反応

一連のコメントに対して、投稿主のキザイアさんは以下のように述べています。

こんなにたくさんのヘイトを生み出す必要性がわかりません。私は、美しい文化に対する愛を表現しているだけで、それは何も悪い事ではありません。くだらないことをずっと言っていればいいですよ。私は気にしません。私は中国文化をとてもリスペクトしています。

ヘイト(hate)とは「憎悪」や「憎しみ」の意味。この場合は批判的なコメントやその気持ちを意味します。

ネガティブなことばかり言っている人たちへ:私は中国文化を軽蔑するつもりは全くありません。私はただ、その文化への愛を表現しているだけです。中国文化への愛を示しただけですので、投稿は削除しません。ドレスですよ。それも美しいドレス。

私が無知だと言う人へ、皆さんの懸念や考え方は理解しています。私に悪気はありません。人種差別がしたいわけでは全くありません。愛を表現したかっただけなのに、過激な反応とヘイトに疲れてしまいました。

若干18歳の女子高生が学生生活の一大イベントをただ楽しみたい気持ちで投稿した写真。それが一躍世間の注目を集めることになってしまうとは夢にも思っていなかったでしょう。
 

まとめ

いかがでしたか?

多くの人種が入り混じる "melting pot"(人種のるつぼ)であるアメリカならではの議論と言える今回のニュース。

根深い人種差別の歴史を持つ国なので、様々な見解があることは当然ではないでしょうか。最近ではポリティカル・コレクトネスが重要視されることも多くなりましたが、これも度が過ぎているのではないかという声もあります。

みなさんはどのように思いますか?ぜひオンライン英会話で様々な国の先生と議論してみてください。

ニュースを読むだけでなくその文化的な背景を知ること、より深く理解することで、英語学習もより楽しくなるのではないでしょうか。今後もデイリーニュースで楽しく英語を勉強していきましょう!

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