Hiroe H
(更新)
こんにちは、Hiroe H.です!
カナダに移住前は、カナダ人も日本人も考え方が似ているからカルチャーショックなんてないだろうな、と思っていました。これはカナダ人の夫と私の考え方がとても似ていたからというだけの単純な理由で、実際移住後は、カナダ人との価値観の違いに結構驚くことの連続でした。
ですがカナダに長く住むにつれ、カナダという国の独特さがこの価値観の違いを生んでいる、ということに気がつきました。
今日は、カナダで暮らしていて感じるカナダ人と日本人の価値観の違いを紹介したいと思います!
TOP IMAGE: Photo by AJand Simon Berger on Unsplash
まず「カナダ人」と言っても、多民族国家のカナダには多くの人種が暮らしています。同一民族の割合が全人口の大半を占める日本と異なり、カナダは人口の約20%(5人に1人)が移民なんです!
この移民文化が、日本人との価値観の違いを作り出していると言っても過言ではないと思います。
たとえば、日本人が日本で外国人を見かけたら「どこの国の人だろう?」と思う人が多いでしょう。日本人ばかりの日本で育った私たちにとって、見た目の違う人がいれば「どこ出身の人だろう?」と思うのは普通のことですよね。外国人風の見た目の人を日本人だと思う人はほとんどいないでしょう。
それに対し、カナダ人がカナダでアジア系の人を見かけても「何人だろう?」と思うことは少なく、多くのカナダ人はそのアジア系の人のことを「カナダ人」だと思うでしょう。
私はカナダの永住者ですが、カナダ国籍は持っていません。でも、多くのカナダ人は私のことをアジア系カナダ人だと思っています。そして私に「どこ出身?」と聞いてくる人はほとんどいませんし、逆に聞くほうがタブーとされています。
私の周りを見ても、年配の方は第二次世界大戦後にヨーロッパ圏から移民してきた方々やその子供たちが多く、もう少し若い世代になると Skilled Workers「技能移民」として中国、インド、フィリピン、ハイチなどから移住してきた方たちが多いです。
このようにカナダ自体が多くの人種からなっているため、カナダ人と日本人の価値観が違うという前に、カナダ人たちの間でも価値観は結構違うと言えるでしょう。
そんなカナダに来てよく思うのは、カナダ人の多くは自分たちの権利についてよく主張するということです。権利だけでなく、自分たちの意見もしっかり主張します。
たとえば、カナダでは女性やLGBTQ2+などの人権保障が日本よりはるかに先を行っています。これはカナダ人の多くが自分たちの権利をしっかり主張しているのが理由の1つだと思われます。
ですが、自分たちの権利や意見の主張が度を越している人たちがいるのも事実です。そういう人たちは敵意をむき出しにして、周りの人の気持ちはお構いなしに主張します。また、相手が自分より目上でもお構いなしに自分の意見をバンバンぶつける人が多いです。
日本人の和は(ここでは集団の中でのハーモニーという意味の和ですが)残念ながらカナダではあまり見ることがありません。
確かに、この日本の和の文化には自己主張の弱さや、個性の欠落などといったマイナス面もあるかもしれません。それでも日本で生まれ育った私にとっては、周りの人の気持ちを害してまで自己主張をするより、相手の気持ちを汲み取り、争うことなく調和を保って暮らしていく方が大切な気がします。
基本的な人権を守るために何かを主張するのでないなら、なぜそこまで自分の意見を押し通そうとするのかが正直理解できません。
カナダ人の多くはカナダの医療制度は最高だと言います。中には世界一だと思っている人もいます。その理由は、医療費が無料だからです。
ですが、私は日本の医療制度のほうが良いと思います。日本の医療費は無料ではありませんが、自己負担額を払えば素晴らしい医療を受けることができます。いつでも病院に行けば医師に診てもらえます。必要であれば、すぐに検査をしてもらえます。
カナダでは家庭医がいる人たちは、まず家庭医に診てもらいます。そのためには予約が必要なので、家庭医がいてもその日に診てもらうことはまずできません。
家庭医がいない人は、ウォークイン・クリニック(予約なしで診てもらえる診療所)か、緊急なら救急外来に行って医師に診てもらいます。住んでいる街にもよりますが通常2〜6時間待ちです。
新型コロナウイルスが流行り始めてからは、ウォークイン・クリニックに行くにも予約が必要となりました。私の住む街のウォークイン・クリニックは、朝9時から電話で予約ができますが、電話がつながるまで30回以上かけ直し、軽く1時間以上はかかります。
やっとつながったとしてもその日の予約がすでにいっぱいのときもあり、その場合は翌日同じように朝9時から電話がつながるまで電話と格闘です。
予約が入れられたとしても医師に診てもらえるのはその日の夕方5時〜9時の間で、半日以上待たないといけません。やっと医師に診てもらえたとしても、検査や専門医が必要な場合は、紹介してもらうか予約を入れてもらい、また待ちます。
数年前、夫は下血が続きウォークイン・クリニックに予約を入れようとしましたがなかなか予約が入れられず、最終的には救急外来に行き6時間待ってやっと医師に診てもらいました。
救急外来で専門医を紹介してもらうことになりましたが、専門医から連絡が来たのはなんと11ヶ月後で大腸カメラの検査を受けられるまでに一年かかりました。
そのときは持病が悪化しただけでしたが、もし大腸癌だったら1年のうちにどれだけ進行していたことだろう、と思うとゾッとしました!
日本に住んでいたときは、予約なしに内科医、整形外科医、眼科医など専門医に診てもらえ、同じ日にMRIや心臓の超音波検査をしてもらったこともあります。多少のお金がかかっても、医療制度は日本の方がはるかに上のように思えます。
カナダでは、子供達が大人扱いされるのが日本に比べて早いように思います。
日本とカナダの高校生を比べてみると、日本の高校生は親にお弁当を作ってもらい、洗濯もしてもらい、さらに毎月お小遣いをもらったり、塾の費用を払ってもらったりします。大学の授業料も親に払ってもらう子たちが多いのではないでしょうか。
それに比べ、カナダの高校生の多くは自分でお昼のサンドイッチを作り、洗濯も自分でします。親からお小遣いをもらっている子はほとんどおらず、バイトをして自分の洋服や娯楽費を稼ぎます。
多くの子が15歳くらいからバイトを始めます。そして、州にもよりますが16歳で車の免許を取ることができます。大学は親の収入に関係なく学生ローンを組んで通う子たちが多いです。
一概にどちらが良いと言えませんし、家庭によってもそれぞれだと思いますが、カナダ人の高校生の方が、日本人の高校生より親に甘えず責任感を学ぶのが早いですし、周りの大人も彼らを大人扱いするのが日本より早いように思います。
ただカナダの高校生と違い、3年間の大半を受験勉強に費やさないといけない日本の高校生にとっては、親のサポートが必要ですし、とてもありがたいことですよね。
今回はカナダ人と日本人のいろいろな価値観の違いについて紹介しましたが、いかがでしたか?
カナダはとても暮らしやすい国ですが、私だけでなく、カナダで暮らす日本人の友人たちもカナダにずっと暮らしたいという人は誰一人としておらず、みんな日本に帰りたいと言います。それに対し、ほかの国から移民してきた友人たちはカナダが大好きで、一生カナダで暮らすつもりの人ばかりです。
同じ民族ばかりが暮らす日本と比べ、カナダは世界中から多くの移民を受け入れ、多くの人種と民族が混じり合う「多文化主義」の国です。この2つの国民の価値観が違うのも当たり前かもしれませんね。