テックスメックスはアメリカ×メキシコ?世界で人気の「多国籍料理」
ラーメンは中国、カレーはインド、そしてピザはイタリア。ほとんどの食べ物には、それに関連する国や地域がありますよね。
例えばカレーはインド発祥ですが、イギリスを経由して日本に伝わり、少し甘味のある一般的な日本のカレーが出来上がりました。料理は国や地域の人の舌に合わせて日々変化しています。
このように、異なる文化が交わり、新しいものができあがるということがよくあり、「料理」もこの「融合」の一つです。
本記事では、世界中で食事の文化が融合して作られた人気の「多国籍料理」についてお話ししていきます!
多国籍料理とは?
さまざまな国の料理が混ざった料理のことを英語では fusion または cross-cultural cuisine と言います。
Fusion(フュージョン)は融合という意味で、cross-cultural(クロス・カルチュアル)はさまざまな文化(カルチャー)が交える(クロス)ことから、このように呼ばれるようになりました。
日本でも、フランスやイギリスなどが食べ物や食材を持ち込んだ影響で生まれた料理がありますね。
今回は、世界で愛されている多国籍料理から、外国の料理に見えるけれど実は日本で発祥したものもあわせてご紹介します。
世界で愛されている多国籍料理
Tex Mex|テックス・メックス
- 融合した国:アメリカ×メキシコ
- 人気料理:タマレス、チリコンカン、エンチラーダ、ファヒータ、ナチョス
Tex Mex(テックス・メックス)はアメリカ特有のメキシコ料理で、メキシコの国境と接しているテキサス州で誕生しました。要するに、テキサス風メキシカンです!
テキサスの住民は、南に位置するメキシコの料理を好んで、牛肉や小麦粉など手に入る食材を使って家庭で作るようになったそう。そしてテキサス州のメキシコ料理店は、テキサスの人の好みに合わせて新たな食材を追加するようになり、現在のテックス・メックスが生まれたのです。
日本にも、渋谷、恵比寿、新宿などをはじめ、多くの場所にテックス・メックス料理店が存在します。筆者はこの料理が大好きなので、食べに行くことが多いです。とてもおすすめなので、みなさんもぜひ興味があればテックス・メックス料理店に足を運んでみてください!
French-Vietnamese cuisine|フランス・ベトナム料理
- 融合した国:フランス×ベトナム
- 人気料理:バインミー、ベトナムコーヒー、バインフラン
日本でも大人気な「バインミー」は、フランスとベトナムの代表的なフュージョン・フード!
バインミーとは、米粉と小麦粉を混ぜて焼いたバゲットに、パテ、肉、野菜、唐辛子などさまざまな具材を挟んだサンドイッチです。ベトナムで採れる食材とフランスから持ち込まれた食材を合わせてできていますね。
実は、「ベトナムコーヒー」もフランスの影響を受けています。ベトナムにコーヒーが持ち込まれたのは1800年代ですが、コーヒーが導入されてから現在に至って、ベトナムは世界第2位のコーヒー生産国にまで成長しました。また、コーヒー消費国としては第15位です。
ベトナムでは新鮮な牛乳が手に入らなかったため、より甘いコンデンスミルク(練乳)で代用したのが今や世界中で人気のベトナムコーヒーの始まりだと言われています。
バインミーは高田馬場、外苑前、日本橋などの場所で味わうことができるので、食べたことがない人はぜひこの際に試してみてはいかがでしょうか?
American “sushi”|アメリカ風寿司
- 融合した国:アメリカ×日本
- 人気料理:カリフォルニアロール、サーモンスキンロール、スパイシーツナロール
日本人の誇りの一品・寿司。これがアメリカに渡るとどう変化するのでしょうか?
最近では、日本の寿司屋でもたまに「カリフォルニアロール」を見かけることがありますが、日本人が知っている寿司とはだいぶ異なりますよね。
海苔がなかに入っていて、トッピングがなかと上に乗せてあるスタイルのこの寿司は、アメリカで始まりました。海苔の味を嫌がるお客さんにアピールするために、ご飯を外側に巻いたのが始まりとのこと。
アメリカの寿司は、揚げられいたり、チリソースがかけられていたり、アボカドが乗っていたり入っていることが多いです。本場の日本では考えられませんよね!
食事は、その地域の人の舌に合わせて変化しますが、まさにそれが感じられるフュージョンですね。
Anglo-Indian cuisine|アングロ・インド料理
- 融合した国:イギリス×インド
- 人気料理:チャツネ、ケジャリー、牛タン塩漬け、マリガトーニ・スープ
アングロ・インド料理は、インドのイギリス統治時代に発展した料理です。「Anglo(アングロ)」は「イギリスの〜」という意味の単語なので、この言葉が使われているときは、大抵はイギリスと関係しています。
この料理は、1926年に開業したVeeraswamy Restaurant(ヴィーラスワミー・レストラン)によって、インド料理がイギリスに持ち込まれたことが始まりとのこと。ケッジリー、マリガトーニー、ピッシュパッシュなどの料理をイギリス人の味覚に合わせて紹介したことで、アングロ・インド料理が広く認識されるようになりました。
そしてイギリスでは、現在もインド料理やスパイスなどが料理に用いられることが多いです。
Cajun cuisine|ケイジャン料理
- 融合した国:アメリカ×フランス
- 人気料理:ガンボ、ジャンバラヤ、ザリガニ、ブーダン
ケイジャン料理とは、18世紀にアカディアからアメリカ・ルイジアナ州に追放された人々が、西アフリカやフランス、スペインの調理法を取り入れて独自に発展させた料理スタイルです。
アカディアというのは、17世紀から18世紀にかけてフランスが所有した北アメリカ大陸の大西洋岸に位置する地域を指します。現在はカナダの一部である数々の島を中心に、アメリカ・メイン州とカナダ・ケベック州の一部を含むことを意図していたと思われているそうです。
ケイジャン料理はシーフードが主体で、魚やエビ、ザリガニなどがふんだんに使われています。また、ブーダンという料理は、ブラッドソーセージの一種で、豚の血とラードを使ったフランス由来の腸詰です。
もしアメリカの南部に行くことがあれば、ぜひ食べていただきたい料理です!
【おまけ】実は日本で発祥した洋食
日本の「洋食」は歴史が長く、奥も深いです。外国の料理に見えても実は日本で発祥したというものがたくさんあるので、ここで5つご紹介します!
オムライス
オムライスは、日本人であれば必ず食べたことがあるでしょう。フランスのオムレツから影響は受けていますが、炒めたご飯を卵で包むことは、日本独自の発想です。
オムライスの「発祥の店」とされる店はいくつかあるそうですが、なかでも有力候補とされるのが東京の銀座にある「煉瓦亭」と、大阪の心斎橋にある「北極星」とのこと。
そして日本の料理を外国の方に説明することもきっとあるでしょう。そんなときは、以下の説明を使ってみてください!
ナポリタン
これは聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
ナポリタンは、横浜に位置する「ホテルニューグランド」で誕生したとされています。2代目総料理長の入江茂忠氏が、当時の米兵が食べていたケチャップで味付けしたスパゲッティを再現して作ったことが始まりだそう。それをアレンジしたレシピが人気を誇り、ナポリタンは現代でも人気を保ち続けています。
さて、子供から大人まで好んで食べるナポリタンは英語でどう説明するのでしょうか。
ドリア
実はドリアもナポリタンと同様「ホテルニューグランド」のシェフが発明したとされている料理です。
初代総料理長のサリー・ワイル氏が、体調を崩した外国人客のために即興で考えて作り上げたのがこの「ドリア」だそう。
元祖ドリアは、バターで炒めたライスに海老のクリーム煮を乗せ、グラタンソースにチーズをかけてオーブンで焼いたものでした。それが好評だったため、のちにレギューメニューにも登場するようになったとのことですよ。
クリームシチュー
クリームシチューは、海外では Japanese cream stew と呼ばれることがあります。
ホワイトシチューと呼ぶこともあるこの料理は、タマネギ、ジャガイモ、ニンジン、鶏肉などの具材を使っていて、小麦粉でとろみを出した状態に仕上げていることが特徴です。
市販のルーを販売するようになったことで、1966年ごろに日本の家庭の一つとして人気が広まったそうですよ。
ミルクレープ
ミルフィーユがフランス由来のお菓子なので、ミルクレープもそうではないかと思う人が多いのではないでしょうか?
しかし、薄いクレープ生地と甘いクリームが層になっているこのケーキは、フランスではなく、西麻布のカフェ「ルエル・ドゥ・ドゥリエール」で誕生したとのこと。
なお、名称の由来は実にフランス語です。ミルフィーユはフランス語で「1000枚の葉」という意味なので、ミルクレープは「1000枚のクレープ」ということになるそう。
多国籍料理を食べてみよう!
いかがでしたか? 筆者はこの記事を書いていてお腹が空きました。
文化の交流は、さまざまな変化や新発見をもたらします。料理もそのなかの一つです。
もし今回ご紹介した多国籍料理を食べる機会があれば、ぜひ文化や歴史についても考えながら、味わってみてください!