20年ぶりの大快挙!2015年アメリカ最新海外ドラマ『Fresh Off the Boat』のここがすごい!

今年2015年の1月からアメリカ大手TVネットワークABCで始まった海外ドラマの『Fresh Off the Boat』というシリーズ。台湾系アメリカ人一家がメインキャラクターとして出てくるコメディドラマなのですが、放送開始からアジア系アメリカ人の間で大きな話題となっています。

 

『Fresh Off the Boat』予告編

台湾系アメリカ人の友人は「まるで自分の子供時代を見ているみたいで泣けてきた!」とまでFacebookにポストしていたほど。シットコム(シチュエーションコメディの略で30分の短いコメディシリーズ。代表的な作品はフレンズ、フルハウスやママと恋に落ちるまでなどがあります。)なのに泣けるってどういうことよ?! と衝撃を受けていたので、どのようなシリーズなのか調べてみました。

 

そもそも題名の”Fresh off the Boat”って何?

ボート

略して"FOB"といわれるこちらの表現『fresh off the boat』ですが、"fresh off"で「~の直後の」や、「やってきたばかりの」といった意味があります。うしろに"the boat"がきていることから、直訳をすると「船でやってきたばかり」という意味になりますね。

すなわち、新しく移民してきた人たちのことを指す言葉として主にアメリカで使われます。そもそも今の時代に船で移民してくるなんてことはないと思うので、皮肉の入ったネガティブな意味も含んでいます。

また"FOB"は、移民たちの中でも新しい国の文化に慣れようとせず、英語もなかなか覚えようとしないような人たちのことを指すことも。そこから、職場などでただ単に新入りで何も知らない人のことを指す場合もあります。

では、なぜそこまで『Fresh off the Boat』がいま注目されているのでしょうか。

 

アジア人家族がメインのシットコムは20年ぶり

Korean Boys

アジア系俳優が主演のドラマは1994年以来なかった

アメリカには全米で約200万人のアジア系アメリカ人が暮らしているというデータがあります。(参考:Wikipedia

しかし、海外ドラマが好きの方ならお気づきかと思いますが、現在日本で見ることができる人気シリーズの多くのメインキャラクターはほぼ確実に白人の役者が演じていますよね? アジア系がいても他人種とのミックスだったり、脇役だったりと、なかなか主人公としてアジア系の俳優を見るということはありません。

それもそのはず。最後にアジア系の俳優をメインキャラクターとして登用していたドラマは20年前の『All-American Girl』(日本未公開)という作品なのです。こちらのシリーズは1994年にシーズン1のみで打ち切られてしまいましたが、韓国系アメリカ人の家庭で育ったティーンエイジャーを主役としたコメディでした。

 

差別的な笑いとは一線を引いたコメディに

しかし昨今のアメリカでは様々な人種をTVなどで取り扱う際に、ステレオタイプに当てはめた描写などの差別表現に注意を払わなくてはいけないという風潮があります。

例えば海外ドラマで例を挙げると、2013年から一年間放送をしていたシットコム『Dads』というシリーズ(2012年の映画テッドの監督で有名なセス・マクファーレンがプロデュース)では、アジア人のステレオタイプを皮肉ったセリフがあったため、かなりのバッシングを受けていました。

もちろん、過去にはマイノリティー人種(白人以外の人種)がドラマや映画で取り上げられる際に、どうしても笑いのネタとして使われることが多かったのも事実。

有名な映画を例にあげるとオードリー・ヘップバーンの「ティファニーで朝食を」に出てくる日本人のユニオシは当時の日本人のステレオタイプが強調されたキャラクターとして描かれていました。RとLの発音がきちんとできていなかったり、出っ歯だったり、刀を持っていたりと...日本人から見ると首をかしげたくなる描写でしたね。

『Fresh Off the Boat』はそういった観点からではなく、アメリカで暮らすアジア系移民の苦労だとか、"あるある"的なストーリーを差別的な笑いとは一線を引いたコメディとして描いており、高い評価を受けています。

 

実話に基づくリアルな描写がおもしろい!

Merged Flag of USA and Taiwan

実はこのシットコム『Fresh Off the Boat』は、現在32歳のエディー・フアンという人の自伝が原作となっています。

彼の両親は台湾からアメリカンドリームを夢見て移住してきましたが、エディーら子供たち3人はアメリカで生まれました。そのため、いくら両親が祖国の文化を大切にしながらアメリカという国に馴染もうとしていても、子供たちとは考え方やアメリカ文化に対する受け取り方に差が出てきてしまうのです。

この『Fresh Off the Boat』も、アメリカ人として生きてきている子供たちと移民である親とのギャップをうまく表現されています。
また、アジア系移民だからこそ体験しがちなストーリーも組み込まれており、クスっと笑えるのもポイントです。

例えば、初めて会った白人のご近所さんに名前を聞かれて、「I’m Jessica」と答えたら「もうちょっとエキゾチックな名前を期待してたわ」と返事が返ってきたり、見た目がアジア人だからという理由だけで「英語すごい上手ね!」と言われたり。
学校のランチタイムで、広げたお弁当が焼きそばだったため周りから不思議な目で見られるなど、アジア系移民の"あるある"が盛りだくさんなのです。

 

様々なバックグラウンドを持った人たちと交流しよう

このように異なるバックグラウンドを持つ人々が一緒に暮らす国でないと体験できないことというのはたくさんあります。

私自身、大学留学のため親元を離れ一人でアメリカで暮らす前までは自分が日本人、そしてアジア人であることを意識したことはありませんでした。日本で生活していて普段何も考えずにしているようなことも、他の人種や他国の人からすると不思議に映るのです。そういった発見をしたり、互いの文化の違いを英語で話し合うのも、国際交流の楽しみでもあります。

残念ながら『Fresh Off the Boat』はまだ本国でも開始されたばかりのため、日本で放送されるかは未定。人気シリーズ『モダン・ファミリー』(こちらも同姓カップルや南米からの移民などのマイノリティを扱い大ヒットしています)のように現代のアメリカの家庭生活を垣間見ることが出来る海外ドラマがもっと日本に定着して欲しいですね!