さな
(更新)
青く輝く海と、白く光る砂浜。
カラフルなかき氷に甘いパイナップル。
ハワイは、誰しも行ってみたい楽園のようなイメージがありますよね。
日本からも距離が近く、日本人の観光客で日々賑わうハワイ。
そんなハワイはアメリカ合衆国の州のひとつですが、本土のアメリカとは文化や言葉、人々も異なります。
そこで今回は、どのようにして英語がハワイに行き渡ったのか、またハワイの言語と英語の関係性、そしてハワイに由来する英語表現などをご紹介したいと思います!
まずは、少しだけハワイの基本情報について説明したいと思います。
ハワイはアメリカ合衆国の50州目で、1959年8月21日に正式に米国の一部となりました。
正式名称は Hawai’i と apostrophe(アポストロフィ)が入りますが、英語では Hawaii と記載されます。
そんなハワイは、太平洋の中央部に位置する火山島群。東はアメリカのカリフォルニア州サンフランシスコから2,397マイル(3,857km)、西はフィリピンのマニラから5,293マイル(8,516km)に位置していて、首都はオアフ島にある Honolulu(ホノルル)です。
なお、2022年時点の人口はおよそ143万人。
英語とハワイ語の両方を話すことから、アメリカのなかで唯一「バイリンガル」な州として認識されています。
さて、英語はいつ、どのようにしてハワイに辿り着いたのでしょうか?
英語の足がかりとなったのは、1820年に来島した Christian missionaries(キリスト教宣教師たち)です。
宣教師たちは、聖書を翻訳するために当時話されていた「ハワイ語」の書き言葉を開発し、言語の保存に役立てました。やがて宣教師は、地元の人たちに英語を押し付けるようになります。
しかしハワイの人たちは、そう簡単に英語をマスターできたわけではありません。
ハワイの原住民と、英語を喋る人たちがスムーズに会話ややりとりができるためには、まずは共通の言語を作らなくてはいけなかったのです。
そのようにして、Hawaiian Pidgin(ハワイアン・ピジン)という言語が生まれました。ピジンとは、同じ言語を話さない2つのグループが作る、初歩的な言語のことです。Hawaiian Creole English(ハワイアン・クリオール・イングリッシュ)と呼ばれることもあります。
ハワイには、英語のほかに、日本語やタガログ語、ポルトガル語、そして広東語を喋る人々が住んでいたため、これらの言語に由来する言葉もたくさんあります。
しかし、そのなかでも英語がもっとも影響力があったため、19世紀の終わりには、ハワイでは英語が主要言語となっていたのです。
ハワイアン・ピジンには英語と異なる要素がたくさんあります。
たとえば、主となるアルファベットは12個しかありません。これは A, E, H, I, K, L, M, N, O, P, U, W です。
なお、diphthongs と呼ばれる「二重母音」や、 ’okina と呼ばれる glottal stop(声門破裂音)というものもあります(uh-oh と声に出すときの真ん中の音)。
アルファベットの少なさからして、発音ももちろん英語とは変わってきます。
たとえば、the はピジンでは da になったり、that is why が dass why に、また thanks が tanks になったりします。
さらに、スリッパという言葉のスペルは英語では slippers ですが、ハワイでは slippahs と記載されます。しかも、室内で履くあのスリッパではなく、ハワイでは「ビーチサンダル」のことを指すのです。
ピジン英語の独特さがなんとなくわかってきましたか?
ハワイと英語の関係性がわかったところで、次はハワイでよく使われている言葉や表現をご紹介したいと思います。
「おいしい」という意味のピジン英語は、2種類あります。
ひとつ目は「’ono(オノ)」という言葉です。
そしてふたつ目は broke da mouth/mout という表現。英語に書き換えると「broke the mouth」ですが、直訳すると「口が壊れた」になりますね。
これは、食べたものがおいしすぎて、喋ることを忘れ、ひたすら食事を続けてしまうことからこのような表現が生まれたそうです。
「ロミロミサーモン、おいしすぎる」
また、「食べ物」のことをハワイでは grindz と呼ぶこともあるそうで、特にローカルフードに使われるとのこと。ちなみに grind は英語で「挽く」や「潰す」を意味しますよ。
How’s it going? の砕けた感じと考えてもいいでしょう。How is it? が Howzit? になったような感じです。
「マイケル、調子はどう?」
こちらは英語の brother という言葉からきています。「兄・弟」を表す単語ですが、「そこの兄ちゃん!」や「友達」を指し、カジュアルに使われることが多いです。
「友よ、気をつけてね!」
英語の irritating という言葉に由来するこちらは、「面倒なこと」を表すときに使われます。
「妹が今めちゃくちゃ面倒くさい/うざったい」
英語では childhood と言いますが、「幼少期」を表すピジン英語は small kid time になります。
「小さな+子供+時間」で、意味はそのままですね。
「小さい頃の写真、見て!」
英語で普段使われている言葉のなかには、ハワイに由来するものもあります! みなさんも聞いたことのある言葉があるはずですよ。
「フラダンス」や「フラフープ」。
Hulaとは、リズミカルな腰の動きと手の動きが特徴的なポリネシアンダンス。世界で親しまれていますね。
フラフープは、1958年にアメリカで発売されたおもちゃで、ハワイの踊りと腰の動きが似ていることから hula hoop と名付けられたそうですよ!
「フラはハワイの伝統的な踊りで、通常、詠唱や歌を伴います」
レイと発音します。Leiとは、花を集めて輪っかにした首飾りです。
「レイは、愛、友情、お祝い、名誉、そして挨拶の象徴です」
何らかのエンターテインメントを伴う「ハワイのパーティーや宴会」を指し、ハワイでは lu’au と表記します。
「友人の結婚記念日のパーティーはルアウがテーマでした」
Mumu と表記されることもある「ムームー」は、ハワイの女性が着る長くてゆったりとしたドレス。
「ムームーとはハワイの女性が着る伝統的なドレスで、基本的には花柄であることが多いです」
Tiki(ティキ)は、ポリネシアの神々を指す言葉で、神様に似せて彫られた木や石のオブジェを見かけることがあります。
Tiki は、ハワイだけではなく、ニュージーランドのマオリ族が儀式で使用する像や、イースター島のモアの彫刻など、ポリネシア各地で使用されている様々な像を指すこともあるそうですよ。
「ティキマスクは、手彫りの木製の仮面で、神様の象徴として使用されます」
また、アメリカでは、夏になると庭などでバーベキューやパーティーをしますが、その際に飾られるのが tiki torch(ティキ・トーチ)。
Torch は「松明」という意味で、もともとは神々に敬意を払う宗教的儀式などで使われていましたが、現在は雰囲気づくりや虫除けとして使用されることが多いです。
ウクレレの言葉の由来は、諸説ありますが、「跳ねる」+「ノミ」という意味の単語を合わせたものだと言われています。
そして、実はポルトガルから持ち込まれた楽器から発展して現在の形になったそうです。
ウクレレといえば、「オズと魔法使い」に登場した大ヒット曲「Somewhere Over the Rainbow」を想像する人もいるのではないでしょうか?
これは、ハワイの歌手である Israel Kamakawiwoʻole(イズラエル・カマカヴィヴォオレ)がウクレレでカバーしたことで、再び人気を呼び起こした名曲です。
聴いたことがない人はぜひこちらから。
まさかWikipediaの「wiki」がハワイに由来しているとは思いませんよね!
実は、ハワイ語で wikiwiki という言葉は「素早い」や「速い」を意味するそうです。
1995年に設立されたWikiWikiWebというウェブサイトが最初で、今では「すぐに修正ができるウェブサイト」という意味で使われます。
「Wikiはハワイ語で『速い』という意味で、これがWikipediaの名前の由来になっています」
Aloha(アロハ)や Mahalo(マハロ)のほかにも、さまざまな面白い言葉や言い回しがハワイには存在するんですね!
筆者は一度だけハワイに旅行したことがありますが、そのときはまだ子供でした。今度また行く機会があれば、ハワイの人々が使う英語表現に注目してみたいなと思います!
みなさんも、面白い豆知識として友人に広めたり、実際にハワイに行くことがあれば今回ご紹介した表現のいくつかを使ってみてくださいね。