【アメリカ式】英語コミュニケーションの基本 "KISS" と "THINK" って?

英語、それはあくまでも単なる言語の一つ。
英語は決して特技なんかじゃなく、人が生活していく上でのコミュニケーション方法の一つに過ぎません。
「英語を使う」ということは、日本語を理解しない人との交流、会話、そしてお互いを理解し合うための機会をつくるということ。
そして、日本語には無い常識、感性、感覚を理解して、世界中のさまざまな言語を使う人々との交流の機会をつくることを意味します。
今回は、代表的な英語圏であるアメリカで教えられている、世界中の人々とのコミュニケーションを図るための基本 "KISS"と "THINK" について紹介したいと思います。

「伝わる」に徹する “KISS”


一つ目の会話の基本 "KISS" は、シンプルに言ってしまえば「短く簡単に表現する」ということ。
これは言語の本来の目的である相手に「伝える」ということを重視したコミュニケーションの基本です。

それでは、いくつか具体例を見ていきましょう。
まず大切なのは、適切な文法や語彙など「正しい」言葉の使い方に対する執着心を捨てること。実際の言葉がどんな形になろうと、とにかく「相手に伝わる」ことを優先してわかりやすい表現を使うのです。
例えば、「喉が痛い」「喉の調子がおかしい」「喉が腫れている」という意味で "I have a sore throat." という表現がありますが、それに "KISS" をあてはめてみると、もっと簡単な言い方に変えることができます、

【例】
"I have a sore throat."
「喉が痛い」
⇨"My throat hurts."

また、文自体は長くなってしまいますが、"I have a pain in my throat.""I have a bad throat." のように簡単な言葉だけを用いて同じことを表すことができます。
それでも伝わらないという場合は、もっとシンプルに
"Here, pain, pain!!" 
と自分の喉を指差して言えば伝わりますよね。
このように「相手に伝わる」ことを第一に考えるのが "KISS" のポイントです。
さらに「言い訳をするな」という意味の "Don’t say excuses!!" も以下のように言い換えることができます。

【例】
"Don’t say excuses!!"
「言い訳をするな!」
⇨"No Buts and Ifs!!"

これはアメリカで言い訳をすると実際に返ってくるフレーズで、「"but"(でも)や "if"(もし) などの単語を言うな!」という表現ですが、はるかに具体的で分かりやすい言い方になっているのが分かるかと思います。

代名詞に置き換える。省略できるところはする。

"KISS" の2つ目のポイントは常に「簡潔に言う」こと。
ここでキーになるのが代名詞
「誰、どこ、どの」などの固有名詞を何度も繰り返すのではなく、相手が理解できる範囲で適切な代名詞に置き換える、そうすることで文や表現を短く、かつ理解しやすくすることができます。
またその延長として、英文の基本構造である「S-V-O」の「S」や「O」などを省略することも "KISS" の適応例となります。

【例】
A:"Please come and pick me up at five."
(5時に私を迎えにきてください。)
B:"I will go and pick you up at five then."
(5時にあなたを迎えにいきます。)
⇨"I will do it then." (ではそうします。)

上の例文だと、Aは「"come and pick me up at five" して欲しい」と言っているので、Bはわざわざ「"go and pick you up at five" するよ」と言わなくてもAは察してくれるはず。
したがって、代名詞 "it" を使って "I will do it then"で十分。さらに主語の "I" や目的語の "it" を省略して、"Will do" とだけ言うこともできます。

【例】
"I’m going to crash in now in my bed."
(もう私寝るね~!!)
⇨"I’m going to crash in now"

この場合も、"in my bed"(ベッドに)を省略してしまっても、「どこに?」と疑問を抱く人なんていないはずです。これも2つ目のポイントである「簡潔に」、そして「省略できるところはする」の応用例です。

難しい表現は避ける。


また "KISS" は、専門用語などの難しい語彙を避けることも重要視します。
「伝える」という言語の本来の目的のため、日常生活ではあまり使わないような難しい単語や表現を用いずに、誰もが知っているような簡単な日常単語を使うことを心がけましょう。

【例】
"Please keep your statement brief."
「発言を簡単で短くしてください」
"Please talk short, simple."

このように "statement" や "brief" のような日常会話であまり使わない単語を用いるのではなく、"talk" "short" "simple" といった簡単な単語だけを使うことで、一気にわかりやすく、そして伝わりやすくなります。
この見習うべき最も良い例は、テレビやニュースなどで見るアメリカ大統領や有名人による演説。なぜなら、それらは国民全員に理解してもらえるよう、簡単で分かりやすい英語だけが使われているからです。
ここでは、アメリカの歴史の中で最もすばらしい演説の一つと称されている Martin Luther King Jr.(キング牧師)の "I have a dream" の一部を例に挙げてみましょう。

これを難しい語彙や表現などを使って次のように言うこともできます。

どうでしょうか?
あくまで上記は一例であり、他にもさまざまな言い方で同様の意味を表現することができますが、少なくとも、演説中に使われているような一般的で日常的な言葉を使わなかったとすれば、キング牧師の演説がこれほど高く評価されることはなかったかもしれません。
実際の映像はこちらからご覧になれます。

相手を思いやる “THINK”


英語圏の国々の大半では、日常生活の中でさまざまな文化、人種、宗教、価値観を持った人々とともに生活することが求められます。
そういった環境の中では、"KISS" だけではなく、コミュニケーション力を高める別の基本もまた重要になってきます。
それが "THINK"

これは、「自分が何か発言するときに、内容をきちんと考えてから話すことを習慣付け、話し相手や周りを気遣う気持ちを持つこと」を意味します。
今から言おうとしている言葉は相手にどう思われるか、どんな気持ちにさせるのか、発言の内容は真実なのか、しっかりとした理由や目的はあるか、単なる自己満足になっていないかなど、こういった点を常に考慮した上で、言葉を口に出す訓練をするのです。
当然のことですが、そうした教育をうけた全員が "THINK" を完全にマスターできるわけではありません。しかしアメリカの小学校へ通っている人であれば、このコミュニケーションの基本を知らない人、習っていない人はほとんどいないでしょう。
それもそのはず、もし "THINK" ができていない場合、"Keep it to yourself!!"「自分の心の中に閉まっておいてよ!」「いちいち言葉に出さないで!」と言い返されるのが普通で、日常的に頻繁に使われる慣用句、定番表現の一つとなっています。
また "If you can’t say something nice, then don’t say anything at all!"「優しい言葉を言えないなら何も言わないで!」 も似た表現として使われます。
ネイティブは多かれ少なかれ、みなこのようにお叱りをうけて育っていくんですね。
みなさんも、海外の映画やドラマでこういったセリフを聞いたことがあるのではないでしょうか?

おわりに

「伝える」という言葉の本来の目的を大切にし、相手の気持ちや考えを理解し尊重しようと努力することで、世界中の人たちと温かく、そして楽しいコミュニケーションをとることができるのです。
英語学習のさいは、単なる表面的な知識だけではなく、その背後にある感覚や感性も同時に学んでいきたいところですね。
そのためには言語にプラスして、その言語を使う人々の歴史、社会、宗教や一般教養等も高めていくことが必要です。
みなさんも、ぜひ「コミュニケーションとしての英語」を意識しながら日々の英語学習に励んでいってください!