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仕事は二の次?帰宅ラッシュは夕方4時から!家族や自分の時間を大切にするニュージーランド人の生活

仕事は二の次?帰宅ラッシュは夕方4時から!家族や自分の時間を大切にするニュージーランド人の生活

僕は今から10年前、29才のときにそれまで5年働いていたコンピューターソフトウェアの会社を退職して、「海外で暮らす」という道を選びました。途中、日本で1年、カナダで1年生活した期間はありましたが、30代のほぼ大半を南半球のニュージーランドという国で暮らしたことになります。

なぜ日本を離れて海外、ニュージーランドで生活しようと思ったのか。

それは、日本人には考えられないニュージーランド人たちの生活スタイル、モノの考え方にものすごく惹かれるものがあったからです。今回は、そんなニュージーランド人の生活スタイル・モノの考え方、そして英語を学ぶことで見えてくることを紹介します。

 

仕事のために生活するのか、生活のために仕事をするのか

日本で仕事をしていた時、僕は「仕事のために生活をする」というライフスタイルを送っていました。制作の仕事をしていたので夜遅くまで働き、締め切りが近ければ土日も仕事、さらに徹夜もたまにある生活。もちろん休みの日はグッタリです。

そんな生活を29才まで続けました。そして、あるキッカケでニュージーランドに渡り、現地の人たちの生活があまりにも日本人とはかけ離れていることを知りました。彼らは「仕事のために生活をする」のではなく、「生活のために仕事をしている」のです。

この「生活のため」というのは家族のためだったり、自分自身の趣味のためだったり。語弊があるかもしれませんが、とにかく「仕事は二の次」「生活をいかに楽しむか」が主体のライフスタイルを送っています。

 

帰宅ラッシュは夕方4時過ぎから

日本だと「通勤ラッシュ」という言葉は聞いても、あまり「帰宅ラッシュ」という言葉は聞きませんね。たしかに、夕方5時過ぎから電車は混み始めますけど。

ニュージーランドでは、ほとんどの都市でバスか車で通勤します。そして朝の通勤ラッシュはもちろん、家に帰るときにも帰宅ラッシュが起こりますその時間はなんと夕方4時過ぎからです。始業が早い会社が多いのも理由の1つなのですが、それよりも「定時きっかりに帰る」人たちが本当に多いのです。

仕事の状況にもよりますが、基本的に「定時になったら帰る」のが当たり前というのはカフェも飲食店も同じで、4時閉店の5分前に行くと椅子はすでにテーブルに上げられていたり、閉店していることもあるほどです。

中にはレジを打っている店員さんが、自分の前にまだ列が出来ているのに「私、4時で仕事終わりだから他の列に並んで」と、後ろに並んでいるお客さんたちに平気で言ったりします。

ただ、それに対して文句をいう人はほとんどいません。それが当たり前の社会が成り立っているからです。会社で残業を強いられたら「もっと自分の時間を持てる会社が良い」と転職する人も少なくありません。

 

家族の時間を大切にするニュージーランド人

家族がいる方に質問です。

平日、家族揃ってご飯を食べられる日はどのくらいありますか?
平日、どのくらい子どもたちと過ごす時間がありますか?

ニュージーランドの多くの家庭では、夕方にはお父さんが帰宅して、一緒に晩御飯を食べます。そして、夏は日が長く、夜8~9時まで明るいので、食後には子どもたちと海へ行ったり、散歩をしたりする家族がいるほどです。仮に外へ出かけなくても、夜は自宅で家族との時間を過ごします

また、ニュージーランドでは、小学生の送り迎えを親がするケースが多いのですが、お母さんだけでなくお父さんが送り迎えをしている姿をよく見かけます。さらに、子どもが風邪を引いた場合にはお父さんが会社に遅刻したり、時には会社を休んで病院に連れて行ったりするほどです。

そのほか、夏休みや冬休みなどの子どもの学校が休みの時期、ニュージーランドでは"School Holiday"と言うのですが、両親ともに会社を休んで家族で旅行に行く人たちも多いです。

しかも、休みは有給です。ニュージーランドは法律で社員(1日6時間以上働く人)は年間で20日の有給休暇を取れる権利があります。よくある「有給はあるけど取れない」ではなく、社会の仕組みとして休みが取りやすいムードがキチンとできあがっているのです。お陰で僕たち夫婦は、現在のように自営で仕事を始める前の職場では、年に1回3週間のホリデーを取って有給で日本に帰っていました。

「そんなにみんな休んで会社は回るの?」と思いますよね。でも、最初からみんながそれだけ休むことを想定した人員が確保されていたり、大手を振って会社を休んでいいムードが根本からあれば、会社は意外と回っていくものなんですね。

 

夫婦で家事をするニュージーランド人

ニュージーランドには"Kiwi Husband"という言葉があります。

"Kiwi"は鳥のキウィ。そして"Husband"は旦那なので、「キウィの旦那」という意味です。ニュージーランドではこの"Kiwi Husband"を「家事をよく手伝うニュージーランド人の旦那」という意味で使います。でも、なんでそうなるのか、さっぱりわからないですよね。

簡単に説明すると、まず日本人を"Japanese"、アメリカ人を"American"と呼ぶのと同じで、ニュージーランド人にも"New Zealander"という英語があります。ところが彼らは自分たちのことを"New Zealander"とはあまり呼ばず"Kiwi"と呼んでいるのです。だから、"Kiwi Husband"には「ニュージーランド人の旦那」という意味があるわけです。

さらに、鳥のキウィはメスが卵を産んで、オスが温めて卵をかえします。つまり、キウィは夫婦で分業して子育てをしているようなものなんですね。そのため、「家事を手伝う」「ニュージーランド人の旦那」という2つの意味を込めて"Kiwi Husband"と呼ぶわけです。

だからこそ、上でも紹介したように、お父さんが子どもの送り迎えをしたり、子どもが風邪をひいた時には仕事を遅刻したり休んだりして病院に連れて行ったりもします。ほかにも、子どもが生まれるときの出産準備コースは夫婦で行くのが当たり前。また、お父さんの仕事が休みの日には、お父さんが子どもたちを近くの公園に連れ出して、その間にお母さんは1人の時間を楽しんだり、子どもがいると出来ない家事をこなしたりします。

お父さんは料理だって掃除だってします。特にバーベキューは男性の仕事と決まっていて、バーベキューパーティーの時、女性陣はただ見ているだけです。もちろん料理も掃除もしない、もしくはできないお父さんもいます。ただ日本で見かけるような亭主関白なお父さんはほとんど見たことがありません

 

英語を学ぶことで見えてくること

最初は言葉を覚えに行ったはずのニュージーランドで、結果的に学んだことの1つが「ニュージーランド人の家族を大切にする生き方」でした。そして「家族を持つ」ということについて、根本的な考え方が日本と違っていて、ものすごいカルチャーショックを受けたのを今でもハッキリ覚えています。

そして、そんな生活を送っている人たちが住んでいるニュージーランドという国が大好きになって2008年に移住することに決めました。おかげさまで今年の5月に第一子が生まれる予定なので、今後自分たち夫婦もニュージーランド人に見習っていこうと思っています。

英語という言葉を学ぶだけではなく、英語を通してアメリカやイギリス、ニュージーランドなど英語圏の国々はもちろん、外国の文化や生活を学ぶことが大切です。海外に住んでいなくても、日本においていろいろ知り得ることはたくさんありますよ。

ぜひ英語の勉強をするときは「英語を勉強する」のではなくて「英語で勉強する」ことを意識しながら、ただ単純に単語とか文法を頭に詰め込んで行くのではない、違った学び方をしてみてください。