年間犠牲者2千人以上が、いまや300人。街の治安を守るニューヨーク市警たち【New York 101 – Vol008】

101(ワン・オー・ワン)とはものごとの基礎、基本、または入門講座のこと。このコラムでは毎回、多彩で雑多でホットでクールでクレイジーで奥の深い魅力に溢れたニューヨークのベーシックを、英語のワンフレーズ紹介と共にお伝えしていきます。

今回は「ニューヨーク警察」について。

騎馬警官も!ニューヨーク市内は警官だらけ

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近年、劇的に治安がよくなったと言われるニューヨークですが、はっきり言って事実です。
殺人事件のピークは1990年、年間犠牲者数2,262人と最悪の記録を打ち立ててしまいました。毎日6人が市内どこかで殺害されていた計算になります。
これでは観光どころではありません。ところが以後は急激に減り始め、去年は約300人にまで減ったと発表されました。

この治安改善と維持に大いに貢献しているのがニューヨーク市警 aka NYPD(The New York City Police Department)です。

【English Tips】
aka:as known as〜の略で、「〜として知られる」「またの名を」の意味

現在、NYPDには34,500人もの警官がいます。拳銃を持たないボランティア警官、学校専門の警備要員も含めると、その数は約45,000人。日本と違って街角の交番はなく、市内98ヶ所の分署に所属しますが、警官は徒歩でパトロールするためニューヨーカーにとって、とても身近な存在です。

徒歩パトロール警官以外に騎馬警官もいて、時にはタイムズスクエアにも馬に乗った警官が現れます。そうなると観光客がカメラを片手に殺到しますが、警官も馬も慣れたもの。快く撮影に応じてくれます。騎手である警官の許可を得れば、馬を撫でることも可能です。

【English Tips】
街角で警官に道を尋ねたりする際の声の掛け方

Excuse me, officer.

※"officer"は"police officer"(警察官)の略。相手の階級も性別も関係なく使えます。テレビドラマや映画などで警官のことを"cop"と言うのをよく聞きますが、これは警官を意味するスラング。警官当人への呼び掛けには使えませんので、ご注意を。

日本とは違って、とってもカジュアル!

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警官はパトロール中の休憩時間に制服のままコーヒーやスナックを買うことが許されているため、ドーナツショップなどでよく遭遇します。そんな時に警官たちの様子を伺っていると、職務に全く関係のない世間話をしていたり、個人使用のスマートフォンを取り出してテキストやメールをチェックしたり、まったく普通の市民と化しています。緊急連絡が入ればもちろんコーヒーを放り出して現場に急行しますが、休憩時間にまで“市民の手本”として緊張した態度である必要はないのです。

ニューヨークの警官は外観もカジュアルです。まず目に付くのはタトゥ。夏の制服には半ズボンのオプションもあるため、腕だけでなく膝から下のタトゥが見える警官もいます。

実は以前、「タトゥは着衣で隠すように」という通達が出たのですが、ニューヨークの蒸し暑い夏に長袖・長ズボンはやはり無理だったのでしょう、うやむやになったようです。いずれにせよ半ズボンの警官はなかなかキュートというか、タトゥの有無にかかわらず、やや威厳に欠けて見えるというのが正直な感想です。

ピンクの手錠も?!強くて聡明な女性警官

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New York's Finest

NYPDには女性警官も少なくありません。髪はアップドゥやブレイズなども、うまくまとめて制帽を被っています。ごく稀にピンクの手錠を使っていたり、かなり小柄な警官もいますが、職務内容は男性の警官と同じです。当然、ポリス・アカデミーで射撃や格闘の訓練を受けていますから、外観で判断してはいけません。被疑者を追い掛け、腕をねじり上げて逮捕することもします。

中には警察分署の署長にまで昇進する女性警官も存在します。現場でみっちり鍛えられ、男性警官と犯罪者の両方を仕切るまでになった強く聡明な女性たちです。

そう言えば、1999年から続く長寿番組『Law & Order SVU』(LAW & ORDER:性犯罪特捜班)の主役も女性刑事のオリヴィア・ベンソンですね。NYPDを主役とするドラマは他にもたくさんあり、今なら『Blue Bloods』(ブルーブラッド~NYPD家族の絆)、かつては『NYPD Blue』(NYPDブルー)が高視聴率でした。どちらも警官を表す色のブルーがタイトルに取り込まれています。

テロ対策に軍用ライフルと警察犬「K-9」で厳重警備

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Times Square NYPD K-9 Patrol

都市全体では信じられないほど安全になったニューヨーク。犯罪発生率から割り出す“全米で最も危険な大都市ワースト10”リストにはもう入っていません。ただし同じ市内であっても地区によってはまだいろいろな事件が起こっています。一般に危険とされる地区だけでなく、セントラルパークなどもいったん日が暮れると要注意です。また、警察による主に黒人男性市民への暴力と、それに抗議するデモが続くなど、いつまでたっても一筋縄ではいかないのがニューヨークです。

また、グランド・セントラル・ターミナル、ペン・ステーションといった大型駅には大型の軍用ライフルを持った警官、警察犬を連れた通称「K-9」警官たちが警備に当たっているのも目を引きます。これは2001年の9.11テロ以後に始まったことです。当初、ニューヨーカーもその物々しさに驚き怯えましたが、今ではすっかり見慣れた光景となってしまいました。これもまたニューヨークのひとつの側面なのです。

とはいえ、ニューヨークはNYPDに守られ、以前とはまったく違った住みやすい都市になりました。警官たちもフレンドリーです。街で見掛けたらぜひ声を掛けてみてください。きっと笑顔で手を振り替えしてくれますよ。

NYPD cops are actually, pretty friendly!
(NYPDの警官は実のところ、とてもフレンドリーなのです。)