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ニューヨークでの生活に欠かせない「Deli」(デリ)とは?【New York 101 – Vol009】

ニューヨークでの生活に欠かせない「Deli」(デリ)とは?【New York 101 – Vol009】

101(ワン・オー・ワン)とはものごとの基礎、基本、または入門講座のこと。このコラムでは毎回、多彩で雑多でホットでクールでクレイジーで奥の深い魅力に溢れたニューヨークのベーシックを、英語のワンフレーズ紹介と共にお伝えしていきます。

今回はニューヨーカーの生活になくてはならない存在、"Deli"(デリ)について。

個人の好みを尊重するサンドイッチ

ランチはコールドカッツ・サンドイッチ

コールドカッツ・サンドイッチ

気持ちの良い初夏、ランチはコールドカッツ・サンドイッチをテイクアウトし、公園のベンチで食べるのも楽しいものです。

"Cold cuts"とは薄くスライスしたハム類のこと。アメリカはミート大国だけあって種類が豊富です。好みのハムとチーズを選び、これも好みのパンに挟んでもらうだけ。シンプルだけど美味しいランチです。

とは言え、どんな種類のハムやチーズがあるのか知らなければ注文に手間取るかもしれません。でも大丈夫。最も基本的なものの名前さえ覚えておけば意外と簡単です。

 

定番はターキー&チェダーチーズ

ハムとは本来、ポーク製だけを指します。アメリカではターキー、チキン、ビーフも同じようにローストして薄切りにしますが、ハムとは呼びません。また、"Smoked"、"Maple Grazed" など異なるフレイバーがありますが、最初はシンプルに"Turkey"で試してみましょう。

チーズも何種類もありますが、定番は"American"、 "Cheddar"、 "Swiss"など。

パンはいわゆる食パンなら"White" か "Rye"、丸いパンなら "Roll"。丸いパンは正確には"Kaiser roll"と言いますが、"roll"で通じます。

加えてレタス、トマト、マヨネーズ、塩コショーが要るか伝えます。込み入っているように思えますが、実は簡単です。

【English Tips】
Can I have a sandwich with turkey and cheddar cheese on a roll?
カイザーロールにターキーとチェダーチーズを挟んだサンドイッチを下さい。

"with lettuce, tomato, mayo and salt-n-pepper." (レタス、トマト、マヨネーズと塩コショウも一緒に)と言わなくても、店員さんが「トマトとレタスは?」「マヨネーズは?」「塩とコショーは?」と訊いてくれるので、ひとつひとつ"Yes."(or "Yes, please.") もしくは "No."(or "No, thank you.")で答えれば大丈夫。

オーダーするほうも作るほうも面倒に思えますが、個人の好みを徹底的に尊重するアメリカのお国柄が出ていますね。

NYスタイル・デリとは?

NYスタイル・デリとは

Deli

ニューヨーカーにとってなくてはならない存在

コールドカッツ・サンドイッチを作ってくれるのは、街中にたくさんある"Deli"(デリ)と呼ばれる店です。
比較的小さな食料品屋で、一角にコールドカッツやチーズを並べたガラスのカウンターがあり、サンドイッチを注文できますが、テイクアウト専門です。ただし、ミッドタウンなどにある大きな店だと中央にサラダ・バーとホットフードが並び、お客が好きなものを選べて重量制で料金を払うビュッフェを持つところもあり、テーブル席があります。また、住宅地では食品と共に日用雑貨を売る店もあります。

こうした店を総称して"Deli"と呼び、ニューヨーカーの生活になくてはならないものとなっています。そもそもはドイツ語の"Delicatessen"(デリカテッセン)を短くした言葉ですが、本来のヨーロッパのデリカテッセンとは異なる、ニューヨーク独自のスタイルとなったところから、時には"New York-style deli"とも呼ばれます。

 

セブンイレブン、NYに上陸

サンドイッチ、スナック、ジュース類、時には日用品も売るニューヨーク・スタイル・デリ。特に住宅地では1ブロックに1軒ある地域もあり、まさにコンビニの役割を果たしています。

というのも、実はニューヨーク市内にはこれまでコンビニがなかったのです。セブンイレブンはアメリカ発祥でありながら、ニューヨークは頑なにその出店を拒んできました。それがここ数年、急にあちこちにオープンし始め、「なんだか日本みたい」と不思議なコメントも出るほどです。それでもニューヨーカーは相変わらず、デリを愛用しています。

そういえば、全米最大のディスカウント量販チェーンのウォルマートもニューヨーク市内には一軒もありません。マクドナルド、ダンキンドーナツ、スターバックスは無数にありますが、総じてニューヨーカーは全米どこにでもあるチェーン店より個人経営のユニークなお店を好むようです。意外な一面ですね。

 

NY名物カッツ・デリカテッセンのパストラミ

パストラミ
Photo:Katz's Delicatessen

マンハッタンのロウワーイーストサイド(LES)にある"Katz's Delicatessen"はとても有名ですね。ここはニューヨーク・スタイル・デリとは異なり、1888年の創業以来、本来のジューイッシュ・デリの伝統を今に伝えるレストランです。

"Katz's"の名物メニューはパストラミをライ・ブレッドに挟んだ分厚いサンドイッチ。パストラミは牛肉を塩水に漬けた後、シーズニングしてから薫製にしたものです。コールドカッツとはいえ、温かくサーブされます。

Katz's Delicatessen
Photo:Katz's Pastrami on Rye

"Katz's"はほどよくスパイスの効いた自家製パストラミを機械ではなく今も手でスライスしており、それが独自の歯ごたえの秘密とか。とにかく一度食べれば病み付きになる味です。他所ではなかなかお目に掛かれない"Dr. Brown’s"の缶入りクリームソーダもぜひお試しあれ。缶にはニューヨーク産の証しとして自由の女神が描かれています。

Katz'sはLESがユダヤ系の街だった時代に創業しており、その時期、周囲にはたくさんのユダヤ系劇場があったことから俳優や舞台関係者が足繁く訪れる店となりました。独特の雰囲気があることから映画のロケに使われることも多く、店内の壁には昔から今に至る人気俳優や映画監督の写真がびっしり飾られています。

 

こんなふうにさまざまなタイプのデリがありますが、とにもかくにもデリでサンドイッチをオーダーするようになれば、Then, you're a real New Yorker!