堂本 かおる
(更新)
101(ワン・オー・ワン)とはものごとの基礎、基本、または入門講座のこと。このコラムでは毎回、多彩で雑多でホットでクールでクレイジーで奥の深い魅力に溢れたニューヨークのベーシックを、英語のワンフレーズ紹介と共にお伝えしていきます。
今回は映画について!
アメリカの映画ファンにとって5月はサマー・ムービー・シーズンの幕開けです。1ヶ月の間に約40本もの新作が次々と公開になるのです。
特に今年はマーヴェル社のアメコミを実写化した超大作『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』(原題:『Avengers: Age of Ultron』)の公開でシーズン開始となりました(*)。
2012年に全世界でなんと15億ドル(1,770億円)もの興行収入を上げた『アベンジャーズ』(原題:『Marvel's The Avengers』)の続編です。
*日本7月4日公開
公開初日、タイムズスクエアにあるシネコン"Regal E-Walk Stadium 13"では1日に43回もの上映を行いました。複数の上映室が朝から真夜中までフル稼働です。この作品の人気の凄まじさだけでなく、アメリカで映画がどれほど愛され、かつ重要な娯楽であるかを物語るエピソードですね。
ゾーイ:史上最悪の映画だったわね!
ジェイコブ:いいや、最高だったよ!君は女性映画しか好きじゃないんだよね?
ゾーイ:そんなことないわ!SFアクション映画も大好きよ。
ニューヨーク市内には約80の映画館があります。大型のシネコンからアート館、ビルの一室を使った特殊な上映館まで種類もさまざまです。
タイムズスクエア42丁目には上記の"Regal E-Walk Stadium 13"と、道を挟んで真向かいに建つ"AMC Empire 25"があります。それぞれの名称が物語るように13スクリーン、25スクリーンを持ち、ハリウッド映画の新作ならほぼ全てがどちらかで上映されます。
料金は映画館によって異なり、上記AMCなら大人$14.99、子どもとシニアは$11.99です。IMAXは$5ドル加算。嬉しいのは午前中なら年齢に関係なく一律$8.49のお得な料金になること。
ちなみに、これらの料金は税込み価格。ハンパな金額ですがクレジットカードで払う人が多く、面倒な小銭のお釣りは気になりません。
大人、子ども、シニアの年齢区分ですが、なんとも曖昧です。館内には"Adult/Child/Senior"としか書かれておらず、子どもやシニアが何歳を指すのか、どこにも表示はありません。あっても全く目立たない場所に小さく書かれており、アメリカ人でさえ多くの人は正確な区分を知りません。
規約上は子どもは2~12歳、シニアは60歳以上です。つまり日本と違って中高大生は大人料金。学割はありません。
ちなみにニューヨークでは中学入学時点で過半数の子どもが11歳。大人料金を払う13歳になるのは3年生です。……が、子どもが窓口で身分証明書を見せることはなく(そもそも持っていません)、13歳の誕生日を迎えた中学生が、その日を境に大人料金を払っているとは思えません。この辺り、まさにアメリカ的ユルさです。
一般的な作品は以下5つのカテゴリーにレイティングされます。
要するに"NC-17"以外は保護者さえ同意または同伴すれば子どもも観られるのです。いかにもアメリカ流に各家庭の教育的判断を尊重しているように見えますが、実のところ、過激な暴力描写や性描写によって公開前の査定時に"NC-17"に指定された作品の多くが編集によって公開時にはなんとか"R"に変更されているのです。
際どい作品を子どもにも観せて興行収入を上げるためなのか、と勘ぐらざるを得ませんね。
それはさておき、5月以降も期待の新作が続々と公開され、映画大国アメリカのサマーシーズンはますますホットになっていきます。
Moviegoers can't wait for the summer!
(映画ファンは夏が待ちきれません!)