映画でよく見るプロムとは?英語を通して知るプロム事情
アメリカの映画を観たことがあれば、おそらく一度は目にしたことがあるであろう「プロム」というイベント。2020年には「ザ・プロム」という映画が公開されたくらい、アメリカでは一大イベントです!
好きな人をプロムに誘う段階から、プロム中のダンスシーン、プロム後のパーティーなど、このイベントには一連のマニュアルがあるのではないかと思ってしまうほど、どのプロムシーンにも似ている要素がありますよね。
筆者は高校時代をアメリカで過ごしましたが、諸事情がありプロムには参加しませんでした。
実体験を語ることはできませんが、今回は、プロムの基本情報から知っておきたいプロム関連の英語表現、伝統と習慣などをご紹介します!
プロムってなに?
プロムとは、promenade dance(プロムナード・ダンス)を省略した言葉で、一般的には卒業間際の高校生が正装をして参加するダンスパーティーのことです。
州や地域によって異なりますが、junior prom(ジュニアプロム)と senior prom(シニアプロム)があります。アメリカのほとんどの高校は4年制なので、ジュニアとは高校3年生、シニアとは高校4年生のことを指します。
ちなみに、アメリカでは基本的に小学校1年生から高校4年生までを「1〜12」で数えるので、ジュニアは 11th grade(11年生)、シニアは 12th grade(12年生)に該当します。
実は、プロムはアメリカで使う名称で、イギリスやニュージーランド、オーストラリアなどの英語圏では school formal (dance) や ball と呼ぶことが一般的です。
プロムの概要がわかったところで、ここからは流れや習慣などを掘り下げてみましょう!
プロムの流れ
デート相手を見つける
まずここで知っておきたい単語は、結婚の proposal(プロポーザル)と prom(プロム)を掛け合わせた promposal(プロムポーザル)です。
これは、「結婚する相手」ではなく「プロムへのデートの相手」を見つける重大な手段です。結婚のプロポーズと同じくらいサプライズをしたり、相手が喜んでくれそうな大胆な誘い方を試みる人が多いですよ。
誘い文句としては以下が定番なので、映画などでも聞いたことがあるのではないでしょうか?
そしてもちろん、1人で行くことも可能です。なお、恋人ではなく友達と「カップル」になって参加する人もたくさんいますよ。
プロム前の写真撮影
誰とプロムに行くのかが決まったら、次のステップはもうプロム当日です。
せっかくみんな正装しているのだから、「記念写真を撮ろう!」ということで、友達と集まって集合写真を撮ります。
ここでは背景が重要になってくるので、定番写真スポットで集まることが多いです。例えば、広めの公園や庭園、海の近くであればビーチ、噴水の前、もしくは豪華な建物の前など。
あるいは、広めの庭やバックヤード(裏庭)がある家に住んでいる友人がいるとしたら、その人の家に集まることもしばしば見られます。
写真撮影は親や兄弟、親戚などが撮ることが多いですが、プロのカメラマンを雇う人もなかにはいます。
ディナーデート
写真撮影が終われば、次は dinner date(ディナーデート)です!
しかし学校によっては、プロムで食事が出ることもあるので、そういう場合は外食はしません。
外食をする場合、場所は特に決まっておらず、どこで食べるかは個人によります。カップルではなく友達同士でご飯を食べに行くこともありますよ。
食事する場所は、高級レストランやファストフード店、ダイナーなどが人気です。
ちなみに、「ダイナー」とは、軽食できるレストランのことを指します。Dinner(ディナー、夕食) と diner(ダイナー、軽食屋)は似ていますが、スペルや意味が違うのでご注意ください。
プロム本番
食事が終わったら、プロムが行われるダンス会場へ直行します。
ダンス自体は、19時くらいから開催されることが多いです。また、プロムが行われる施設はさまざまで、学校の体育館や宴会場などがあります。
ダンスでは、その年に人気や話題の曲から何十年も前にヒットしていた定番の曲などが流れるので、それに合わせて踊ります。盛り上がるものから、slow dance(スローダンス)のためのバラードなど、主にDJが流す曲とタイミングを選びます。
学校や施設によってはセミプロやアマチュアのバンドが生演奏をすることもありますよ!
ちなみに、かの有名な映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でもプロムシーンがあるので、どのような様子か想像しやすくなるかと思います。ぜひご覧ください!
また、プロムの「テーマ」というものも毎年決まっていることが多く、そのテーマによって、会場の内装や飾り付けの色などが定められます。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でのプロムのテーマは The Enchantment Under the Sea(海底の魅惑)ですね。
アフターパーティー
プロム本番が終わったら、そのまま帰る人もいれば、「二次会」のような感じで別のところへ移動してパーティーを続ける人もいます。
場合によっては、学校側がイベントを提供することもありますが、一般的には誰かの家でホームパーティーをすることが多いです。
しかし祝い方は人それぞれで、友達のグループによって行動が異なるので、プロムのあとは必ず「これ」と言い切れるほどのイベントはありません。
プロム関連の英語表現
chaperone(s)|シャペロン
アメリカの学校で開催されるイベントのほとんどには、chaperone(シャペロン)という人がいます。
これは、「付き添い人」を表す言葉で、主に生徒の親や保護者などが務めます。日本ではあまり親しみのない付き添い人ですが、海外では field trip/class trip(遠足や修学旅行のような日帰り旅行)などでもシャペロンはよく見られます。
シャペロンの役目は、生徒たちを監視し、いけないことをしていないか、問題が発生していないかなどを確認することです。
corsage|コサージュ
映画などで、(主に)女性が手首にお花の飾りをつけているのを見たことはありませんか?
プロムに参加する際は、相手のために corsage(コサージュ)を用意するという習慣があるのです。これは、コサージュをつける人を象徴し、敬意を表すという意味から、配慮と寛大さを意味します。
つまり、プロムでは、カップルはお互いにお揃いの花飾りを贈り合うのです。
そして、一般的にはドレスの色とマッチした色の花を選びます。コサージュにはさまざまな種類がありますが、プロムでは手首につけるタイプと、タキシードの胸ポケットに刺すタイプの2つが多く見られます。
chauffeur|ショウファー
Chauffeur service (ショウファー・サービス)とは、リムジンサービスのことです。
Chauffeur は「運転手」を意味します。写真撮影をしていた場所から学校や施設まで、またはプロムからアフターパーティーまでを、リムジンを利用して移動する人もいます。
プロムに限らず、リムジンの運転手は一般的に chauffeur と呼ぶので、プロム以外の場面でも聞くことがあるでしょう。
prom king/queen|プロムキング・クイーン
プロムキングとプロムクイーン。こんな言葉を聞いたことはありませんか?
プロムでは、「prom king(王様)」と「prom queen(女王様)」が発表されます。これは、プロムに先立って全校生徒の投票が行われて、選ばれた生徒に与えられる名誉ある称号です。
プロムクイーンとプロムキングに選ばれた人には、基本的には王冠やサッシュ(*)が与えられます。
*サッシュとは、肩から反対側の腰に向けて斜めにかけるリボンや帯の一種です。
しかし最近では、男性1人と女性1人が王冠を勝ち取ることを、少し古臭い考えとして捉える人も増えてきています。セクシュアル・マイノリティやジェンダー平等への理解を示すために、gender neutral(ジェンダー・ニュートラル)な称号を提供する学校も増えてきているそうですよ。
例えば、キングとクイーンではなく、prom sovereign(プロム・ソブレン)と呼ばれるタイトルを発表した学校があります。Sovereign とは、性別を特定しない呼び方であって、単に「支配者」や「元首」を表す言葉です。
なお、sovereign の他にも、prom royalty(プロム・ロイヤリティ)という総称を使う学校もあります。Royalty とは、「王族」や「貴族」を意味する言葉です。
現代では、男性1人と女性1人ではなく、同性カップルが選ばれたり、トランスジェンダーの生徒が選ばれたり、多様性が感じられる変化も増えつつあります。
curfew|カーフュー
最後にご紹介する言葉は curfew(カーフュー)。Curfew は「門限」を表す英単語です。
友達の家で sleepover(お泊まり会)をする場合でない限り、一般的には親は子供に対して門限を設定します。
プロムはティーネイジャーにとっての重大イベント!
いかがでしたか?
プロムについて、少しでもわかっていただけましたか?
日本にはない文化なので不思議に思う習慣が多いかと思いますが、海外での伝統や知識などを知っておくと、会話の幅も広がるでしょう!
今度アメリカで高校時代を過ごしたという人と話すことがあれば、プロムの思い出などを聞いてみてはどうですか?