Mei
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タータンチェックのキルトを履いて、バグパイプを持った楽器隊。みなさん一度はどこかで見たことがあるのではないでしょうか。
これはイギリスの一部であるスコットランドでよく見られる光景です。
今回の記事では、スコットランドの国民的行事についてご紹介します。
スコットランドの年間行事は大きいものから小さいものまで、ざっと数えて200以上もあるそうですよ!
しかし、200個すべてを紹介するとキリがないので、今回はぜひ知っていただきたい行事を6つ厳選しました。ぜひご一読ください!
イベントを紹介する前に、スコットランドがどこに所在していて、どんな国なのかを簡単にご紹介します!
まず、スコットランドはイギリスの中のひとつの国です。
そもそもイギリスは、イングランド、ウェールズ、北アイルランド、そしてスコットランドの4つの国で成り立っている連合王国なのです。
公用語は英語をはじめ、スコットランド・ゲール語というケルト系言語が使われています。
人口は約551万人で、面積は78,789 km²で、北海道と同じくらいです。
そして、英語でスコットランド人のことは、 Scottish people または Scots と呼びます。
では、そんなスコットランドの国民的行事はどのようなものがあるのでしょうか。早速見ていきましょう!
まず最初にご紹介するのは、毎年1月25日、もしくはその前後に行われる Burns Night(バーンズ・ナイト)というイベント。
これは祝日ではないですが、スコットランド出身の詩人であるロバート・バーンズの生誕をお祝いする日です。
Night(夜)だけに、この日は家族や友人同士でディナーを楽しむのが一般的。これを Burns Supper(バーンズ・サパー)といい、ハギス(*1)という料理が出されます。
*1… スパイスやオートミール、羊肉などを羊の腸につめて蒸した料理
ハギスは、バーンズの執筆した詩「ハギスに捧げる詩」を朗読してから、ナイフで切ります。
Edinburgh Festival Fringe(エディンバラ・フェスティバル・フリンジ)は世界最大の芸術祭です。
「フリンジ」という名称で親しまれているこの祭りは、毎年8月に行われていて、25日間も続く大イベントだそうですよ!
スコットランドの首都エディンバラで行われ、市内のあらゆるところで催し物が見られます。
歌だけでなく、ライブミュージックや演劇、サーカスやキャバレーなどを堪能することもできます。
街中が賑わい、それぞれの分野での個性が輝く大イベントと言えるでしょう。
Braemar Gathering (ブレーマー・ギャザリング)は、毎年9月の第一土曜日に、スコットランドのブレーマーという街で行われる伝統的な競技会です。
力比べやスコティッシュ(ハイランド)ダンス(*2)、バグパイプの達人たちが演奏を競い合うなど、さまざまな分野で互いに張り合います。
*2… グループやペアを組んで、振付けに従って決められたステップを踊り続けるダンス
力比べでは、最大25kgものおもりを片手で投げる砲丸投げをしたり、綱引きやかけっこをします。
こちらは砲丸投げの様子です:
そしてこちらがハイランドダンスを踊っている様子です:
こちらのイベントはイングランド発祥ですが、のちにスコットランドに入ってきたものです。
1500年代、英国では宗教政策によりカトリックの人々の迫害が行われていました。
この迫害をやめさせるために複数人が計画を企て、政府に反逆しようとしたのが1605年のこと。
計画を立てていたメンバーのGuy Fawkesは、11月5日にHouse of Lords(英国会議事堂)を爆破しようと企みましたが、国会議事堂の周りに火薬を敷いているところを発見され、逮捕されたのです。
こうして作戦が失敗に終わり、英国会議事堂の平和が守られました。
その後、英国会議事堂が爆破されないように注意しようという願いと、Guy Fawkes の逮捕をお祝いするために催されたのが、この Guy Fawkes(ガイ フォークス)/ Bonfire Night(ボンファイヤー ナイト)です。
また、火薬で爆破されそうになった夜を忘れないように、以下のような詩も作られました。
Remember, remember, the 5th of November,
Gunpowder, treason and plot.
I see no reason
Why gunpowder treason
Should ever be forgot.
この詩は、以下の動画のように、メロディーをつけて歌にすることもあります。
このような背景のボンファイヤーナイトですが、現在では花火を楽しむイベントとなりました。
地域によっては、観覧するにはチケットが必要な場所もあるので、参加する前にチェックしてみてくださいね。
St. Andrew's Day(セント・アンドリュース・デー)は毎年11月30日に行われる祭典です。
ほかにもアイルランドの St. Patrick's Day(セント・パトリックス・デー) のように、頭に St.(セント)がつく祭典はいくつかあるのですが、これは Saint(聖人)という単語の略。
そして、この St. Andrew’s Day は、まさしく「聖アンドリューの日」なのです。
聖アンドリュー(日本では聖アンデレー)は、イエス・キリストの12人の弟子のうちの一人でした。「スコットランドの守護聖人」と呼ばれるほど、彼の慈悲深い人柄はスコットランドの人々の心を掴んだそうですよ。
St. Andrew’s Day が祭典として定着したのは、スコットランドの独立が宣言された1320年とのこと。
この日は、パブなどでスコットランドの伝統的な食事が出され、お酒などを楽しみながら、スコットランドの音楽や踊りなどを披露して祝います。
どの国でも大晦日はさまざまな方法で楽しまれています。日本では大掃除をしたり、年越し蕎麦を食べたりしますよね。
Hogmanay(ホグマニー)は、夜通しで大晦日から元旦にかけて行われるスコットランドの祭りで、「世界最大の年越し祭り」とも言われています。
スコットランドの首都エディンバラではストリートパーティーやバグパイプバンドの行進、コンサートなどが行われ、さらには松明に火をつけて行進する大勢の人々の光景も見られるそうです。
そして、年を越して元旦の日になると、スコットランドの人はステーキパイを食べてお祝いするのです。
「世界最大の年越し祭り」だけに大勢の人が訪れ、毎年大混雑になってしまうので、少しでも混雑を解消するために、首都エディンバラでは、イベント参加にはチケットが必要なほど。
しかし、チケットはすぐに売り切れてしまうのだとか。
ご紹介したように、スコットランドには世界で話題になるほどの行事がたくさんあります。
日本にいるからといって、スコットランドまで行くのが遠いと考えてしまうかもしれませんが、実は日本でもスコットランドの行事を楽しめる場所があるのです!
スコットランド自治政府は、2018年に神奈川県横浜市と交流協力共同声明を行い、以降、日本国内でもスコットランドのイベントを楽しめるようなイベントを行ってきました。
また、その他日本各地の英国風パブでも「バーンズ・ナイト」などを体験できるイベントを開催していることもあるので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。