Kurumi
(更新)
DMM英会話をご利用中の方であれば、セルビア人講師とフィリピン人講師のレッスンを一度は受けたことがあるはず。中には、お気に入りの講師のほとんどはセルビア人かフィリピン人だ、という方も少なくないでしょう。
ここで質問です!
「なぜ彼らはこんなに英語が流暢なんだろう?」
「発音がキレイなんだろう?」
と、疑問に思ったことはありませんか?
事実、100カ国を対象としたある調査では、セルビア、フィリピン人の英語運用能力はそれぞれ世界15位と27位にランクインしています。
本記事では、彼らが高い英語力を持っている理由を3つの側面からご紹介。私たち日本人の英語学習の参考になる点を探りたいと思います!
英語が彼らの身の回りに自然とあり、「生活の一部」となっているのが1つ目の理由です。
フィリピンの公用語はフィリピン語と英語。
そのため英語は、教育や宗教行事、印刷出版・メディア、加えてビジネスシーンなど、さまざまな場面で使われており、約1億人いる人口の9割以上の人たちが英語を第2言語として話します。
彼らにとって英語は、「外国語」というよりも、「第2言語」という感覚だそうです。
例えば、レストランのメニューや街中の看板、お菓子の袋の表記なども全て英語。街を歩けば、英語をいたる所で目にします。
一方、セルビアでも英語が生活の一部になっています。
特にテレビ番組は、英語の番組が非常に多く、日常的に英語に触れて生活しているのです。
こちらのYouTube動画では、「セルビアのテレビでいかに英語チャンネルが多いのか」を紹介しています。
You will find many, many English language channels on Serbian tv. They put subtitles under most of the shows which help Serbians learn English.
「セルビアのテレビでは英語のチャンネルがとても多いです。ほとんどの番組には字幕がついているので、英語を学ぶのに役立ちます」
ー概要欄より
幼少期から映画やテレビ番組を通じて、自然な英語に囲まれて育っているということですね。
また映画やテレビだけでなく、英語のポップカルチャーも両国で大人気。特に過去20年間はインターネットの普及に伴い、音楽や動画などの英語コンテンツに触れる機会がさらに増えています。
このように、フィリピン人とセルビア人にとって英語は身近な存在なので、外国語であるという感覚があまりないのです。
両国において、英語の流暢さは「より良い生活」を意味します。
フィリピンでは特にコールセンターの業界が成長中で、多くの方がコールセンターで英語を使って働いています。
こちらの記事いわく、医者よりも稼ぐコールセンターワーカーもいるそうです。
ほとんどのコールセンターはアメリカ企業の下請けのため、お客さんは主にアメリカ人。したがって、ネイティブスピーカーと問題なく電話越しに会話できる英語力が求められます。
また、多くのフィリピンの大学では、将来的に学生が国際的に働くことを視野に入れて教育をしています。この記事によると、フィリピンの看護学校を卒業して、アメリカなどの英語圏の病院に就職する看護学生も多いそう。海外のより豊かな国で働くことで、収入を増やすことが可能になるのです。
世界銀行がまとめた「セルビアのGDPにおける輸出の割合」を表したグラフを見てみましょう。
出典:The World Bank2019年は51.05%となっており、国の収入の約半分が輸出によって得られていることが見て取れます。
ここからわかるのは、ビジネスをする上で海外とのコミュニケーションが必要、すなわち英語がとても重要であるということ。
したがってセルビアでも、ビジネスレベルでの英語運用能力が不可欠で、英語力の有無が収入に直結します。
日本を含めて、世界中の国々で英語が教えられていますが、セルビアとフィリピンではどうなのでしょうか?
日本の英語教育と何が違うのでしょうか?
実情を調べるために、複数のフィリピン人・セルビア人講師にヒアリングしてみました。
実際に、セルビアの中等教育のカリキュラム(Gymnasium Curriculum)を見てみると、コースにもよりますが、英語の単位が他教科と比べて多いことがわかります。
出典:Wikipedia例えば、4年間の単位数の合計が数学11、体育8、歴史10なのに対し、英語の単位は14となっており、英語教育に重きを置いていることが伺えます。
日本の小学校では、2019年度まで5・6年生を対象に「外国語活動(英語)」が行われてきました。2020年度からは小学3年生に前倒しされて英語の授業が始まっていますが、それでもなお、フィリピンやセルビアに比べて英語学習開始時期が遅いというのが現状です。
また、筆者は高校の英語教諭だったこともあり強い実感があるのですが、日本の英語教育は「読み」の能力を試験で測ることが中心となっており、「コミュニケーション力」をどう伸ばしていくかという課題があります。
セルビアのように、コミュニケーションを中心とした英語教育が、今の日本には求められています。
以上、セルビア人とフィリピン人の英語力が高い理由について、3つの観点から紹介してきましたが、私たち日本人英語学習者が見習うべき点が見えてきたのではないでしょうか?
日本でも、英語が使えるとキャリアアップに繫がったり、できる仕事の幅が広がり収入の増加が期待できることは、両国の状況と同じ。
課題は、日常生活の中でいかに英語への接点を増やすか、です。
例えば、「Netflix」などの動画配信サービスで海外ドラマや洋画を毎日見たり、通勤・通学中に英語の「Podcast」を聞いたり、SNSで海外のアカウントをフォローしたり、低コストで今すぐできることはたくさんあります。
また、フィリピンの学校のように、英語“で”何かを学ぶのもオススメです。
加えて、オンラインレッスンなどで「話す」練習をするのも忘れずにしましょう!
母国語ではない言語を学び習得していくことは、誰にとっても大変で時間がかかるものです。
ただ、環境次第で習得にかかる時間は縮めることができます。積極的に英語環境を整えて、英語を身近なものにしていきましょう!