Erik
(更新)
「大谷翔平のホームランを見ることが毎日のルーティンだ」
「彼のおかげで10年ぶりに野球に興味を持った」
「漫画だったら非現実的過ぎて批判が来るレベル」
米メジャーリーグ(MLB)の公式YouTubeに大谷翔平選手の動画がアップされると、たちまちこのようなコメントがずらりと並びます。
ベーブ・ルース以来の逸材と言われ、いまや野球界の顔とも言うべき存在となった大谷翔平選手。
その活躍はもちろん日本にも届き、毎日のように放たれるホームラン「大谷○○号」を楽しみに待っている方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな破竹の勢いを見せる大谷翔平選手に対する海外の反応に加えて、非英語スピーカーとしてアメリカで活動することの難しさについても触れていこうと思います。
人種差別が根強く残るアメリカで、大谷翔平選手はどのようにして新風を巻き起こしてきたのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
TOP PHOTO:Shutterstock
先ほど述べたように、今の大谷翔平選手はまさに「野球界の顔」。世界中で彼を賞賛する声が鳴り止まない状態となっています。
グッズは飛ぶように売れ、オールスターゲームのファン投票では圧倒的1位を獲得。メディアは連日特集を組み、今シーズンのMVP最有力候補とも言われています。
これほどまでの人気ですから、大谷選手のスゴさは百も承知という方も多いかもしれませんが、ここでは簡単におさらいしておきましょう。
ホームラン数トップ、投手としても活躍、足も速い。まさに「前人未到」。大谷選手の偉業を並べ始めたらキリがありません。
また、野球の実力だけでもすば抜けているのに、彼の「人間性」も賞賛する声が続出しています。
ホームランダービーで得た賞金を球団スタッフに渡したり、投打共に出場したオールスターゲーム後に丁寧にファン対応をしたり。
その神対応ぶりも、人々が大谷選手を応援したくなる理由の1つなのかもしれません。
大谷選手の飛び抜けた活躍には日本のみならず、世界中が注目しています。
ここではその熱狂ぶりを象徴するようなツイートをいくつかご紹介します。
Shohei Ohtani is one of one. #MakeItMajor pic.twitter.com/h2Jl22tp38
— MLB (@MLB) July 10, 2021
大谷翔平は唯一無二だ。
—メジャーリーグ(MLB)
Major League Baseball is auctioning off jerseys from the All-Star Game for charity.
Current Bid
Fernando Tatis Jr.: $2,500
Vlad Guerrero Jr.: $2,000
Justin Turner: $990
Juan Soto: $910
Aaron Judge: $860As for Shohei Ohtani, his jersey is at $111k — 45x the next closest player. pic.twitter.com/4d4gJwtOJa
— Joe Pompliano (@JoePompliano) July 15, 2021
MLBはオールスターゲームのユニフォームをチャリティー目的でオークションに出品している。
現時点での入札額
フェルナンド・タティス・ジュニア:2,500ドル(約27万円)
ブラディミール・ゲレーロ・ラモス・ジュニア:2,000ドル(約22万円)
ジャスティン・ターナー:990ドル(約11万円)
フアン・ソト:910ドル(約10万円)
アーロン・ジャッジ:860ドル(約9.5万円)
大谷翔平に関しては、111,000ドル(約1,220万円)となっている。2番目に高い選手の45倍だ。
—ジョー・ポンプリアノ(スポーツ記者)
There were 81 players that made the All-Star Game.
One player accounted for 28% of All-Star merchandise sales.
Shohei Ohtani.— Bill Shaikin (@BillShaikin) July 16, 2021
オールスターゲームに選出されたのは81選手。だが、オールスターゲームの全グッズ売り上げの28%を1人で担った男がいる。大谷翔平だ。
—ビル・シャイキン(ロサンゼルス・タイムズ記者)
Just so we're clear, Shohei Ohtani in the last 24 hours:
• hit 28 HR in the HR Derby
• hit a 513-foot HR
• batted leadoff in the AS Game
• started the AS game on the mound
• threw 100.2-mph fastball
• 1 IP, 0 runs, 0 hits
• earned the win as the pitcher for the AL pic.twitter.com/IMXqlgw3Ej— CBS Sports (@CBSSports) July 14, 2021
ここ24時間の大谷翔平:
・ホームランダービーで28本
・513フィート(約156.4メートル)のホームラン
・オールスターゲームの先頭打者
・オールスターゲームの先発投手
・100.2マイル(約163.3キロ)の投球
・投球回数1、失点0、被安打0
・アメリカンリーグの勝利投手
—CBSスポーツ
Don’t sleep on what we just witnessed. An MLB player competing in the HR Derby, leading off the All-Star Game, and pitching a clean first inning for his team. Shohei Ohtani. Historic.
— Ben Verlander (@BenVerlander) July 14, 2021
私たちはとんでもないことを目の当たりにしている。ホームランダービーに出場し、オールスターゲームでは先頭打者、さらには先発投手として三者凡退の好投をした選手。大谷翔平。歴史的な瞬間だ。
—ベン・バーランダー(MLBアナリスト)
さて、圧巻のパフォーマンスで世界中を魅了し続ける大谷翔平選手ですが、非英語スピーカーがアメリカで成功することは決して簡単なことではありません。
アメリカに根強く残る人種差別に加え、近年のパンデミック関連でアジア系の人々に対するヘイトクライムが増加している事実は、度々ニュースでも取り上げられています。
海外で活躍するスポーツ選手も例外ではなく、メジャーリーグを代表するスーパースターとなった大谷翔平選手に対してさえ、心無い言動が向けられることがあります。
先日、スポーツ専門チャンネルESPNのコメンテーターを務めるスティーブン・A・スミスが、「アメリカの野球の顔としてふさわしくない」と発言したことが大きな話題となっています。
その理由は、なんと「通訳を必要としているから」。
Stephen A. Smith on Shohei Ohtani: "I don't think it helps that the number one face is a dude that needs an interpreter so you can understand what the hell he's saying in this country."
WTF pic.twitter.com/dTzvZuMM6U
— Arash Markazi (@ArashMarkazi) July 12, 2021
スティーブン・A・スミスは大谷翔平選手について次のように述べた:
「この国で、何を話しているのか理解するために通訳が必要な人物が、野球の顔であることは(野球界にとって)助けにならないと思う」
この発言はネットでたちまち大炎上し、スティーブン・A・スミスはすぐに謝罪する事態となりました。
同僚の失言を受け、ESPNのジェフ・パッサン記者は翌日の同番組で、大谷選手について次のように述べています。
大谷翔平は23歳のときにこの国へ来た。家族や文化を日本に残しての渡米だ。【…】ここで成功したくて【…】その成功を手に入れたんだ。公の場で英語を話さずとも、チームメイトとは英語でコミュニケーションも取りながらだ。【…】大谷翔平の物語は、私たち全員が語り継ぐべきストーリーだ。
大谷翔平選手はその人間的な本質や野球の実績で、世界中の人々を魅了していると説明。英語を話す話さないに関係なく、彼の快進撃は偉業以外の何物でもないと、強く賞賛しました。
公の場で英語を話さないからという理由で彼を受け入れない人がいるなら、大谷翔平ではなく、そちら側が問題だ。【…】私には13歳の息子がいるが、彼のお気に入りの選手はフェルナンド・タティス・ジュニアと大谷翔平。タティスは英語を話すが、ドミニカ共和国出身だ。大谷は公の場で英語は話さないが、話せないわけではない。でも私の息子にとっては、そんなことはどうでもいい。【…】大谷翔平が毎日のように450フィートのホームランを打っているという事実が大事なんだ。【…】選手の発言が気になるからスポーツを見るわけじゃない。どんなプレーを魅せてくれるのか気になるから観戦するんだ。
自身の息子が大谷選手のファンであることについても触れ、心を引きつけるのは彼の野球選手としての本質だと強調したのです。
今後、今回のようにまたメディアで心無い言葉を投げかけられることがあっても、応援するたくさんの人々が反発することでしょう。
今回のような事件や逆境を物ともせず、世界中の人々を虜にしている大谷翔平選手。
母国とは異なる環境の中で、たくさんの障壁を乗り越え本質で勝負しているからこそ、人々は魅了されるのでしょう。
もちろん、大谷選手以外にも、さまざまな逆境を乗り越えて世界で活躍する日本人選手はたくさんいます。
テニスの錦織圭選手のように幼い頃から渡米し英語を身につけた人もいれば、川﨑宗則選手のようにシンプルな英語フレーズとその人柄で場を盛り上げる人もいます。
トップアスリートの英語の活用の仕方にも注目してみると、彼らのたゆまぬ努力をより感じることができるかもしれませんね。