masa osada
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普段の生活の中で自分が北半球で生活しているのか、それとも南半球で生活しているのかを意識することはなかなかないのではないかと思います。ところが僕は南半球のニュージーランドに住みはじめて、日常的に自分が今、北半球と南半球のどちらにいるのかを意識しなければいけなくなったのです。
今回は、そんな南半球に住んでみてわかった6つのことを紹介します。
以前、テレビ番組で「南半球では台風や渦潮、さらにはトイレや水道の水が流れるところの渦も逆回り」と紹介されたことがあるそうです。実際、「ニュージーランドへ行く」と友だちに話したときも「本当に反対回りなのか確かめてきてね」と言われました。
その時は、そもそも北半球がどっち回りかすら知らなかったのですが、こちらが北半球と南半球の台風や渦潮の巻きかたです。
なぜ、北半球と南半球で渦の巻きかたが違うのか。
それは地球の自転が生む「コリオリの力」が作用しているからといわれていますが、しっかり説明するとすごく難しく長い話になるので、ここでは「北半球は左周り、南半球は右周り」とだけ覚えておいてください。
ちなみに、トイレや水道の渦は「コリオリの力」よりも、トイレの形状や配水管の状態などの力のほうが大きく影響するので、その時々で右回り左回りは違ってきます。
お正月といえば冬真っ盛り。キリッと冷えた外と、暖かくした室内で年越し蕎麦を食べつつ熱燗を飲みながら、除夜の鐘を聞いたりしますよね。ところがニュージーランドでは、半そで短パンでビールを片手に年越しカウントダウンの打ち上げ花火を見ながら年を越します。
それもそのはず、南半球と北半球の日本では季節が反対だからです。ニュージーランドも日本と同じように四季はありますが、だいたい9月から11月が春、12月から2月が夏、3月から5月が秋、6月から8月が冬になります。
今年の夏、日本は全国的に猛暑で35度やら40度やらを記録しているところがたくさんあるそうですね。一方で、ニュージーランドは真冬です。マイナス20度を観測したところもありました。
この「季節が反対」である点を利用して、スキーの日本代表選手は12月から2月は日本でスキー、7月から9月はニュージーランドでスキーの練習をしたり、テレビや雑誌の製作会社が8月9月に真冬のニュージーランドを訪れて、雪の撮影を行ったりするそうです。
それ以外にも「ニュージーランド産かぼちゃ」や「ニュージーランド産りんご」をスーパーマーケットで見かけたことはありませんか。作物の収穫時期も北半球とは反対になるため、ニュージーランドをはじめオーストラリアなど多くの国が野菜や果物を北半球に向けてたくさん出荷しています。
もし真冬の天気予報で「明日は強い北風が吹きます」と言われたら、ものすごく寒くなることを想定して防寒対策バッチリで出かけたくなりますよね。ところがニュージーランドでは「普段より薄着にしようかな」と思うことでしょう。
というのも、南半球の場合、北に赤道の暖かい空気があり、南には南極の冷たい空気があるからです。北から風が入ってくれば気温は比較的暖かく、南から入ってくれば比較的寒くなります。
北に赤道、南に南極があるため、日本と同じで南北に長いニュージーランドでは北に行けば行くほど温暖な気候になり、南に下がるほど年間を通して涼しく、冬には雪がたくさん降ります。
日本で家探しをしていて「北向きの部屋」と書いてあったら、あまりその家を選びたくありませんよね。ところが、ニュージーランドをはじめ南半球の国々では「北向きの部屋」は大人気です。
なぜかというと南半球の場合、太陽は日本と同じで東から出て西に沈みますが、日本とは違って北を経由します。つまり南側の部屋には日があまり入らず、北側の部屋には日がたくさん入ってくるのです。
ちなみに、もし時計が南半球で発明されていたら、時計の針は今とは逆の左周りになっていたとも言われています。なぜかというと、時計の針の動きは日時計の針(影)の動きを機械的に表現したものだからです。南半球だと太陽が北を経由して昇るため、影が北半球とは反対の左回りになってしまうわけですね。
星座や月の向きも北半球と南半球とでは異なります。
例えばオリオン座を例にとると、下記の左が日本で、右がニュージーランドからの見えかたです。
オリオン座の角度は緯度が違えば変わってくるので、例えばオーストラリア北部の街ダーウィン(Darwin)で見れば、さらに30度ほど左に回って見えます。
また、月の模様の向きや満ち欠けも異なってきます。
以下の写真は、先日ニュージーランドで撮影された満月です。
そして、こちらが日本で撮影された満月です。
月の模様の向きが違うのがわかりますね。
月の満ち欠けについては、日本で左のような三日月が見られるとき、ニュージーランドの空には反対を向いた月が浮かぶことになります。
トレッキングや山登りのときに持っていく方位磁石についても大きく変わってきます。日本で販売されているものの多くは、ニュージーランドをはじめ南半球で使うことはできません。
なぜかというと、北半球で販売されている方位磁石は「北極」をさすように絶妙なバランスを保った設計がされています。ところが、南半球で使う方位磁石は「南極」をさす必要があるので、北半球の方位磁石はバランスが崩れ、使うことができないのです。
もし南半球で方位磁石を使う場合は、南半球に対応したものを購入するか、スマートフォンなどに付いているアプリを使う必要が出てきます。
いかがでしたか。今まで当たり前だと思っていた常識も、場所が変われば覆されてしまうものなんですね。ぜひこの記事をきっかけに、普段何気なく当たり前だと思っていることに目を向けてみてください。
また、今回紹介した違いについては、ぜひ実際に南半球のニュージーランドへ来て、自分自身の目で確かめてくださいね。暑い夏に嫌気がさしたら冬のニュージーランドへ。寒い冬で体が冷えきったら真夏のニュージーランドが待っていますよ!