masa osada
(更新)
僕は今、ニュージーランドの首都ウェリントン(Wellington)に住んでいます。
ウェリントンはなぜか日本のガイドブックや旅行情報誌であまり取り上げられることがなく、ニュージーランドを旅行したことがある人でも「ウェリントン=首都」というイメージを持っていない人が多いです。
ところが、他の国のウェリントンへの注目度はというと、新聞・雑誌・テレビなどのメディアが行う人気調査では常に上位にランクインしており、「いつか行ってみたい街」の1つに数えられているのです。
そこで今回は、いくつかのランキング結果を交えながら、僕が実際に住んでみて分かったウェリントンの5つの魅力を紹介していきます。
最初に、ウェリントンがどんなメディアで賞されているのかを簡単に紹介します。
まず2015年、イギリスを拠点とする世界最大の放送局の1つ「BBC」が "2015's Hottest Cities(2015年最もイケてる都市)" というランキングを発表しました。結果、数ある都市を抑えて1位に輝いたのがニュージーランドの首都ウェリントンです。
また「Rough Guides」と言う発行部数が世界でトップクラスの旅行ガイドブックでも、旅行者にとって魅力的な都市を選ぶ "Top 10 Cities 2015 " において堂々の第6位を獲得しています。「Rough Guides」は日本語化されていないため日本での知名度は低めですが、英語圏での知名度は非常に高いガイドブックです。
では、ウェリントンがなぜ世界中の観光客の注目を集めているのか。これらのランキングで評価された内容も含めながら、5つの理由について紹介していきます。
コーヒー文化が盛んな街と聞いて思い出す街はどこかありますか?
僕はスターバックスやタリーズ発祥の地・シアトルくらいしか思い付かなかったのですが、広い世界にはコーヒー文化が栄えた街が他にもたくさんあります。
以前に「CNN」が、コーヒー文化が栄えている都市を選ぶ "8 of the world's great coffee cities" というランキングを発表したことがありました。そのなかにウェリントンは堂々のランクインを果たしています。
ウェリントンを含むニュージーランド全体で飲まれているのはエスプレッソマシンを使って作るコーヒーです。ラテやカプチーノはもちろんフラットホワイト(Flat White)という名前のコーヒーが非常によく飲まれています。
フラットホワイトはニュージーランドやオーストラリア発祥と言われているコーヒーで、ラテよりも小さなカップに、エスプレッソが多めで作られるため、濃いコーヒーが好きな人にはたまりません。
実際、ウェリントンの街中を歩いていると、数メートル間隔でカフェが軒を連ね、しのぎを削っています。
興味深いのはウェリントンにはスターバックスなどのチェーン店のカフェがほとんどありません。チェーン店には、味よりもブランドが気になる一部の若者や、外国人観光客が自分たちの国にもあるため馴染みがあるからと訪れることが圧倒的に多いです。一方で、地元の人たちはチェーン店にはあまり行かず、それぞれお気に入りのカフェへ足繁く通っています。
ちなみに僕が大好きなカフェは「Memphis Belle Coffee House」です。カフェといっても食べ物はほとんどなく、ケーキやビスケットが2〜3種類ずつある程度。ただ、とにかくコーヒーにこだわっていて、美味しいコーヒーが出てくるので大好きなのです。
日本で一時期「地ビール」が流行ったことがありましたね。ニュージーランドでもここ数年、地ビールへの注目度は非常に高く、最初は「一時的な流行」と思われていたものの、最近では定番になりつつあります。
なかでもウェリントンには市内だけでも10を越えるビール工場が点在し、市内のバーやレストランはもちろん、スーパーマーケットなどでも所狭しと地ビールが並べられています。
ビールのラベルはどれも個性的なものばかりで、1種類ずつ飲んでは飾っておきたくなります。割れないように上手に持って帰れば、旅行のお土産にすることもできますね。
一般的に国家の首都には、その国の経済や文化の中心地が選ばれますよね。
ところが、ウェリントンが首都に選ばれた今から150年前、ウェリントンは小さな港町でした。なぜそんな小さな港町が首都に選ばれたのかというと、「国のちょうど中心にあった」から。このように経済や文化の中心ではない場所が首都に選ばれるケースは非常に稀です。
ちなみに、カナダのオタワやオーストラリアのキャンベラ、アメリカのワシントンDCも「候補地と候補地の中間地点だったから」という理由で首都に選ばれました。
現在でもウェリントンは政治の中心地ではありますが、経済の中心地ではありません。ニュージーランドの経済の中心地はオークランドという街です。そのため、ウェリントンの人口はたったの40万人。こじんまりとしているせいか、街全体には自然が溢れています。
上の写真は街の中心にある高台から撮ったものです。ビルが密集する場所も見えますが、街の周りが緑に囲まれていることが分かるかと思います。
ウェリントンは海と山に囲まれているため、山に向かって車で10分、15分走らせると、そこはもう森の中です。
海のほうへ迎えば、街の中心地からでもたった3〜4分でたどり着くことができます。
日本では博物館や美術館といえば、入場料が安くはありませんね。ところが、ウェリントンにある博物館や美術館はほとんど入館料が無料なのです。
ニュージーランドに人類が渡ってくる前の様子や先住民のマオリ族の文化、そしてヨーロッパの人たちが移住してきた1800年代から建国後の歴史まで、1日では見切れないボリュームの展示物を無料で見ることができます。
しかも博物館はテーマごとにいくつもあり、コンテンポラリーアートを主に扱う美術館までもあるという充実ぶりです。
博物館や美術館の話に続き、ウェリントンで忘れてはいけないのがアートです。まるで街中をカンバスにしたかのように、街の至るところでアートを見かけます。
例えば、上の写真はウェリントン市役所や美術館があるエリアの広場です。
銀色の物体が浮いているのがわかりますか? この銀色の玉があることを知らないで歩いている人たちは、気が付いた瞬間にすごく驚きます。僕も最初ビックリして、そのあと何枚も写真を撮ってしまいました。どうやって浮いているのか……それは実際に訪れて確かめてみてください。
他にも、建物丸ごとをキャンバスにした絵もたくさん見かけます。
こちらの壁がカラフルに塗られた建物、なんだと思いますか? 実は保育園なんです。こんな保育園、日本ではなかなか見かけませんよね。
これら以外にも街の中心地には大小さまざまなオブジェやペイントが点在しているので、街の中を歩いている人たちを飽きさせることはありません。
いかがでしょうか。今回はウェリントンのことを駆け足で紹介しましたが、他にも自然保護区や庭園、動物園など、1つの観光地や見どころごとに1本のコラムが書けてしまうほど魅力は満載です。
なお、ウェリントンへの行き方としては、まず成田空港からニュージーランド最大の都市オークランドにある空港まで直行便が出ています。そこから1回だけ国内線に乗り換えれば、ちょうど1時間でウェリントンに到着です。
今回のコラムをきっかけに、少しでも多くの人がウェリントンに興味を持ってやってきてくれたら嬉しいです。