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【発音矯正#1】あなたはどのタイプ?日本人英語の5つの発声タイプを音声付きで解説!

【発音矯正#1】あなたはどのタイプ?日本人英語の5つの発声タイプを音声付きで解説!

こんにちは。
プロイングリッシュスピーカー育成ディレクターの、ショーン・ツジイ(Shawn Tsujii)です。

突然ですが、レッスンや自宅で発音を練習して、/l/や/r/などの発音はそれなりにできるようになったけど、実際に話してみると「何か違うな…」と感じたことはありませんか?

もしそうなら、英語の発声法を身につけることで解決できるかもしれません。

英語には英語特有のイントネーションやリズムなどがあり、それにともない英語をキレイに発音するために適した「息のしかた」や「声の出しかた」があります。
したがって、日本人が英語を英語らしく話すためには、呼吸や発声を英語向けに調節しなければいけません。

なぜでしょうか?その方がラクに話せるからです。

本コラムでは3回に渡って、日本人英語特有の発声タイプとその矯正法をお伝えしていきます。初回は、日本人英語に多い発声タイプを5つに分類し、それぞれの特徴やクセを徹底解説。あわせて、よりよい発音のためのコツも紹介したいと思います。

日本人英語話者の発声の5つのタイプ

日本人英語話者の発声の5つのタイ

発声は長年の習慣によって身に付いたもので、本人にとってはあたかも当然で、自分がどんなクセを持っているのかわからないのが一般的。
生まれつきだと考えられていることも多いのが発声ですが、練習によって「声の出し方」を英語向けに調整し、発音を劇的に変化させることができるのです。

筆者は自身の指導経験から、日本人英語話者の発声のクセを以下の5つに分けています。

1. 地声そのままタイプ
2.地声+強い子音タイプ
3.極端な喉発声タイプ
4.高い声・張りのある声タイプ
5.こもった声・暗い声タイプ

ではそれぞれにどのような特徴やクセがあるのでしょうか。実際の音声も聞きながら自分に近いタイプを見つけてみてくださいね。

①地声そのままタイプ

最初は「地声そのままタイプ」。
初心者からある程度の中級者まで、日本人英語話者に幅広く見られる発声です。

この発声は、普段日本語を話すときの地声(喉声)そのままに英語を話すタイプで、呼吸は浅め。

【例】"Do you like to play tennis?" (男性声・女性声)

弱点とアドバイス

アクセントというものは大きく分けて二種類あり、英語は強弱アクセント(ストレスアクセント)で、日本語は音程アクセント(ピッチアクセント)に分類されます。
①のタイプは、音の強弱によるアクセントを付けるのが苦手なため、英語らしく話そうとすればするほど、アクセントを強弱の代わりに、音程の上下で代用してしまい、リズムやグルーブ感が全くない、実に不自然な英語になってしまいます。下の動画も参考にしてみてください。

このタイプの人が良い発声を得るためには、体全体で呼吸すること、喉の力を抜くこと、音の焦点(後述)を意識することが重要になります。

②地声+強い子音タイプ

2つ目は、普段話す日本語の喉声に、強い子音とビートを加えた「地声+強い子音タイプ」。
英語を話すとき強い子音やアクセントをつけて発音するタイプで、文頭や語頭にストレスが来ることが多いです。

【例】"Do you like to play tennis?" (男性声・女性声)

弱点とアドバイス

英語らしく話そうとするがために、無理矢理リズムを付けたり、子音を強く発音しようとしたりして、この発声になってしまう傾向があります。
日本の昔の英語発音教育の「英語を話すときは、子音を強めに言いましょう」という教えの影響を受けている人の中に多く見られます。

強弱を付けようとしたり、子音を明瞭に発音しようとすることは良いのですが、力んだ喉声では英語のバックビート(ウラ拍)を再現するのは難しく、どうしても日本語のようなダウンビート(オモテ拍)で英語を話してしまうことになります。

この傾向の強い人は、子音は(強いのだが)短く、母音との境界があいまいになり、表拍のビートが強調され、音の持続が弱くなります。
さらには、あいまいになった子音をはっきりと発音しようと、もっと語頭で力んでしまい、余計に不自然な英語になってしまう現象もよく見られます。

中級者から、海外在住の日本人まで、がんばって英語らしく話そうとする人に多く見られ、このタイプの人は、まずは子音を丁寧に出すこと、喉を使いすぎないこと、そして日本語風のダウンビート(オモテ拍)を見直すことが必要です。

③極端な喉発声タイプ

極端な喉発声タイプ

つづいては「極端な喉発声タイプ」。
日本語の地声の喉発声をさらに深く低くしたもの。喉から下を響かせ、深い音を出そうとするタイプで、英語を話すときに極端に音程が低くなってしまいます。

【例】"Do you like to play tennis?" (男性声・女性声)

弱点とアドバイス

この発声法の問題は、喉を脱力させて深い響きを得ることを優先するあまり、練習を重ねても声帯の筋肉がさほど発達せず、音程の高低差をつけるのが難しくなること。

また、脱力を重視しすぎることから、英語発音に必要な舌や口の筋肉が弱いままで発達せず、だらしない話し方から抜け出せない傾向がよく見られます。
声がやたら低くボソボソと話すので、変声期のシャイな少年のように聞こえることも。

このタイプには、「声が低い=よく通る声」と安易に考えてしまう人が多く見られます。
喉をリラックスさせること自体は良いことですが、低い声を響かせたところで、それがネイティブの発声でもないこと、低い声を出そうとするあまりに、喉を使い過ぎて、声帯を痛める人が多いこと、不明瞭な子音を出してしまう、母音の過多、単調で退屈な話し方にならないようにすること、などを注意しましょう。

④高い声・張りのある声タイプ

どちらかというと女性に多く見られ、喉を力ませたり声帯に力を加えて、高い声を出すタイプです。
明るい声質で、子音が比較的聞こえやすいので、英語がうまく聞こえる人もいます。

【例】"Do you like to play tennis?" (女性声)

弱点とアドバイス

しかしながら、音程のコントロールはある程度器用にできる半面、強弱アクセントのコントロールが苦手なことが多いです。
そのように喉を閉めて話している人でも、腹式呼吸をして開かれた喉で話す習慣が身に付いてくると、どんどん倍音豊かな張りのある声になってきます。

注意すべき点は、声が高めの人が多いこのタイプは、無理やり声を低くしようとして喉を痛めたり、不自然な話し方にならないよう気をつけること。
もともと声が高い人の声帯は短いのですが、そういう人が声を低くしようとすると声帯をぶ厚くして発声しなくてはいけないので大変です。

例えば、議員時代は声が高かったイギリス元首相のマーガレット・サッチャーは、首相に就任してから訓練によって声を低くしたことで知られています。
力強さと威厳を見せるために、大変な努力をして声を低くしたといわれていますが、イギリス国民には「不自然な低い声」「人を見下したような声」だと低評価を受けることになりました。

【マーガレット・サッチャーの議員時代の高い声と、首相時代の低い声の比較動画】

⑤こもった声・暗い声タイプ

こもった声・暗い声タイプ

舌が後ろに引かれていたり、口腔内の筋肉がたるんでいたりして、話すときに口の中が狭い人に見られる発声です。極端な人になると、箱の中やぶ厚い扉の向こう側から話しているような音質に聞こえる人もいます。

【例】"Do you like to play tennis?" (男性声・女性声)

弱点とアドバイス

このクセの強い人が英語を話すときは、子音も母音もあいまいになりやすく、非常に通じにくいです。
このタイプの中には「英語は巻き舌で言う」という、昔の誤った考えに毒されている人も含みます。
巻き舌で話せば、日本語らしさは減りますが、かといって英語っぽくなるとも限りません。そんな話し方をするネイティブ英語話者はいないからです。

このタイプの人は、まずは「開く」ことが重要。喉を開き、口を開き、舌は巻かない。口内の気流の通りをスムーズにして、少しずつ腹から声を出す練習をすることが大切になります。母音を出し過ぎる傾向があるので、子音の練習を多くするのがおすすめです。

喉を開き、口を開いた状態を保ち、唇の筋肉に緊張を与えながら、少しずつ探るように声を張らして話すようにすること。
どこに力を入れて、どこの力を抜くと、どんな音質の変化が現れるのか、今まで使っていなかった筋肉が活動し始めるのを感じてください。その観察により、こもった声から脱出する手がかりが必ず見えてきます。

おわりに

いかがだったでしょうか?
紹介した5つのタイプはそれぞれが独立したものではなく、複合していることも少なくありません。

最近は携帯電話にも録音機能がありますから、自分の英語を録音して、どういった特徴が見られるのか、よく聞いて観察してみましょう。自
分の発声の特徴を知ってから発声練習に取り組むと、目的がはっきりして上達が速い。そこが重要です。

どのような声も個性です。上も下もありません。

しかしながら、英語を英語らしいリズムで話すために、伸び伸びと自由に、弱い音から強い音まで思い通りに出せ、音程の上がり下がりも自然な、よく通る健康的な声であるに越したことはありません。

そのような発声ができれば、英語を話すことが本当にラクになります。発声法を変えるということは、自動車でいうところのエンジンを交換するようなものだからです。

次回、発音のクセを矯正するのに効果的なトレーニング法をご紹介しますのでお楽しみに!

英語発音矯正の名門、英語発音道場升砲館(京都・新宿)

【参考文献】
・Frisell, Anthony (2007) The Tenor Voice, Branden Books