上田 哲也
(更新)
「英語を話せるようになるために、まずは英単語から」
誰もが一度はこんな風に考えたことがあると思います。僕も、最初に英語を始めたときはそうでした。
でも「英単語を覚える」と「英語が話せるようになる」は、いつもイコールではありません。たくさん単語を知っていても英語を話すのが苦手な人もいれば、基本的な単語しか知らなくても英語がスラスラと出てくる人もいます。
その違いは、一体どこからくるのでしょう?
今回より、「話すための、英単語の覚え方」を全3回にわたってお送りします。
英単語を覚えて、自分のスピーキング力もアップさせたい、そんな人たちに読んでもらえたら嬉しいです。
覚えた英単語が「英語を話す力」に繋がるまでには、次の3つのハードルがあります。
① 単語が思い出せない
② 使い方がわからない
③ 発音がわからない
せっかく覚えたはずの単語がうまく会話の中で使えないのであれば、原因はこの3つのどれかにあります。
逆に言えば、この3つのハードルさえしっかり超えることができれば、単語力は会話力へ、確実に繋がっていきます。
それら3つのハードルをどうやって越えていくか、具体的な方法を交えながらお話ししていきたいと思います。
今日はまず1つ目のハードル、「単語が思い出せない」場合のハードルの超え方について、お話しましょう。
どんなにたくさんの単語を覚えていても、それを思い出せなければ使えません。
ではどうすれば、言いたい言葉が言いたいときに出てくるのでしょうか?
覚えた単語を思い出すコツ、それを一言で言うなれば、日本語訳「だけ」を覚えないということです。
ではなぜ日本語訳だけだと、いざというときに単語が思い出せないのか?
それは、英語と日本語のペアにして覚えただけの英単語には、リアリティがないから。
このように英語と日本語訳を1対1で頭に入れるやり方は、言葉を覚えるというより、記号を暗記している感覚に近いのです。
イメージしてみてください。
単語帳を開いたときに目に飛び込んでくる、あの英単語と日本語の無機質な文字の羅列を。
こういうアプローチで英単語を覚えようとすると、単語の表情がまったく見えないんです。ただただ文字ばかりが並ぶモノクロの世界、といった感じです。
でも、本来なら英語だって英語を話す人たちにとっては、繊細で色鮮やかな言葉。それは、僕たちにとっての日本語が、感性豊かな言語であるのと同じことです。
では、英単語にリアリティを持たせる2つの勉強方法を以下にご紹介していきます。
まず1つ目、それは英単語とイメージをリンクさせる方法です。
この方法のいいところは、イメージで覚えた英単語は、必要なとき瞬時に出てくる単語として僕たちの記憶にストックされるということです。
なぜなら、このようにして覚えた単語は、日本語ではなく、目の前の映像をきっかけに引き出されるからです。
いわゆる「英語で考え、英語を話す」という感覚に近いかもしれません。
では、どうやって単語をイメージで記憶するのか?僕が普段からやっているやり方を2つご紹介します。
Googleで画像検索してみる
わからない単語があったとき、それをGoogleで画像検索してみる、というのがまず一つ目のやり方です。
試しに "smile" という単語の画像を、Googleで検索してみてください。
どうですか?きっとたくさんの "smile" を連想させる画像が出てくるはずです。
こんな風に、単語が表すものを言葉ではなく画像で捉えるだけで、英単語のリアリティはぐっと増すので、ぜひ皆さんもチャレンジしてみてください。
絵を描いてみる
それともう一つの方法、それは自分で絵を描いてみるというやり方です。単語の例文から、その単語が使われるシーンを想像して、それを絵に描いてみてください。
絵心がある必要なんてありません。シンプルな絵でも大丈夫。大事なことは、英単語を無機質なアルファベットの羅列から、イキイキとした映像に置き換えることなんです。
単語を覚える上でもう一つ大切なこと、それは単語と「気持ち」をリンクさせることです。単語と気持ちがくっつくと、自分の気持ちに引っ張られて単語が飛び出すような、そんな感覚で英語を話せるようになります。
単語と気持ちをリンクさせる方法は、2つあります。
気持ちを乗せて音読する
まずは、思いっきり気持ちを乗せて例文を音読すること。
最初はちょっと恥ずかしいかもしれませんが、大事なことです。もう本当に、僕も人前で演技なんかできるタイプではありませんが、英語を勉強するときだけは、とことんその場面に入り込んで音読しています。
そうやって気持ちを乗せて音読した英語は、しっかり気持ちとリンクした状態で、自分の中にストックされていきます。だからそうやって覚えた言葉は、気持ちに引っ張られるように、いつでも出てくる英語になるんです。
自分と重ね合わせる
単語帳に乗っている例文をアレンジして、自分の文章に置き換えてみる、というのも有効なトレーニング方法です。
単語帳などに載っている例文は、やっぱり自分のことじゃない分、気持ちを乗せにくいものです。だからこそ、自分の記憶や経験と結びつくような例文を作り変えてしまいます。
そうすれば、単語の情景がリアルにイメージできて、そこに英単語がリンクしていく感覚がつかめるはずです。
例えば "require" という単語。英単語学習アプリ「iKnow! 」では、こんな例文が出てきます。
"Being a professional musician requires a high level of skill."
(プロのミュージシャンには高いスキルが求められる。)
でも、自分が音楽をやってたりしないと、なかなか「ミュージシャン」という言葉に気持ちを込めてこの文章を読むのは難しいです。だからこそ、僕だったらここは自分が好きな「英語」に関連させた例文に変えてしまいます。
"Being a professional interpreter requires a high level of English."
(プロの通訳には高い英語力が求められる。)
こうなると、もともとの例文より、自分にとってずっと親近感のある例文になるので、単語のイメージが湧きやすくなるのです。
さて、ここまで「思い出せる」英単語の覚え方についてお話してきました。
ここでのポイントは、英単語を覚えるときに日本語訳だけに頼らず、「イメージ」や「気持ち」とリンクさせることです。
英単語を覚えるときは、目の前の単語にリアリティを持たせること、単語の一つひとつに、もっと臨場感を感じることを大切にしてみてください。そうすれば、英単語を思い出すというプロセスは、ずっとスムースになるはずです。
次回は2つ目のハードル、「単語の使い方がわからない」について、お話しします。お楽しみに。