西東 たまき
(更新)
カタカナなのに海外では通じない言葉というものは多くあります。さらには「確かに英語」なのに通じない言葉もあります。
多くの場合、これらは「和製英語」と呼ばれるものです。特に身近な言葉にたくさんみられるため、英語を使うときは知らないでいると厄介です。
今回は、中でも食べ物の名前にみられる和製英語をピックアップしました。「まさかこれも?」というものもあれば、「そもそも英語じゃなかったんだ!」というものもありますよ。
英語で話すときに困らないよう、英語ではどう言えば通じるのかも併せてお伝えしますね!
あいにく、この呼び名は海外では全く通じない和製英語です。海外では “corn dog” と呼ばれます。
なぜ “corn” なのか?それは衣に “cornmeal(とうもろこし粉)” が使われているからです。
中に入っている「フランクフルト」は英語でも “frankfurter” ですので、あまり違いはありませんね。「フランクファーター」のように発音します。
「日本語ではコーンドッグのことをアメリカンドッグって言うの、面白いと思いませんか?」
ちなみに「ホットドッグ」はそのまま “hot dog” でOKです。
余談ですが、スペイン語では “hot dog” を “perro caliente” といいます。 “perro” は「犬」、 “caliente” は「ホット」の意味なので英語と全く同じなのですよ!
「ホットドッグを2つもらえますか?」
海外でも、サラダやピザなどにツナ缶が活躍しています。ツナとマヨネーズの組み合わせは、海外で食べる “sushi roll(巻き寿司)” の定番ネタです。
日本ではもっぱら「シーチキン」で通っていますが、これは日本ならではの商品名なので海外では全く通じません。英語では “canned tuna(マグロの缶詰)” と呼びましょう。
「マグロの缶詰はあると非常に便利な食材の一つです」
アメリカ英語とイギリス英語の違いを語るとき、よく出てくるのがフライドポテトの例です。
「油で調理したジャガイモ」を意味する「フライドポテト」は確かに英語ですが、私たちがイメージするフライドポテトを伝えるには “French fries” (アメリカ英語)か “chips” (イギリス英語)と言うのが自然です。
「ハンバーガーには、カリカリのフライドポテトがたっぷりないとね!」
“chips” は、筆者の住む東アフリカ・タンザニアの国語「スワヒリ語」では “chipsi(チプスィ)” と呼ばれています。英語がスワヒリ語化すると、子音で終わる単語の場合、最後に “i” が入るのです。
「スワヒリ語ではチップスは「チプスィ」と呼ばれます」
なお、イギリス英語で “chips” はフライドポテトですが、アメリカ英語では「ポテトチップス」(potato chips)を意味します。イギリス英語でポテトチップスは “crisps” と言います。
英語で言うなら、そもそも「フランスパン」は少しヘンで、形容詞形にして “French bread” とすべきところです。
でも "French bread" と言っても「フランス風のパン」の意味であって、必ずしも私たちが考える長くてパリッとしたフランスパンとイコールではありません。
英語で言うときはフランス語のまま “baguette” と言えば、間違いなく「フランスパン」が出てきます。私たちもカタカナで「バゲット」と言いますね。
「フレンチトーストを作るには、一日経って硬くなったバゲットで十分」
「パン」自体も英語ではありません。英語では “bread” ですよね。ちなみに英語で “pan” は「お鍋」のことです。
お菓子作りをする人ならきっと馴染みがあるバニラエッセンス。英語では “vanilla extract” と言います。
“extract” には「抽出、抜き出したもの」といった意味があります。
「レモネードにバニラエッセンスを少し入れてごらん!」
バニラエッセンスを加えるといつものレモネードが華やぎます。質の良いものが手に入ったら是非お試しください。
日本語で「チリ」と言えば、もちろん「唐辛子」のことだと思いますから、海外の英語メニューに "Chili" とあったら首を傾げてしまうかもしれません。
英語で "Chili" は肉や豆をスパイスと一緒にトマトで煮込んだ南部アメリカ料理です。材料名であれば唐辛子、メニューなら料理名ということです。
この料理は日本語では「チリコンカーン」または「チリコンカルネ」と呼ばれています。 “Chili con carne” は、スペイン語で “Chili with meat” という意味です。
チリには、アメリカンドッグの衣でも使われている “cornmeal” で作ったパンやマフィンが添えられるのがお決まりの組み合わせです。
「チリはよくコーンブレッドと一緒に出されます」
洋風煮込み料理を作るときによく使われるトマトの水煮缶。
日本語のレシピでは「ホールトマト」と書かれていることが多いと思いますが、英語で “whole tomato” は「トマト丸ごと」の意味です。英語では “canned tomatoes” と言うと伝わります。
「トマトが季節はずれの時期、トマトの水煮缶はとても重宝します」
カフェメニューでも人気の「エッグベネディクト」は、英語では “Eggs Benedict” となります。
微妙な違いですが、 “egg” には “s” が付き、「ベネディクト」は人名なので大文字から始まります。書くときは注意ですね。
「エッグベネディクトは理想的な週末のブランチメニュー」
こちらはちょっと食べ物の名前からは外れますが、日本人にとって馴染み深いものなのでご紹介いたします。
自分が食べられる量はほぼ決まっているにもかかわらず、好きなだけ食べられる「バイキング、食べ放題」という文字にワクワクしてしまったりしませんか?
旅先では、慣れない食べ物が不安なときにいろいろ選べるバイキングにしておけば安心ということもあるでしょう。
でも英語の「バイキング(Viking)」は、中世に現れたスカンジナビアの海賊のことであって「食べ放題」の意味はありません。
「食べ放題」は、正しくは “All you can eat” や “buffet” と表現されます。
「ビュッフェ」なら日本語でも使いますよね。フランス語ですので、話すときは「フェ」の部分にアクセントを置いて「ブッフェイ」のように発音してください。
「イベントの後はビュッフェ式のランチがありました」
他に “smorgasbord” という呼び名が使われることもあります。こちらはスウェーデン語です。
多種多様な料理が並ぶことから、 “a variety of~(いろいろな種類の~)” の意味で “a smorgasbord of~” なんてフレーズもあります。
「今年、私のカレンダーはイベントが目白押しです!」
ちなみに「飲み放題」は “free-flowing” や “bottomless” という表現があります。 “bottomless” は文字通り「底なし」と言う意味ですね!
「イタリア料理ビュッフェディナー、ワイン飲み放題」
話すときはきっと通じる、でも書くと間違いがちなカタカナの食べ物というのも結構あるのです。
下記の食べ物を英語にするときは “-ed” を付けることを忘れずに「~された」という形にしてください。
→ "mashed potatoes"
(mash=すりつぶす)
「マッシュポテトはフライドポテトよりヘルシーとは限りません。使う材料によります」
→ "smoked cheese" / "smoked salmon"
(smoke=燻製にする)
「タンザニアで売られているスモークサーモンは、主に南アフリカから来ています」
→ "scrambled eggs"
(scramble=かき混ぜる)
「スクランブルエッグは何と一緒でも良く合う」
→ "corned beef"
(corn=塩漬けにする)
「コンビーフの缶詰ってどう使えばいい?」
→ "condensed milk"
(condense=濃縮する)
「コンデンスミルクで色々なインド風デザートが作れるよ」
→ "whipped cream"
(whip=泡立てる)
「食べるときは、バニラ風味のホイップクリームを添えてください」
→ "iced coffee" / "iced tea"
(ice=冷やす)
「アイスコーヒーとアイスティーのどちらかを選べます」
あらためて見てみると、カタカナだけど英語では通じない食べ物って結構ありますよね。しかも、どれも身近なものばかりです。
海外に出るとひときわ盛り上がるのが食べ物の話。通じないと歯がゆい思いをしますよね。
今回挙げたもので「和製英語だったのか!」と思ったものがあったら、しっかり頭に入れておきましょう。