Hiroe H
(更新)
「形式主語」と聞いても何のことだかあまりパッとしない人は多いと思いますが、英語学習者なら「It’s difficult to…」で始まる文を一度は見たことがあると思います。
この「it」が形式主語と呼ばれるもので、実は私たちは英語学習の中でこの形式主語をよく使っています。
なんだか名前だけ見ると難しそうですが、この「it」の用法は意外とシンプルなので、英語初心者の方でもすぐにマスターできるはず!
今日はこの記事を読んで、「形式主語」の形や意味、そして代表する4つのパターンをしっかり覚えちゃいましょう!
まず下の例文を見てください。
「日本語を話すのは難しい」
先程、ここで使われている it が形式主語だと言いました。
これは、it が形式的な(形だけの)主語であって、実質上の主語ではないので「形式主語」と呼ばれています。
この形式主語の it は、形だけの主語のため意味はありません。
it だから「それ」と訳せそうですが、形式主語の it を「それ」と訳すのは間違いです。
ではなぜ意味のない it を使い、この形を取るのでしょうか?
英語では主語が長文になることを避ける傾向があります。主語が長くなると文のバランスが悪くなるので、代わりに形だけの主語 it を頭に置くわけです。
もう一度先程の例文を見てみましょう。
「日本語を話すのは難しい」
形式主語の it は、言ってみると、意味も何もない形だけとして使われているちょっと可哀想な存在ですね。
では実質上の主語はどこにあるのでしょう?
to speak Japanese「日本語を話すこと」がこの文の主語となり、
「日本語を話すのは難しい」
となる訳ですが、これだと頭でっかちの文になってしまい、バランスが悪いので、形式主語の it を頭に置き、文をすっきりさせています。
形式主語は「仮主語」とも呼ばれることがあります。
学校の授業や参考書などで「仮主語」や「真主語」という言葉を見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。
この仮主語は形式主語とまったく同じ意味で、仮の主語(形だけの主語)を指します。これに対し、「真主語」は真の主語(実質上の主語)を指します。
もう一度前述の例文を見てみましょう。
「日本語を話すのは難しい」
この例文の it が仮主語(=形式主語)で「to speak Japanese」が真主語(実質上の主語)となります。
この真主語は「to不定詞」以外にもいろいろな形をとります。次の項では、この真主語のいろいろな形(形式主語の代表的パターン)を紹介したいと思います。
形式主語の構文パターンには4つあり、どのパターンも形式主語の it が真主語の部分を導きますが、真主語の部分はそれぞれ異なります。
最初のパターンは、「不定詞(to + 動詞の原形)」を使った構文です。いくつか例文を見てみましょう。
「タバコをやめるのは容易ではない」
形式主語 it で始まり、「to quit smoking」が真主語(実質上の主語)となる不定詞(to + quit)を使った構文です。
「子供とたくさんの時間を過ごすことは重要です」
形式主語「it」で始まり、「to spend a lot of time with your children」が真主語(実質上の主語)となる不定詞(to + spend)を使った構文です。
「彼女は経済的に恵まれていないことがどういうことか理解していない」
この例文のように、すべての形式主語の構文が it から始まるとは限りませんので注意しましょう。
形式主語の it が真主語の部分「to be underprivileged」を導いている不定詞(to + be)を使った構文です。
次は動名詞を使ったパターンです。動名詞は、動詞を「~ing形」にして名詞の役割を持たせます。例文を見ていきましょう。
「あなたと働けるのは楽しい」
形式主語 it で始まり、「working with you」が真主語(実質上の主語)となる動名詞 working を使った構文です。
「いつもファーストフードばかり食べるのは健康なはずがない」
形式主語 it で始まり、「eating fast food all the time」が真主語(実質上の主語)となる動名詞 eating を使った構文です。
「彼と議論しても無駄だよ」
形式主語 it で始まり、「arguing with him」が真主語(実質上の主語)となる動名詞 arguing を使った構文です。
不定詞と動名詞を使ったパターンを紹介しましたが、「that節」を使ったパターンもあります。
例外を除き、that節を文頭に置くことはまずありません。その代わり形式主語の it を使い、that節は後ろに持って行きます。
また、この that は省略することができますので、こちらも覚えておきましょう。
「ジェーンがトムと別れたのは驚きだ」
形式主語の it で始まっていますが、動詞がいつも「be動詞」とは限りません。ここでは一般動詞 surprise が使われています。
「that Jane broke up with Tom」が真主語(実質上の主語)となります。
that節が使われている構文で、この that は省略することができます。
「君がパーティーに来られないのは残念なことだ」
形式主語のit で始まり、「that you can’t come to the party」が真主語(実質上の主語)となります。
that節が使われている構文で、この that は省略することができます。
「ジェイクと結婚するって本当?」
形式主語の構文も疑問文にすることができます。この例文の場合は be動詞を形式主語の it の前に持ってきて疑問文にします。
「that you’re getting married to Jake」が真主語(実質上の主語)となります。
that節が使われている構文で、この that は省略することができます。
最後にthat節以外の名詞節を使ったパターンを見ていきましょう。
形式主語でよく使われる名詞節は、疑問詞「who」「where」「how」などで始まる名詞節や、接続詞「whether」「if」で始まる名詞節が一般的です。
「あなたが何歳であろうが関係ない」
形式主語の it で始まり、「how old you are」が真主語(実質上の主語)となる疑問詞 how を使った構文です。
「地震を感じたのは夜中だった」
形式主語の it で始まり、「when we felt the earthquake」が真主語(実質上の主語)となる疑問詞 when を使った構文です。
「彼女が誰と遊ぼうと私には関係ない」
形式主語の it で始まり、「who she hangs out with」が真主語(実質上の主語)となる疑問詞 who を使った構文です。
「食べ物が残っているとは思えないな」
形式主語の it で始まり、「whether there’ll be any food left」が真主語(実質上の主語)となる接続詞 whether を使った構文です。
「あなたが来年日本を去らないといけないとしたら残念だな」
形式主語 it で始まり、「if you had to leave Japan next year」が真主語(実質上の主語)となる接続詞if節を使った構文です。
今日は形式主語の形や意味、そして代表する4つのパターンを紹介しましたが、いかがでしたか?
形式主語の it は意味を持たない形だけの主語で、文をすっきり見せるために使われていました。
文中から「不定詞」、「動名詞」、「that節」、または「that節以外の名詞節」を見つけられれば、実質上の主語を見つけるのも簡単だと思います。
たくさんの例文を使って、型式主語(仮主語)と実質上の主語(真主語)に分ける練習をし、しっかり覚えるようにしましょう!