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皆さんは、こんな話を耳にしたことはありませんか?
もし、アメリカで交通事故に遭い、自分に非があったとしても、”Sorry(ごめんなさい)” はNGワードだと。
なぜなら、訴訟大国のアメリカで謝罪することは「罪」を自他共に認める行為と解釈され、不利な立場におかれる確率が高まるから、と言われています。
逆に、日本人は調和を重んじ、事を穏便に「済ませる」文化を背景に育っているため、「済みません(すみません)」と一言お詫びすることはごく自然な行為。
日本人のように「謝る」習慣が染み付いていないアメリカ人が謝った場合、謝られた側はどう返すのでしょう?
本記事では、"Sorry(ごめんなさい)" と言われたときに使える英語フレーズをニュアンス別・シチュエーション別に振り返ってみたいと思います。
≪気にしてないよ、大丈夫だよ≫
シチェーション①
Kevin(ケヴィン)とJulia(ジュリア)は付き合い始めたばかりの "boyfriend & girlfriend(カレとカノジョ)"。実は、Kevinはまだ誰にもJuliaと付き合っていることを言っていない。
そんなある日、2人がショッピングモールでデートしていると、Kevinの男友達にばったり遭遇する。Kevinは男友達と他愛のない話をし始める―
「おー!元気?おまえら、ここで何してんの?」
「ヘイ、元気?おまえこそ、ここで何してんの?」
「あ、彼女はジュリア。一緒に仕事してるんだ」
Kevinの男友達と別れた後―
「怒ってる?」
「なんで私が怒らないといけないの?」
「なんでかわかるでしょ」
「あぁ、あれね。まぁ、嬉しくはないけど。でも、怒ってないよ」
「君の気持ちを傷付けてしまったら、ごめん」
「気にしないで」
「本当に?」
「気にしないでってば!平気だよ。さ、何か食べに行こうよ!腹ペコだわ!」
No worries/Don’t worry about it
➔気にしないでいいよ。
"Worry" は「心配する」という意味。"Worry" の前に "No/Not" を付けると「心配しない」という意味になります。
シチュエーション②
JuliaとKevinは、フードコートでランチを食べることに。
土曜日のショッピングモールは人混みで溢れている。食べ物をトレイに載せたまま、空いている席を探す二人。
”Kevin, what about over there?(ケヴィン、あそこの席はどうかな?)” とJuliaに呼び掛けられ、後ろを振り返った瞬間、Kevinはたまたま通りかかった女性にぶつかってしまい、スーパーサイズ(特大サイズ)のアイスティーをこぼしてしまった―
「ごめんなさい!!」
「大丈夫よ!」
「申し訳ない。あなたの飲み物代を払わせてくれませんか?」
「大丈夫よ。気にしなくていいわ」
「本当に?」
「本当に!」
No problem
➔問題ありません、大丈夫です。
That’s okay/It’s okay
➔大丈夫です(どちらも同じニュアンス)。
≪許せない、反省してほしい≫
シチュエーション③
フードコートで昼食を取ったJuliaとKevin。Juliaは急用を思い出し、先に帰ることに。
その晩、JuliaがKevinにテキスト(メッセージ)を送ると、いつもなら即答なのに、なぜか既読スルー。コールしても出ない。
何かあったのかな?Juliaは不安になる。夜中遅くにKevinから連絡が入る―
「昨夜返事しなくてごめん」
「大丈夫??」
「うん、ちょっと忙しかったんだ」
「どんな?」
「サラが来たんだ」
「サラ?元カノの?なんで前に言ってくれなかったの??」
「言うつもりだったよ。ホリデーで帰省してて、姉貴に会いに来たんだ。雨が降って来たから、家まで車で送ったんだ。」
「ホントに忙しかったみたいね」
「誓うよ、何もなかったって!ただ話しただけなんだ。姉貴もずっといたし」
「消化するにに時間が要るわ。自分がしたことを反省して」
I need time to process this/it.
➔処理するのに時間が掛かる(複雑な出来事を消化するのに時間が必要)。事態を呑み込めていないため、まだ許すわけにはいかない。
I hope you think about what you did.
➔君がやったことについて考えてほしい。つまり、反省してほしい、ということ。
バリエーション:I hope you think about what you said(君が言ったことについて考えてほしい)。
シチュエーション④
Juliaは煮え切らない気持ちでいる。Kevinから連絡が来ても無視している。
1週間後、2人がいつも一緒にジョギングしていた公園でばったり出会う―
「なんで無視するの?」
「まだ、あなたと話す気持ちになれないわ」
「ごめんって言ってるじゃないか!何回謝ればいいんだ??」
「ごめんじゃ済まないよ!」
「わかった。僕達、冷却期間が必要かもしれないね」
Sorry doesn’t cut it
➔謝れば済むことじゃない。
≪謝ってくれたことを受け入れる≫
シチュエーション⑤
Kevinは、そう言い放ったまま歩き始める。
2人の距離はどんどん離れて行く。JuliaはKevinの背中を見つめながら、動揺せずには居られなかった。
その晩、JuliaはKevinにコールする。
「ごめん、私の態度悪かったよね。子供だった」
「いいよ。でもさ、『ごめんじゃ済まない』って言ってなかったっけ?」
「気が変わったの!」
「『心変わり』じゃなくてよかったよ」
「明日走りに行かない?」
「いいね!」
*2… Wanna ➔ 口語で Want to と同じ意味。
Apology accepted
➔謝罪を受け入れる(かしこまった表現)。
Sorry isn’t enough
➔謝るだけでは不十分。"Sorry doesn’t cut it" と同じ意味。
まとめ
日本人から見たアメリカ人は、弁解ばかりで反省の色を示さないと誤解されがちですが、アメリカ人からすれば正当防衛手段として釈明しているだけのことなのです。
事の経緯から理由まで事細かに一通り説明した上で「自分は出来る限りのことはした」または「だから自分はそうした」と、先ずは自分のスタンスを主張し、相互理解するために話し合うのがアメリカ人的なコミュニケーションスタイルとも言えるでしょう。
数年前、阿部サダヲさん主演映画『謝罪の王様』(英語タイトル ”The Apology King”)がニューヨークで上映されたことがありました。
日本の≪スミマセン≫文化をコミカルに描写していて、事あるごとに謝る、とりあえず詫びて事を済ませようとする主人公。日米異文化テーマのディスカッション・トピックにもなるので、おすすめです!
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