アメリカ永住権は抽選で取得できる?グリーンカードの取得方法と歴史【デイリーニュースで振り返る2017 vol.5】
Erik2017 04.17 Mon
目次
こんにちは、日系アメリカ人のエリックです。
DMM英会話の大人気教材である『デイリーニュース』から毎回気になるニュースをピックし、英語のポイントだけでなく文化や歴史、イマの社会情勢などにも触れながら紹介する新連載『デイリーニュースで振り返る2017』。
今回はその第5弾、ピックした記事は『米国グリーンカード抽選、運が尽きたか』です。
「グリーンカード」とは、アメリカの永住権とその資格証明書の俗称。その名前は、初代のカードが緑色だったことからきています。
グリーンカードはいくつかの方法で取得が可能なのですが、その中でも異色なのが「抽選による取得」です。「ダイバーシティビザ」と呼ばれ、その名の通り、移民の多様化を目的として始まった永住権発給プログラムで、毎年約5万5000のビザが発給され、日本国籍の日本人も毎年300名前後が当選しているようです。
現在、20年以上の歴史を持つこの抽選による永住権発給プログラムが、廃止の危機にさらされています。
本記事では、アメリカのグリーンカードの取得方法や、ダイバーシティビザの抽選の歴史などについても触れていきます。
筆者の知り合いが実際にグリーンカードを取得した際のエピソードなども交えて説明していきますので、アメリカへの移住を考えている人や、抽選でアメリカ永住権をゲットしちゃいたい人も、ぜひ読んでいただきたい内容です。
米国グリーンカード抽選、運が尽きたか
"Has Luck Run Out for the US Green Card Lottery?"
『米国グリーンカード抽選、運が尽きたか』
(March 24, 2017)
上記記事より英文を一部抜粋し、解説していきます。
※全文はこちらからご確認いただけます。
【解説】
“Oprah” とは、アメリカのテレビ司会者、番組プロデューサーのオプラ・ウィンフリーのことです。彼女が司会を務めた「オプラ・ウィンフリー・ショー」はアメリカ史上最高のテレビ番組として名高い。
【解説】
“on the chopping block” とは「まな板の上の鯉」の意味です。
「逃げ場がない」「絶体絶命の状況」のようなニュアンスです。
グリーンカードの取得方法
アメリカの永住権を得る方法はいくつかありますが、代表的なものは以下の3つです。
①親族を通して
最もよく知られているのはこちらでしょうか。アメリカ国籍の人と結婚をすれば、永住権を取得することができ、アメリカ国籍保持者の配偶者に加え、子供、両親、兄弟なども対象となります。
筆者はアメリカ国籍保持者なので、例えば将来結婚したなら、筆者の配偶者は永住権取得の対象になります。
②アメリカの雇用先にサポートしてもらう
雇用ベースでの永住権申請も広く知られている方法かと思います。こちらはアメリカの会社がスポンサーとなり、申請者の永住権申請をサポートしてくれる方法です。
ちなみに申請者が世界的に見ても卓越した能力を持っている場合は、雇用先のサポートなしでも取得できることもあります。
③抽選で当てる
アメリカ国籍保持者と結婚する予定がなくても、アメリカの会社で働く予定がなくても、グリーンカードを取得できる方法がこちら。
今回のニュースのテーマにもなっている「ダイバーシティビザ」に応募し、抽選で当てるという方法です。
- 【応募資格】
-
1、高卒以上の学歴 or 2年以上の研修もしくは職務経験
2、対象国生まれ
以上、厳密には細かな条件がいくつかありますが(逮捕歴があるとダメなど)、基本はこれだけ。
2に関しては、出生国によっては申請できない場合があります。日本人の場合、日本で生まれていれば問題ありませんが、例えば韓国や中国のように、毎年のアメリカへの移民の数が多い国の生まれだと対象外の場合があります。
また、出生地主義であり、日本の国籍を持っていなくても日本で生まれていれば問題ありません。
このようにグリーンカードは実は、意外にも簡単に申請ができてしまいます。
そして当選する確率も、宝くじなんかよりはずっと現実的です。
ですが注意しなければならないのは、特にアメリカに移住する予定もないのに当たってしまった場合に、アメリカの永住権を持つ者には確定申告の義務が発生し、納税が必要になることもある、ということです。
アメリカの永住権保持者になるというのはどういうことなのかをしっかり調べ、理解した上で応募してくださいね!
抽選による永住権取得の歴史
いかにもアメリカっぽいこの抽選による永住権取得という方法。
20年以上の歴史を持ち、始まりは1990年の移民法の改正でした。それまでは親族や雇用による移民の受け入れがメインでしたが、移民の多様化を目指して誕生しました。
世界中の文化が入れ混じるアメリカにおいて、より多様で豊かな文化を作り上げるため、移民が少ない国から応募を受け付け、抽選で永住権を与えるこの政策。毎年約5万5000人が抽選で永住権を得ています。
AA-1プログラムとDV-プログラム
この抽選の第1回申請受付は1991年に始まり、AA-1プログラムと呼ばれました。AA-1プログラムは1993年の第3回まで続きましたが、その後改良され現在のDVプログラムとなりました。
DVプログラムの申請要項はほとんど確立されていますが、年度によってDV-95(1995年)やDV-2017(2017年)のように呼ばれています。
第1回AA-1プログラムの抽選は大混乱だった
筆者の知り合いで、そんな初期のAA-1プログラムの第1回でグリーンカードを取得した人たちがいます。
学生ビザで渡米し期限が切れそうな者、ビジネスビザを所持し弁護士を通して永住権を申請中の者など、彼らは様々な事情があって永住権を求めていました。
そんな時に舞い込んできたのがAA-1プログラム、抽選でグリーンカードが当たるという夢のような話でした。すでに弁護士に申請を依頼していた人もいましたが、全員あわよくばという気持ちで抽選に応募したそう。
第1回の抽選はなんと、先着順での当選だったのです。その上、一人につき何通でも申請ができ、第1回の抽選は大混乱となりました。応募の代行を行う業者も現れ、ひとつのビジネスにもなりました。
結果、彼らは抽選でグリーンカードを取得できたのです(弁護士を通して同時期に永住権取得できそうな人はそちらを選択)。
話によれば、当選するために何通も応募したり、いろいろと工夫をした日本人が多く当選していたようです。また、5万人の当選枠に対して1900万通もの応募(うち700万通が書類不備)があったといいます。
翌年からは応募は1人1通までとなりました。いかにもアメリカらしいですね。
おわりに
いかがでしたか?
宝くじのような抽選で永住権を取得できる可能性があるなんて、いかにも「自由の国:アメリカ」を感じさせる制度ですね。
移民に対して厳しい政策をとるトランプ政権によって、この「ザ・アメリカンドリーム」な制度もなくなってしまうかもしれません。
トランプ大統領の移民政策に今後も注目していきましょう。
ニュースを読むだけでなくその文化的な背景を知ること、より深く理解することで、英語学習もより楽しくなるのではないでしょうか。
今後もデイリーニュースで楽しく英語を勉強していきましょう!
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