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チキンナゲットが欲しい!アメリカの高校生が史上最多リツイート記録を達成するまで【デイリーニュースで振り返る2017 vol.8】

チキンナゲットが欲しい!アメリカの高校生が史上最多リツイート記録を達成するまで【デイリーニュースで振り返る2017 vol.8】

こんにちは、エリックです。

DMM英会話の大人気教材である『デイリーニュース』から毎回気になるニュースをピックし、英語のポイントだけでなく文化や歴史、イマの社会情勢などにも触れながら紹介する『デイリーニュースで振り返る2017』。

今回は『チキンナゲットをリクエストしたアメリカの10代の若者、ツイッター新記録達成』です。

暗いニュースが多い昨今ですが、今回のニュースはなんだかいい意味で「どうでもいい」ですね!

ことの始まりはある高校生がファストフードチェーンのウェンディーズの企業アカウントに送ったツイート。ウェンディーズの企業アカウントは面白おかしいツイートをすることで有名で、何かしらの返信があることを期待してのことだったのかもしれませんが、このツイートのおかげで彼はあっという間に有名人になってしまいました。

今回の記事では実際のツイートを見ながら最多リツイート記録が更新されるまでの経緯をたどっていきたいと思います。

ユーザーを煽り倒すことで知られているウェンディーズの秀逸なツイートもいくつか紹介しますので、SNS等で使われるリアルな英語表現に興味がある方にもぜひ読んでいただきたい内容になっています!

チキンナゲットをリクエストしたアメリカの10代の若者、ツイッター新記録達成

"American Teen’s Chicken Nugget Request Sets New Twitter Record"
『チキンナゲットをリクエストしたアメリカの10代の若者、ツイッター新記録達成』
(May 25, 2017)

上記記事より英文を一部抜粋し、解説していきます。
※全文はこちらからご確認いただけます。

【ニュース本文】
<英文>
Carter Wilkerson is 16 years old and lives in Reno, Nevada, USA. On April 5, he posted a question on Twitter.
“Yo @Wendys, how many retweets for a year of chicken nuggets?” he wrote.
Wendy’s is a fast food restaurant. The company said on Twitter it would give him free chicken nuggets for a year for 18 million retweets.
Wilkerson asked Twitter users to help him reach his goal of 18 million retweets. Wilkerson’s campaign for free chicken nuggets soon went viral. Famous people like actors, sports stars and politicians retweeted. So did many lesser-known Twitter users.
<和訳>
カーター・ウィルカーソンは16歳で、米国ネバダ州のリノ市に住んでいる。4月5日、彼はツイッターに質問を投稿した。
彼は「やぁウェンディーズ、何回リツイートされればチキンナゲット1年分を無料でくれる?」と書いた。
ウェンディーズはファストフードレストランである。同社は1800万回リツイートされたら1年間チキンナゲットを無料にするとツイッター上で述べた。
ウィルカーソンはツイッターのユーザーたちに、彼の目標である1800万回のリツイート達成を手伝ってほしいと呼びかると、無料チキンナゲット獲得キャンペーンはインターネット上で一気に広まった。俳優やスポーツ界のスター選手、政治家といった有名人に加え、多くの一般のツイッターユーザーがリツイートした。

解説

"Yo"「よっ」とか「やあ」と同じようなニュアンスです。

"go viral"「急速に広まる」といった意味で、日本語の「バズる」に近いニュアンスです。もともと "viral" は「ウイルス性の」という意味です。

【ニュース本文】
<英文>
At one point, Wilkerson reached 3.42 million retweets. That was still well short of Wendy’s request for 18 million. But it was enough to break the world record on Twitter.
It was also enough for Wendy’s. The company said it would give Wilkerson free nuggets for a year, anyway.
<和訳>
ある時点で、ウィルカーソンへのリツイートは342万回に達した。それでもウェンディーズが提案した1800万回をかなり下回っていた。しかしツイッターの世界記録を打ち破るのには十分であった。
ウェンディーズにとっても、それは十分だった。1800万回には届いていないけれど、同社はウィルカーソンに無料チキンナゲット1年分を進呈すると述べた。

解説

"be short of" 「不足する」という意味。本文では "was well short of" なので「かなり下回っていた」となります。

他にも例えば、"just short of" なら「ほんの少し足りない」のように表現することもできます。
 

無名の高校生から史上最多リツイート記録保持者へ

全ての始まり

全てはアメリカの高校生、カーター・ウィルキンソンがファストフードチェーンの Wendy's 宛に投稿したこちらのツイートから始まりました。

やぁウェンディーズ、何回リツイートされればチキンナゲット1年分を無料でくれる?

すると1分後、ウェンディーズから返信があります。

1800万。

そして伝説のツイートが生まれる…

力を貸してください。男にはナゲットが必要なんだ。

このツイートは現時点(2017年6月)で363万回以上リツイートされ、史上最もリツイートされた投稿となっています。

画像内のカーターの返信にある "Consider it done" は直訳をすると「終わったものと考えていいよ」です。こちらの表現は「まかせろ」「受けて立つ」のようなニュアンスで使うことができます。

"nuggs" は "nugget"(ナゲット)を略したものです。
 

#NuggsForCarter

150人しかフォロワーがいなかったにも関わらず、カーターのツイートはたった一晩で5万回以上もリツイートされました。

彼の挑戦は大きな話題となり、#NuggsForCarter(カーターにナゲットを)というハッシュタグが生まれ、多くの著名人や企業も彼にナゲットを届けるべく応援します。

私たちは応援します。アマゾンさん、グーグルさん、君たちはどうだい?

最高の人生を送ってね、カーター。夢を追いかけるんだ。

カーターさん、ラッキーな気持ちですか?

"Feeling Lucky"(幸福な・ラッキーな気持ち)はグーグル検索の機能の一つですね。

検索をするときに、検索一覧ではなく、検索結果のトップのページに直接飛ぶというものです。

カーターはこの注目度を何か良いことに使おうと考え、NuggsForCarter.com を設立。このサイトでナゲット関連のグッズを販売し、その売り上げを全て養子縁組支援団体のデイヴ・トーマス・ファウンデーションや、乳がん患者をサポートするNPOのマムズ・オン・ザ・ランに寄付すると発表しています。
 

ライバルの出現

カーターのツイートに抜かれるまで、史上最多リツイートの記録を保持していたのはアメリカのコメディアンであるエレン・デジェネレス

彼女は The Ellen DeGeneres Show という人気番組の司会を務めるほか、ディズニーの「ファィンディング・ニモ」のドリー役の声優も担当しています。

そんな彼女の元・史上最もリツイートされた投稿がこちら。

ブラッドリーの腕がもっと長ければな。最高の写真。

エレンがアカデミー賞の司会を務めた際に撮影した自撮り写真で、ブラッド・ピット、メリル・ストリープ、アンジェリーナ・ジョリー、ブラッドリー・クーパーなどといった大物セレブが写っている豪華すぎるセルフィーとして340万回以上リツイートされています。

カーターのツイートがエレンの記録に差し迫っていた頃、エレンは彼を自身のテレビ番組に出演させました。そのときの映像がこちら。

番組の中でエレンは、「みんながカーターのツイートをリツイートするのはいいけど、あなたの投稿をリツイートするときに、同時に私のセルフィーもリツイートするように言ってね」と話し、自分が記録を保持したままカーターもリツイートを増やせる策を提案しました。

カーターは4Kテレビと1年分の同番組ブランドの下着をプレゼントされ、交渉は成立。カーターは「2位で全然問題ない」と話し、エレンは「私の記録を超えることがあれば、あなたの家に行ってテレビと下着を返してもらう」と言って会場を沸かせました。
 

最多リツイート記録達成

そして、5月9日、カーターのチキンナゲットツイートはエレンのセルフィーを抜き、史上最もリツイートされた投稿となりました。

これを受け、早速ウェンディーズが彼を祝福。

カーターのツイートが史上最もリツイートされたツイートになりました。ナゲット1年分には十分だし、デイヴ・トーマス・ファウンデーションへの10万ドルの寄付にも相応しい。まかせろ。

当初の目標の1800万には遠く及ばないものの、ウェンディーズは史上最多リツイート記録保持者となったカーターを讃え、約束のナゲット1年分無料を進呈

さらに、カーターがグッズの売り上げを寄付している団体であるデイヴ・トーマス・ファウンデーションへの10万ドルの寄付も発表しました。

最初に挑戦が始まったときにカーターが言った "Consider it done" をここで使っていますね。

記録達成後、カーターは前記録保持者のエレンにツイートを送ります。

ごめん、エレン。テレビと下着は返さなくてもいい?

そしてエレンは以下のように返信。

いいわけがない。ブラッドリー・クーバーに取りに行かせる。

こうしてカーターはSNS時代の歴史に名を残すことになったわけですが、ひょんなことから有名人になってしまうこともあるものですね。

【おまけ】 Wendy’s の秀逸な煽りツイート集

さて、カーターのツイートがこれほど注目を浴びたのはもちろん彼のツイッターの運用の仕方、人柄、そして多くの人の応援があってのことだったかと思いますが、そもそもウェンディーズが「1800万」というぶっ飛んだ返事をしていなければ、この一連の流れも起こり得ませんでした。

もともとウェンディーズの企業アカウントは面白おかしいツイートや返信をすることで有名で、センスのある巧みな煽りでツイッターを賑わせてきました。

おまけとして、そんなウェンディーズの秀逸なツイートをいくつか紹介したいと思います。

ウェンディーズの商品はゴミ?

出典
http://www.boredpanda.com/funny-wendy-jokes/

ユーザー:お前らんとこの飯はゴミだ。

ウェンディーズ:違うけど、お前の意見はそうだね。

(ユーザーが送ったツイートの "you're" は "you are" の略なので間違いです。正しくは "your"。)

マクドナルドでは何を注文する?

ユーザー:マクドナルドで何を注文する(手に入れる)べき?

ウェンディーズ:一番近いウェンディーズまでの道順。

これは "get"(注文する、手に入れる)"get directions"(道を教えてもらう)の "get" をかけています。

VS マクドナルド

最後はマクドナルドの公式アカウントに対する返信です。

マクドナルド:2018年中頃までに、大半の店舗でクオーターパウンダーをフレッシュな牛肉で作るようになることを、本日発表しました。

ウェンディーズ:ということは「全ての」店舗の「ほとんどの」バーガーは、まだ冷凍の牛肉を使うってこと?友達の代わりに聞いてるだけだよ。

同じハンバーガーチェーンで、冷凍していないフレッシュな食材を使うことを売りにしているウェンディーズ。

友達のために聞いてるだけなんですね、わかります。

まとめ

いかがでしたか?

今はインターネットの時代ですから、ツイート一つで有名人になって、テレビにも出て、SNSの歴史に名を刻むことだってできちゃうんですね。ウェンディーズのような斬新な企業広報が登場したのもSNSあってのことでしょう。

カーターのツイートは最多リツイートの新記録を達成しましたが、いまだリツイート数は伸び続けています。この勢いでどこまでいけるか、今後も注目していきたいですね。

ニュースを読むだけでなくその文化的な背景を知ること、より深く理解することで、英語学習もより楽しくなるのではないでしょうか。
今後もデイリーニュースで楽しく英語を勉強していきましょう!

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