Mizuho
(更新)
DMM英会話最大の特徴といえば、世界中にいる1万名もの講師とオンラインレッスンができること!
多国籍な国の講師とのレッスンは、いろいろな英語に触れられることはもちろん、異文化理解へもプラスに作用します。
そしてバックグラウンドの異なる講師がたくさんいるということは、それだけたくさんのストーリーがあるということ。
「DMM英会話 TUTOR'S VOICE」では、レッスンだけでは知ることのできない講師の素顔に注目します。
今回は、カナダ人講師のBruceさんにお話を伺いました。
国:カナダ
英会話講師歴:3年以上
趣味:音楽、アイスホッケー、宇宙探索
▲数年前に打ち上げられたコスタリカ初の人工衛星「キューブサット」(プロジェクト・イラズ)の模型を手に取るBruceさん。
ー 簡単に自己紹介をお願いします。
Bruceといいます。カナダ西部、ロッキー山脈近くのカルガリー出身ですが、現在は中南米のコスタリカに住んでいます。
私はいろいろなことに興味があるのですが、その1つが宇宙探査についてです。嬉しいことに縁あって、近年では何冊か宇宙科学技術に関する本を共著で出版しました。
本のなかでは宇宙・技術分野で活躍するコスタリカやグアテマラの人たちを紹介していて、若者たちがSTEAM*分野でキャリアを積みたいと思ってくれるようなきっかけになればいいと考えています。また、コスタリカやグアテマラで生まれた才能を世界の人びとに知ってもらうことも、この本の1つの目的です。
*科学(science)、技術(technology)、工学(engineering)、芸術(art)、数学(mathematics)などの分野の総称。
また、出版した本をベースに学校や地域に赴いて、セミナーを開催したりもしているんですよ。
たとえば次はコスタリカの先住民居留地で学生たちに話をする機会があります。こうした活動によって、インターネット環境の彼らでも、普段の生活では知り得ない情報にアクセスし、ひらめく機会を得ることができるようになるのです。
あとは、コスタリカのアイスホッケーに強い関わりがあります。
コスタリカにアイスホッケーを紹介し、選手育成プログラムの開発を含め、20年ほど携わっていたんです。アイスホッケーへの貢献が認められ、2017年にトロントでアイスホッケーの名誉殿堂入りをすることができました。
息子たちとも濃い時間を過ごすことができて、ホッケーをやっていてよかったです。
ー さまざまな活動をされているんですね! そもそもなぜコスタリカに移住することにしたのですか?
もともとはカルガリー大学で専攻していた政治科学プログラムと、NGO団体のボランティア活動の一環でコスタリカに来ました。当時はこの国の美しさと平穏な雰囲気に心打たれたんです。
驚くことに、コスタリカは中南米に珍しく軍隊がないうえ、民主的な政治が行われているんですよ。軍隊に資金が使われる代わりに教育分野や保健に投資されています。
次にコスタリカに来たときに妻と出会ったので、この国に移住することに決めました。
ー コスタリカって先進的なんですね!
環境分野でも新しいことにチャレンジしていて、この国のエネルギーの98%は綺麗な再生可能エネルギーから作られているんです。
これによって、1980年代以降は森林の多くを復活させることができたんですよ。いまとなっては地方はもちろん、都市部でも以前は見られなかった鳥が飛んでくるようになりました。
ー どんどんコスタリカに興味がわいてきました! 先ほど宇宙に関する本を書いたと言っていましたが、どんな本なのか教えてください。
「To the stars: Costa Rica in NASA(星空へ。NASAのなかのコスタリカ)」というタイトルで、NASAで働くコスタリカ出身の人びとのインタビュー集になっています。
コスタリカにはこれまでに、宇宙飛行士1人、それ以外にもNASAの技術面で活躍する人をたくさん輩出しているんです。特に2021年に打ち上げられたジェイムス・ウェッブ宇宙望遠鏡の開発には2人のコスタリカ人が関わっています。このような状況はグアテマラも同じなので、グアテマラ版も出版しています。
「宇宙飛行士」というと、「自分にはそんな高い目標は無理」と諦めてしまう人もいるでしょう。でも自分の住んでる町出身のNASA職員もいるかもしれないわけです。そういう話を聞けば、若者もモチベーションが湧くじゃないですか。
(Photo: https://tothestarsbook.com/)
また、もう1冊「The Interpids in Science and Technology(科学技術における先駆者)」という本も執筆しました。こちらでは科学技術分野で活躍する女性を取り上げているので、これらの分野を目指す若い世代の道しるべになってくれたら嬉しいです。
ー 素晴らしいですね! 1つ気になるのですが、コスタリカにはNASAのような宇宙航空研究所があるのでしょうか?
聞いてくれて嬉しいです! 実は2021年ついに、コスタリカにもCosta Rica Space Agency(コスタリカ宇宙開発機構)ができたんです。
私は他国の宇宙関連の組織・団体から推薦状などを集めて、この設立に向けて議会で法案を可決してもらうために活動をしていました。今はボランティアで宇宙開発機構を手伝っています。
コスタリカには、主に1980年代から90年代にかけて宇宙飛行として活躍したFranklin Chang Diazという人がいます。唯一の宇宙飛行士なので、コスタリカで知らない人はいないでしょう。
Diaz氏は2002年に最後の宇宙飛行をしてNASAを辞めてからも、宇宙ロケットのモーター開発に関わってきたんです。長いこと宇宙研究に携わってきたDiaz氏がいたからこそ、この宇宙開発機構の設立は実現できたのだと思います。
ー なるほど、素晴らしい軌跡を作られた方がいるわけですね! そもそもBruceさんはなぜ宇宙に興味を持つようになったのでしょうか?
NASAには「アポロ計画」や当時放送開始されていた「Star Treck(スタートレック)」に影響を受けて働いている職員がたくさんいます。私自身も同じで、子どものときから「スタートレック」の大ファンでした。
▲「Star Trek」内で使われる「Live long and prosper」のジェスチャーをするBruceさん。
これは「スタートレック」のなかで挨拶として使われる「Live long and prosper(長寿と反映を)」のジェスチャーです。最初は難しいですけど50年近くもやっていたら簡単にできるようになりました。それくらい、長いこと宇宙に魅了されているんです。
ー 子どもの頃から好きだったんですね! それでどのような経緯で本を書くことになったのでしょうか?
以前私は駐コスタリカ英国大使館で広報の仕事をしていました。そのなかでさっきお話ししたDiaz氏と一緒に、環境問題についての映像「Odyssey2050」を作成することになったんです。
これは環境問題への意識改革の啓発を目的としていたのですが、このときからDiaz氏と一緒にプロジェクトを進めることが何回かありました。そんな縁もあって、宇宙について執筆するようになり、本を出版できたわけです。
ー そんなご縁があったんですね! Bruceさんもそうですけど、宇宙が好きな方ってすごい熱量な気がします。
まさにその通りです。それで、若い人たちにも宇宙のことをもっと知ってもらって、興味を持ってもらいたいという思いがあるんです。「宇宙」というと数学や化学などが絡んできて、一気に難しく感じてしまいがちですよね。
私自身も数学や化学は苦手でした。でも今は宇宙に関わる仕事ができているわけです。「その先にはこんなに面白い世界が待っているんだよ」ということがわかってもらって、興味を持ってもらうことが、なによりも大切だと思うんです。
それに、これから人類が繁栄していくためにも、地球のことだけを考えていてはいけません。もっと大きな視野で、太陽系レベルで将来のことを考えていくべきです。こういう想いもあって、特に若者に向けて本を書いたり、講演したりしています。
ー Bruceさんの影響を受けた若い世代のこれからが楽しみですね! ではDMM英会話についてお聞きしますが、ユーザーのみなさんとレッスンしてみて、どう感じていますか?
みなさんの知性、献身的な姿勢と経験の奥深さに、驚かされるばかりです。例えば80歳で任天堂の初期の頃から勤めていた人や、自衛隊の人など。
普通では知ることのできない人生経験を耳にできるので、私がメモを取りたくなるくらいです。
子どもは大きな声で歌ってくれたりもしますし、DMM英会話を通して学んだことが本当にたくさんあります。自分の価値観がアップデートされていくような気分ですね。あとは24時間毎日レッスンをできるのもメリットの1つだと思います。
ー 実にバラエティに富んだユーザーの方々とレッスンをしているんですね! ではレッスンのときに心掛けていることはなにかありますか?
生徒の皆さんが「レッスンになにを求めているのか」をしっかりと知ることですね。人によっては大学入試の準備がしたいなど目的が細かく決まっている場合もありますし、単純に英語で話す機会を求めている場合もあります。まずは目的を明確にして、求められたことを返せるように心掛けています。
何回か顔を合わせている生徒さんなら少しずつ勝手がわかってきて、レッスンもやりやすくなりますね。でも、初めてレッスンを受講してくれる人と話すときには緊張します。
まるで結婚式で踊る「ファーストダンス」のようで、「足を踏まないように気をつけなきゃ!」と思ったのと似ているところがあります。生徒さんは「皆同じ」ではなくそれぞれ個性がありますから、波長を合わせる必要があるんです。
ー 何回レッスンを重ねても、初めての人と話すのは緊張しますよね。英会話の講師になって、自分が成長したと思うところはなにかありますか?
やはりいちばんはコミュニケーションスキル、特にリスニングですね。その人が何を言いたいのか、しっかりと注意を向けるようになりました。あとは文化の違いへの理解も深まったように思います。
私たち欧米人にとってはあたりまえのことでも、ほかの地域の人には常識ではないかもしれません。だからあまり文化的な例は挙げないようにしています。
ー 確かに日本であたりまえのことが、海外でもわかってもらえるわけではないですね。Bruceさんはコスタリカに移住された当時からスペイン語ができたのでしょうか?
ほんの少しだけできましたが、息子たちが英語を学べるように家庭では英語を話していたので、カタコトでした。私自身はスペイン語を極めることを諦めてしまい、話せるのは日常会話レベルですが困ることはないですね。
でも自分自身が言語を学んだ経験があるので、生徒のみなさんの気持ちはよくわかるんです。どうしても自分の「出来」が気になってしまうんですよね。そして間違えることが怖くなってしまう。
その言語ができる人からしたら、それを学んでいる人の気持ちを汲み取ることって難しいかもしれません。やはりその立場になって考えてレッスンを進めることが大事だと思っています。
ー コスタリカの英語教育はどんな状況なのでしょうか?
結構いいと思いますよ。でも、日本のように読み書き中心のため、会話となると苦手としている人は多いです。それで、英語の必要性を若者にわかってもらうために、NASAからゲスト講演者が参加してくれる場合はセミナーを英語で実施するようにしています。
なにごとも早い段階でその重要性に気がついて、行動を起こせたほうがいいですからね。言語がネックになって夢を諦めて欲しくないんです。
ー でもせっかくコスタリカに宇宙開発機構ができたのに、NASAに行かれてしまっては国内の産業が育たなくなってしまう問題も起きますよね。
まさにその通りです。そこが大きな問題で、優秀な人はみな国外に行ってしまうんです。
ただ新型コロナウィルスによる影響で変化を強いられた働き方のおかげで、いろいろな未来が開いたとも思っているんです。例えばコスタリカにいながら、ほかの地域での仕事もできるわけですからね。まずは宇宙開発機構が設立できたことをスタートラインに、模索していければと思っています。
ー スペイン語は英語と並んで世界の多くの人が話す言語ですから、2つとも習得できたら強い武器になりそうですね! それでは最後に、ユーザーのみなさんへメッセージをお願いします。
みなさんの生活の一部として迎え入れてくれて、ありがとうございます。みなさんとても素晴らしい学習の取り組みをしていると思います。英語は単純な言語ではないですが、粘って練習することで身につくはずですよ。
ー ありがとうございました!
▲今度ヒュートン宇宙センターで発表するという「ミッションパッチ」(ミッションの名称や目的などを記したマーク)。
Bruceさんのストーリー、いかがでしたか?
コスタリカの若者たちの道を開こうとするBruceさんの熱量を、筆者もひしひしと感じ、宇宙にも興味が湧くインタビューでした。2021年には宇宙に関する会議を開いたそうで、こちらのページでは登壇者のプレゼンテーションを聞くことも可能です。(1つ目の動画はBruceさんが作詞をして歌ったそう!)
Bruceさんとのレッスンは、英語はもちろんのこと、幅広い分野の興味深い話が聞ける機会になると思います。
DMM英会話のオリジナル教材「デイリーニュース」の「Science&Technology」には宇宙科学技術に関する記事も多数ありますから、こうした教材を使ってレッスンをしてみるのもオススメです。
宇宙研究はまだまだ無限の可能性を秘めていますが、それは言語習得によって広がる可能性と同じかもしれません。
世界中の人とのコミュニケーションを通して、いろいろな経験を楽しんでくださいね。